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2008年08月28日

8月28日 我が町工場には大き過ぎるのではないのか。 そして時 (9)。。。



旋盤チャックで掴めれば何でも削る。。。


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あいつが両親より叩き打ちのめされる毎日により次第に湧き上がり大きくなる。
あいつが年齢を重ねる度に鬱積された両親よりの容赦ない暴力により刻み込まれた
痛みの刻印は次第に姿を変形させ表面へと噴き出しつつあった。
それこそが時という流れでありそれこそが時そのものであったのだ。
時間経過とともに幼いあいつも少年へと成長しあいつ自身が自分の身体で覚えた
痛みに対する恨みそして憎しみ。
それによる行動とは然るべき仕返しそして復讐。
まだまだ低年齢のあいつがまともに小さき体で立ち向かおうとその結果はあいつであろうと
分かっていた。
小さな体で手そして足を出そうともいとも簡単に親父、お袋からはけんもほろろに避けられるのは
目に見えていた。

しかし、立ち向かう。あいつは行動に出る。
小さき心に否応なしに深く刻み込まれた恨みを晴らすために。
憎しみを実際の行動へと仕返しそして復讐するために。

家族皆寝静まった夜中にあいつは静かに蒲団から身を出す。
真っ暗の黒色に目を慣らすとあいつは静かに交互に足を忍ばせる。
両親の枕元まで近づき二人とも寝息が確実にテンポよく繰り返されているかを
しばらく聞き入る。
両親の寝顔を横目に布団の横を通り過ぎ目的地へと向かう。
忍び足そして呼吸すらせずに。一切音を立てずに歩む。
引き戸を渾身の力を込め自分の呼吸すら気に掛け静かにゆっくりと戸を動かす。
戸を引き小さな隙間を作る。体を横向きにし体を向こう側へと出す。
体全身が向こう側へと行き渡ると戸をゆうくりと力を込め閉じる。
ゆうくりと少しずつ動かしそして閉める。

歩く。足音を立てぬよう。一歩一歩左右交互に一切踵をつけずつま先のみで歩む。
到着する。目指すべく目的地へと到着する。やはり置かれている。やはりあった。
それはあいつがいつも確認していた場所であるしあいつが日頃目をやっていた箇所だ。
紛れもない今回の復讐の主役である。それこそが今回の目的地におかれた目的物なのだ。
あいつはその目的物を手に取る。そして静かに開ける。
まだ幼き小さな手で開ける。両手に持ち細心の注意を払いわざわざ周りに目を回しながら
手の指先まで渾身の力を籠め静かに開ける。
入っている。やはりお金は入っていた。小銭と札束が入っている。
音を立てることはできない。子供ながらにあいつは確信していた。
決して金貨を手に取ることはない。触ることすら一切しない。僅かでも物音は禁物だ。
一切音を立てることなどできるはずもない。
当初からの考え通り札束を一枚手に取る。何枚かの札の中から一枚のみを引き抜く。
目を凝らし金額を確認する。札を眼の前へ近づけその数字を目に当てる。
手に取った札一枚をパジャマのズボンのポケットにねじ込む。
財布を閉じる。静かに又しても指先までも渾身の力を籠め閉める。
元の場所へそおっと置く。物音立てずに呼吸を殺し元の場所へと置く。

戻らねばならない。仕返しの行動が終わるとあいつの布団まで戻らねばならない。
引き戸を静かにわずかに開けると小さき体を向こうへと横向きに忍ばせる。
体を全て出すと戸をゆっくりと閉める。忍び足は寝入っている両親の布団の横を通り過ぎる。
到着する。誰にも気づかれずあいつは到着する。
あいつの布団が既に目の前にある。札はパジャマのポケットに入ったままだ。
あいつは布団に入る。仰向けに横たわる。大きく呼吸する。心臓の高鳴りに気づく。
大きな呼吸を何度も繰り返す。溜息を付く。眠れない。心臓の鼓動がおさまらない。
それでも必死に眠ろうとする。しかし、目を閉じた体は一切眠気を感じさせない。
むしろ目がさえ眠るべき指令を脳が一切起こさない。
眠れない。何度も寝返りを打つ。頭に浮かぶ。様々な光景が目に浮かぶ。
心臓の鼓動は止まらず心配と不安の重なりが幾重にも重なり始める。
眠れない。眠らなければと思えば思うほど眠れない。

どれほど時が流れたであろう。時は一瞬であっても止まろうとしない。
いつしか周りが明るくなり始める。あいつは一睡もせずにとうとう朝を迎えそうだ。

とうとう眠らぬまま朝を迎えそうだ。
それはまだまだ小さき体のあいつのパジャマのズボンのポケットには
初めての盗みの証拠が入ったまま。


そして。。。




まだまだ続くとですがよかでしょうか。誰も読んでいないのに。。。


読破。
 「失われた夜の夜」ジャン=クロード・イゾ著
 「四つの雨」ロバート・ウオード著
 「斧」ドナルド・E・ウエストレイク著

 イゾのノワールは面白かった。この文体はフレンチノワールの特徴だろうか。
 哀愁のある文章はあの花村萬月とは違った趣で味わいがある。
 マルセイユ三部作の一作目らしいが他の2作も翻訳されることを期待したい。

 他の「四つの雨」は特に期待外れ。帯の絶賛多数の声に惹かれたのだが。




それでは又です。


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2008.8.28by 博多の森と山ちゃん