10月8日 若き職人は溶接三昧!! そして時(14)。。。
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うまく付いているのだろうか。。。
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同内容はこちらブログでも読めます。
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あいつは決心する。相談する者など誰もいない。又必要としなかった。
未だ大人になりきれていない中学生という中途半端な年齢の心に決める。
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それから始まった。あいつは行動を開始する。
屋根裏に隠していた万引きで集めた様々なものを捨て始めた。
どれも一度も使用していない。又使用しようともしなかった。
盗んだ物は自分の部屋の押し入れのの天井を外し次々と仕舞い込んだ。
本、レコード、釣り道具、部活用品。
使えば万引きがばれるので隠したまま一度も日の目を見ない。
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あいつは先ず捨てる事から始めた。スーパーのゴミ箱へ。川へ。橋の上から投げ捨てた。
全てを捨てた。過去の事実を一切捨て去る。
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そして友達から誘われていた学習塾へ行く。その友人は万引仲間とは違う。
自宅近所に住む同級生だ。
随分前から誘われてはいた。しかし、一緒に行くのは今回が初めてだ。
この学習塾は個人の自宅でやっているこじんまりとした塾だ。
あいつが教えてもらう教室、時間はあいつを誘った友人ともう一人。
合計3人しかいない。家庭教師に近い。
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あいつは両親にも何の相談なしに通い始める。
月謝を払わなければならない時に初めてお袋に教える。
お袋は驚いた様子だったがすんなりとお金を月謝袋に入れる。そしてあいつに渡す。
お袋は誘った友人の名前を聞いて安心したようだ。
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塾の先生はとても優しかった。あいつのお袋より年配の女性だ。
あいつが無口でおとなしいのを理解してくれた。懇切丁寧に教えてくれた。
目の前の他の二人が掴みあいの喧嘩をしていようと。二人が他の事をしていようが。
その女性の先生は構わずあいつに教える。二人を無視して教えてくれた。
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あいつは塾を休まなかった。塾がある日は必ず行く。
他の生徒が休もうと決して休むことなく通った。
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塾に通い始めて即座に結果が出た。成績はぐんぐん伸びた。
試験がある度に点数は上がった。
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あいつは学校へ行くのが嫌いだった。学校で偉いのは喧嘩が強い奴だ。
腕っ節が強ければ大きな顔ができる。
暴力で支配された中学校はただただ暴力が生徒のランクを決めていた。
毎日毎日あいつは怯えていた。
物心付いたころから両親より暴力の怖さを体で徹底的に教えられていたあいつにとって
家庭だけでなく学校でも見せつけられる。
人間が獣であるという証明を学校でもあいつの頭に植えつけられる。
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あいつは一刻も早く逃げ出したかった。一刻も早く暴力学校からおさらばしたかった。
高校の評判は耳に入る。進学校以外はこの状態が続くのだと。
大学入学目的でない高校への進学は喧嘩が弱ければ今の生活と何ら変わらないと。
それが本当か嘘かなど確かめようがない。
しかし、あいつはすがる思いで暴力に包まれた生活から離れたかった。
勉強してレベルの高い進学校へ行くしかない。
成績を上げなるべく成績優秀者が集まる高校の受験を成功させるしかないと思いを募らせていた。
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塾の先生は優しかった。あいつに立ち入った事は何も聞かなかった。
例え聞いたとしても何も答えないのが分かっている様子だった。
一所懸命教えてくれた。決して怒らず。決して叱らず。笑顔で教えてくれた。
あいつはいつも無表情だ。青白い顔色のあいつは必要なこと以外何もしゃべらない。
それでも先生は決して感情的にならなかった。手を出すなどもってのほか。
決してけなさず。決して貶めることなく。
粘り強く。難しいところはゆっくりと。いつもあいつの理解に合わせて教えてくれた。
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お袋、親父は驚いた。
成績が急上昇したことに。家ではいつも机に向かっている事に。
しかし、あいつと両親との会話がほとんどないのは変わらなかった。
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受験する高校を決める保護者面談の席では学区一、二番の進学校のどちらにするかの相談だった。
それはわずか一年間で中の下の順位が学年で上から10番以内に入っている事の証明でもあった。
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高校受験は成功する。それは学区2番目の進学校でそれも公立高校だ。
両親はあいつをよそに喜んだ。しかしあいつの表情はいつもと変わらない。
ただ暴力からは離れられることに一人静かに喜んでいた。
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お袋がどうしても塾の先生にお礼を言いたいというので連れて行く。
お袋が先生と会うのはそれが初めての機会だった。
塾の先生はしきりに謙遜していた。あいつのおふくろは何度も頭を下げお礼を言っていた。
あいつは何も言わない。口は閉じられたままだ。
先生は笑顔だった。あいつのお袋は何度お礼をしたか分からない。
しかし、あいつも別れ際に一言。「ありがとうございます。」と。
先生は笑顔で答えてくれた。あいつはしばらくその表情を眺めていた。
あいつにとってそれが別れの挨拶だった。それ以来その先生とは会うことはなかった。
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もう何十年も立つ。今ではあいつも大の大人だ。
しかし、何故か塾の先生の別れの際の笑顔をたまに思い出す。
先生は遠い昔に他界しているはずだ。それなのに鮮明にあの笑顔は脳裏に焼き付いている。
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なぜだかふと思い浮かぶ。何故かあの笑顔突然浮かびあがる。
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そして涙が出る。思い出す度に涙が出る。何故か瞼が濡れる。
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大の大人。そして男のくせに。。。
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それでは又です。
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2008.10.8by 博多の森と山ちゃん
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