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2009年07月25日

7月25日 豪雨と濁流と車。。。



つい悪夢が蘇る。豪雨であいつの自家用車が冠水の濁流によりエンジン内に
水が入り込み二度とエンジンは掛からなくなった過去の光景が。
しばらく一向に治まることを知らない空からの滝のような雨脚を事務所の窓から
眺める。




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あいつはいつもの時刻より早く真っ暗になった外の風景に気を取られていた。
それは事務所前の道を流れる川の流れのような濁流と容赦ない空からの
滝の流れの光景とその騒音にあいつの心地はすでに騒がしくはあった。

突然電話のけたたましいベルの音色が事務所内を駆け巡る。
手に取る受話器の向こうからは悲鳴にも似た助けの声がする。
「一刻も早く帰って来て。もう車が。。。」
明らかに電話の主はパニックに近い状態だ。僅かな時間で瞬く間に
豪雨の濁流はあいつの車へと向かったらしい。
もう手に負えないとのあいつの妻からの声を終わりにしあいつは
早々帰り支度を済ませると会社のライトバンに乗り込む。
事務所から駐車場までの僅かな距離を傘は差しているのだが、全身は
びしょ濡れだ。想像以上にひどい雨量だ。
車に乗り込みワイパーを全開にするが視界が一向に開かない。
恐る恐る車を出発させ県道へと向かう。
脇道から大通りに入る手前から既に大渋滞。どの車の速度ものろのろで
人間が歩く方が早いくらいだ。
帰宅途中何度も携帯が鳴らされる。いずれもあいつの妻からの悲鳴だ。
次第に声量は大きくなり声質も高くなっていく。
切羽詰まった状況が手に取るように分かる。
既に自宅周りの脇道は通行止めであり自宅まで車で向かうことはできない。
自宅近くの24時間スーパーの大きな駐車場へ会社のライトバンを止めると
徒歩で自宅へ向かう。

余りのひどさに体が震える。自宅前の道は川だ。既に道路の体は全くなしてなく
濁流が何もかも飲み込んでいる。
その深さはあいつの膝までもあり力強く歩かねば川の濁流の勢いに巻きこまれ
そうだ。それこそ下手すれば溺れる。考えられない事実があいつ全身を襲う。
濁流の流れに必死に抵抗しひたすら歩み我が家へと向かう。
手に持つ傘は役目は一切果たさず邪魔にすらなる。
途中の川となした道を横切る通行止めのテープをくぐり全身びしょ濡れのまま
一歩一歩用心しながら歩む。

到着したあいつの駐車場に置かれた愛車は大きな川の中にポツンと寂しく
置かれていた。
前回襲った豪雨の際は車は水に浮かび少し流されまでもした。
だが今回は車のマフラー寸前の水かさだ。一刻も早く車を移動せねば。

周りの住民の方のアドバイスにより一時少し高台になった位置まで移動させる。
エンジンは無事掛かり移動もできた。思わず一瞬溜息をつく。

しかし、この場所も安心はできない。水かさは増す一方で引く気配はない。
今だにそれから落ちる滝の勢いは衰えず濁流に落ちる際の騒音は大きい。
眼の前を流れる濁流と重なり一向に開けない視界とその騒音のけたたましさに
僅かな身動きすら取れない。

あいつそして周りの車を避難させた人々は待つ。しばらく呆然と待つしかなかった。
雨脚が緩む。ほんの僅かな時間であるが確かに雨量が減った。
浸かっている足元の水かさも少しではあるが減る。

その時をまさしく狙っていたかのように皆自分の車に乗り込む。
滝のような雨に打たれながらも気丈な若き女性らの誘導のもと皆一斉に車を
動かし始める。
あいつもマンションの駐車場より車を脱出させるべくいくらワイパーをかき回そうと
一向に開けぬ視界の元ハンドルを両手で握りしめ無我夢中で車を前進させる。

濁流は続く。しばらくは川の流れにそれぞれの車は必死に抵抗しながら
前へ前へ一気に進む。次々とその時を待ちかねていた車の列は一気に
水かさが低い場所まで脱出を試みる。
連なる自動車の集団は脇目も振らずただひたすら前進する。

川が消える。濁流は道から消え去り本来の道の姿へ巡り合う。
見事にどの車も濁流に飲まれず無事大きな道へと脱出する。
次なる困難は大渋滞であるのは各自意識していたであろう。
人間の歩む速度すらない渋滞の波に全ての車は飲み込まれる。

だが、脱出の安心感からかひどい渋滞など一向に苦にはならなかったはずだ。
あいつとて一人へらへらニタニタと薄気味悪い笑いの表情を浮かべている。
あいつは呟く。車窓から視界を塞いでいる滝を眺めながら一人呟く。

「これが自然だ。」と。。。


それでは又です。



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2009.7.25by 博多の森と山ちゃん