7月23日 完成したのか。。。
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苦しいこの時期。提出見積内容で迷う。安価で出すかどうか。
どうしても我らが職人皆の顔が思い浮かぶ。
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おだてについ乗ってしまったのか。来社したメーカーとの会話は長時間に及び。
この時期工場はフル稼働だと言う。久方ぶりに景気の良い話が聞ける。
周りがいかなる状況でも暇な時を作らない。これこそが本来の会社の姿のはずだ。
その発言はあいつの骨身に染み入る。
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本日現地確認に出向いた客先より早々注文を頂く。
小さな金額だとしても苦しいこの時期さすがに嬉しい。
次なる提案はあいつの無き頭を少々捻らねばなるまい。
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次期開発を終えた乾燥機の最初の乾燥サンプルテストの日時が決定する。
これで成功すれば我が町工場の乾燥機のラインナップが増える。
それに従来火気でしか乾燥できなかった物が余剰低圧蒸気にて粉砕、乾燥、運搬
が同時に可能になる。
これまではたいたなけなしの懐と時間が果たして功を奏するか。
その結果はいずれいつもへらへらニタニタ薄気味悪い笑いを浮かべている
あいつに聞いてくれ。
いやテスト後のあいつの表情が如実に語るであろうからその必要はないか。
ウフフッ。。。
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「そうじゃなかろうが。」ついあいつは声を張り上げる。
あいつの容赦ない罵声をうら若き職人はただ聞くだけだ。
その職人は一切口を開かない。
あいつは思いの限り言葉を発するとその場を立ち去る。
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一体思い通りのものが完成するのか。次第に不信感が募る。
これに成功すれば処理できないものがない鬼に金棒乾燥機が完成するのだ。
一切火を使用しない余り蒸気のみで付帯設備を必要としない画期的な乾燥機が。
あいつは我が町工場に何度も足を踏み入れ我らが職人ひとりひとりの行動を
つぶさに観察する。
いちいち声を掛け状況を確認する。
我らが職人にとって鬱陶しいのはあいつは手に取るように分かっている。
それでも絶え間なく職人の様子を眺めては口を出す。
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あいつは否が応でも何が何でも成功させるつもりだ。
いつでもそうなのだが今回の開発も今後の我が町工場の命運を左右する。
どれだけ金をつぎ込んだのだ。どれだけ時間を掛けたのだ。
今となっても過ぎ去った過去はどうでも良い。ただ成功させるだけだ。
あいつはつい奥歯を噛み締める。
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あいつは又しても我が零細町工場へと足を向ける。
「そろそろ完成しているだろうな。」と一人呟きながら。。。
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それでは又です。
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2009.7.23by 博多の森と山ちゃん
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