12月4日 【なぜ、今バイオマスなのか(8)伝統的な林業は】 木質バイオマスと木材チップ乾燥機
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我が日本のエネルギー自給において今後、いや今現在再生可能エネルギー利活用は
必要不可欠なはずだ。太陽光、風力はどうしても天候に左右される。
天候の関係はなしにエネルギーが供給できるバイオマスは稼働率の点からも
有利だ。そのバイオマスも様々な種類があるが今現在焦点を当てているのが
木質バイオマスだ。だが問題は多々ある。その問題点のひとつが木材供給元であるはずの
林業が抱えている。その林業に前回のエントリー同様今回も焦点を当てたい。
今回までは前回同様林業の過去から最近までの姿について記載します。
だが、弊社はあくまでもものづくりで生計を立てており木材について携わった経験は皆無に
等しい。今後記載する内容は文献に頼っている旨お許し頂きたい。
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伝統的な林業は
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木材生産量の大きな減少は経済の国際化からは取り残され国内林業の競争力は
急速に力を失った。もともと国内林業は労働集約的で過去木材消費量が膨大であった
事もあり労力をかけても単位面積当たりの収穫量を多くするやり方だった。
転換期が70年半ばで、安い外材がいくらで入るようになる。ここでコスト削減と言う方法を
取らず良質材を生産する方法が選ばれた。年輪のつんだ通直な無節材を作れば外材と
競争なしに高く売れるからだ。だが、そのためには密植して下刈、枝打ち、間伐を繰り返さ
なければならずどうしても労働投下量が多くなる。その結果欧米諸国と比較すると
単位面積当たりの人員が10倍程度も必要となった。それでも高価でも一時期優良材は
売れていた。ところが最近は年輪、節、色つやの特質はあまり評価されず優良銘柄の
値崩れが目立つようになる。手工芸的職人的な利用から工業的工場生産的な利用へと
変化した。従来、職人が自然の樹木の個性を生かし木工品や建築物を作ってきたが、
木材の個性は無視され信頼性の高い均質な材料に作りかえられるようになった。
木の大きさ形状関係なく分け隔てなく使われる合板、集成材、バーティクルボード、
ファイバーボードなど並材、低質材の時代へと変化していった。
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木材供給側も海外では成長が早い早生樹を育成し短伐期で回転させる方式が台頭し
ユーカリ造林などはその典型だ。今後このやり方が熱帯、亜熱帯を中心に増加すると
予想される。世界の天然資源が枯渇しているにも係わらず値段が上昇しないのは
こういった生産面、消費面での変化のためだ。日本のスギの立木価格は国際的には
決して安くはない。だが、人手を掛ける人工林業では採算が合わないのだ。
50、60年生を皆伐してもその代金で伐採跡地を再造林する経費は出ない。
これまでは森林所有者の道義心で人工林を切れば植えていた。ヨーロッパ諸国のような
伐採後の造林義務付けの法律なしに再造林は行われていた。だが背に腹は代えられない。
その再造林さえも危うくなっている。
又、皆伐すると造林が不可能になる。並材、低質材の時代になったとしても皆伐林業が
台頭することはなく、日本では間伐でつないでいくことになるだろう。
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間伐の繰り返しであれば間伐材が低質材など商品化されなければならない。だが、実際は
間伐材で収入を上げるのは難しい状況だ。その最大の要因は出材コストだ。日本の山の
地形は複雑で急峻の上、森林所有規模が零細で分散している。手作業中心から機械化が
進み、品質よりもコスト勝負となると地形と所有構造がマイナス要因となる。
コストを下げるには木材搬出路の整備だ。林道は森林経営のインフラでありこれがなければ
今後の長伐期多間伐林業はあり得ない。又、所有と経営の分離をはかりまとめて間伐そして
計画的に実行できるようにする。
我が国の私有林は農地に付随し、過去農業生産に必要な緑肥、敷料、飼い葉、燃料を供給
していた。やがて戦後の木材景気で針葉樹の人工林に転換されたが今はその人工林から
収入は上げることはできず森林保有が負担となり、森林所有の意味がなくなっている。放置
森林は広がり計画的施業はますます困難になっている。本来、森林は地域経済を支える
重要な資源であるべきだ。
今後間伐の収支が合うようにするには1)集団間伐そして2)間伐材販路の確保である。
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今内容の出典元は「木質バイオマス発電への期待」熊崎実著 林業改良普及双書です。
ご興味がある方は是非本を手にしお読みください。今内容以上に詳細に理解ができます。
又、私は決してこの出版社の回し者のでもなんでもありません。
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今シリーズ林業については次回まで続きます。
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それでは又です。
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2009.12.4 by 博多の森と山ちゃん
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