９月８日 それは一体（８）。。。
あいつの思いは一心だ。この現状を打破しなければいずれものづくりジリ貧からは
将来免れることは決してできない。今現状利益なき繁忙なれどいずれ飯は喰えなくなる。
あいつは肌で感じていた。あいつは今後を憂う気持ちは大きくなる一方で鎮まることは
ない。それこそ今現在は貧乏暇なしで何とか職人へ給料を払い自分らも飯を食える。
だがあいつの町工場周りの御贔屓の多くの工場の撤退の状況からもいずれ自分らの
飯すら喰えなくなるのは間違いがないとの思いは大きくなる一方だった。
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だがあいつ本人は忙しかった。休日なしの長時間労働は相変わらずだ。
確かに暇なときそして忙しいときの波は少なからずあった。
それでもあいつ自身は周りの状況関係なく働きそして密かに経営の耳学問は続けた。
それは突然だった。余りに唐突であいつ自身が驚いた。
絶対権力者があいつに話し出す。その内容にあいつはもちろん頷きはしたが
当初は半信半疑だった。
｢自社製品を作るぞ。｣はっきりとあいつの耳に入る。声は挙げなかったが
まさか絶対権力者がその言葉を口に出すとは思いにもよらなかった。
実際自社製品製作はあいつ自身が長い間口に出していた内容だ。
他社との徹底的な差別化をはかり大企業が手を出さない競合他社が気がつかない
非常に狭い分野に特化する。
その分野で他社にはない特色のある製品を作り売り出す。
それこそが零細町工場の生き残る手立てであるし今後差別化特化戦略を取らないことには
いずれ近いうちに会社名そのものがこの世から消え去る。
政府、銀行が助けるくれる程甘くはない。今現在自由経済競争主義の日本国で仕事をし
飯を食っている。
零細町工場だからこそ練りに練った戦略をつくりそれに基づいて戦術行為を取る。
それこそがあいつの小さな町工場に与えられた使命だとの思いでいた。
先ず必要なのが資金。先立つものがなくては自社製品の研究開発には覚束ない。
絶対権力者の心持一つで今後の命運が決定する町工場のその本人がやると
言うのだから間違いがない。
それから行動に移すまでは素早かった。あいつは早々に図面描きを行い
職人へと渡し作り始める。他の仕事はあれど止めることなく地道にじっくり
作り続けた。
あいつは多忙を極めた。通常の業務に新製品開発の仕事が加算されたのだ。
それでもあいつは音を上げるどころか懸命に取り組んだ。
あいつの町工場の将来が掛かっている。今後ものづくり工場として決して
名前が消え去ることのないよう作り上げようとしているのだ。
自社の乾燥機を作り上げる日数は実際のところそんなに掛かっていない。
その乾燥機は３号機目であるし従来の技術の結集であるためある意味手慣れた
製品だったと言える。
むしろ作り上げた後自分らの満足できる製品を作り上げるまでの日数の方が
数倍掛かっている。それに今現在も最新式を研究開発中だ。
今後あいつの町工場がどうなるかはあいつさえも分からない。
ただ唯一分かっているのは今後も決して次なる製品の研究開発から遠ざかることは
ないということだ。それは様々な意味での体力が続く限り。。。。
今シリーズ今回でようやく終了です。長きに渡りお付き合い頂き有難う御座いました。
本日は研究開発中の最新乾燥機改造、実験の繰り返しだった。ようやく投入装置は
満足できるものが出来上がった。次は実際組み立て乾燥機本体が上手く稼働するかだ。
実のところ木材チップ乾燥がこれ程難しいものとは思いもしなかった。
製造メーカー来社。
乾燥機の話ではあるが今だ未着手の小電気熱源乾燥機の引き合いだ。
既に市場は動いており早期開発の要請を受ける。今後民主党政権での
CO2削減25％は確実視されており現状以上の加速度でに市場は広がると
強調されていた。
他案件引き合いあり。早急な見積依頼受ける。又納期もあまりない。
それでは又です。
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2009.9.8by 博多の森と山ちゃん
