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2008年07月31日

7月31日 時 (2)。。。



俺は何十年と町工場の親父として君臨しているが元は一人の職人だった。
いくつかの町工場を渡り歩きそして独立した。
独り立ちしたのは人に使われるのが嫌だったせいもあるが、先輩職人を見るにつれ
その姿にあまり希望が持てなかった面もある。
だが、独立した最も大きな理由はその時代の周りの雰囲気に乗りかかったと言えるだろう。





新米職人として一人の青臭い若造に先輩職人は誰一人教えてはくれなかった。
それどころか気に食わないことがあれば容赦なく罵声を浴びせその上、工具あるいは
ハンマーまでもがこちらに向かい飛んできた。
俺は同輩がやるように先輩職人の働く姿を見て頭に刻み込んだ。
動作を盗み見して必死に自分の技量とした。
休み時間そして職人が帰宅した後に若手同輩達は皆練習に勤しんだ。
旋盤、溶接など鉄工職人は誰に教わることなく人先輩の姿を盗み見て必死に学んだ。
先輩の背中が教科書だった。

一つの技術、腕を身につけるとその工場は辞め他の工場へ移った。
そこでも誰も教える者はいないが必死に盗みとり自分の腕に刻み込んだ。

先輩職人は多くが気が荒く喧嘩沙汰が絶えなかった。
人付き合いは下手で黙々と仕事に励む者が多かった。
そのためその鉄工所での人間関係がうまくいかず辞める職人も多数いた。
その当時は全国を渡り歩り渡り職人が数多くいた。
中々一つの工場に地に足をつけ働くを事をせず様々な職場を転々とする職人が
数多くいた。

俺も若いながらいくつかの工場を転々とした。
それはまだまだ青二才ながら様々の腕を身につけようと意気込み、
職人としての腕を幅広く身につけようとする若き逞しさによるものだっだ。


それは使用人としては最後の町工場だった。そのことが最も直接的な独立のきっかけと
なった出来事でもある。
先輩職人の働く姿を見ながら常々あるアイデアが思いついた。
こうやればもっと早く出来上がるのに。ひとつ簡単な治具を作れば簡単にそれも短時間に
完成するのに。
一人前の職人の背中を見ながら思い浮かぶ事が多かった。
それでもまだまだ若い半人前の俺はなかなか言い出せなくもちろん行動に出ることは
なかった。
一人前の腕に到達していない俺が先輩を差し置いて言う勇気がなかなかない。

それでもいよいよまどろっしく思えた俺はいても立っておられずその町工場の職人ではなく
親父に直接訴えかけた。
その親父さんは職人でもあったが俺の意見に耳を傾けてくれ其れではやってみろと
早速やらそうとした。
ところが先輩職人は誰しもがうまくいかないと俺の意見に反対した。
職人は自分の仕事が奪われるはめになるため当然他のやり方には拒否するのは
分かっていたので俺が親父に直接訴えかけたのは功を奏した。
親父さんがやらせたのであれば誰も止めることはできなかった。

俺は親父さんが見守る中、汎用旋盤の爪で丸鋼を掴み芯を出すと操作レバーを
引き回し始めた。
俺には確信があった。この方法でやれば生産性が随分と上がると。
職人が常にやる方法とは逆の方法をとった。先ず外径から削り始めるが俺は内径仕上げを
最初に行いそれから他の部分の公差をマイクロで測りながら削り出した。
削る段取りの違いだけだがこれにより加工時間がかなり減った。

俺の行動を終始眺めていた親父さんは完成した部品を手にとりそれをしばらく眺めて
いたが唸り声をあげる。
「確かに早く出来る。」
いつの間にか俺の周りに集まっていた職人らは加工が終わった俺の姿を
胡散臭そうに見つめそして三々五々立ち去った。

俺は親父さんに認めてもらった方法でどの職人よりも早くより多く部品を完成させた。
ところが俺のやり方を真似する職人は誰一人いなかった。


間もなく俺はこの町工場を辞め独立する。親父さんは俺が辞めるのを必死に止めた。
俺に独立するとの発言には職人を使うのは苦労する。それにうまくいかないぞと
懸命に反対した。

それでも俺は親父さんのもとを離れ小さな町工場を始めた。
人に使われるのは性に合わないし、ただ仕事に励むだけの職人にどこかしら疑問を
抱いていた。。。




又しても、次回へと続けてもよかでしょうか。。。




それでは又です。


読破。
「漂流街」馳星周著
馳氏お得意のひたすら暗黒のノワールの世界。
又しても、堕落の世界を堪能させて頂いた。
かなりの長編だが一気に読めた。


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2008.7.31by 博多の森と山ちゃん



2008年07月30日

7月30日 急ぐが決して慌てずに。。。



真夏日の滴る汗も何のその。。。。


















其れでは股です。



2008年07月27日

7月27日 時 (1)。。。



確かに会社は持ち直し最近は赤字は出ていない。
バブル崩壊後の衝撃は和らぎ既に当時の慌ただしさからは解放されつつある。
ただ、昨今の原油、原材料の高騰による景気下降との周りのざわつきに少なからず
一抹の不安が体を過る(よぎる)。
しかし、我が町工場の現状を垣間見るに皆の踏ん張りでどんな荒波が襲いかかろうと
颯爽とそして憤然と立ち向かうであろう。
我が零細町工場の根底に流れているのはこの世から消し去りたい全くの理論なしでの
根性論、あるいは悪名高き大和魂ではないのだから。。。





常に零細町工場に適う戦略に基づき戦術を当て嵌める。
日頃新聞紙上を賑わす大企業なりの戦略には全く見向きもせずひたすら吹けば飛ぶような
零細弱者企業なりの道筋を這い廻らす。

しかし気に入らない。全てが気に入らない。
全く俺が導き出した考えでなく俺の存在が全く無視されたいや否定された会社運営だ。
俺の考えでやって来た。苦労して会社を興しがむしゃらに働き誰にも邪魔されずに
俺のやり方で疾走し突っ走った。
見栄はったりはもちろん常に傲慢さそして怒りをさらけ出し俺の内面の感情を隠そうともせず
癇癪をまき散らし闊歩してきた。
自負がある。長年会社をつぶさず職人へ給料、ボーナスを払い続けた経営者としての
自分なりの誇りがある。
思い通りにやって来た。人の意見など無視しひたすら自分を信じ行動した。

判断基準は好き嫌いだ。お客であろうと容赦しない。
気に食わなければその時点でものづくりは中止しクズ鉄となった。
職人、会社内部の人間には怒鳴り癇癪は常に破裂させた。

常に恐怖感を持たせ威厳を保つ。椅子には大きく構えどっしりと座る。
小言、苦言は当たり前で常日頃会社で働く者へ緊張を強いた。

特に職人に対しては怒りを露にした。いやそうでないと職人は働かない。
工場、現場では大声で怒鳴り威嚇し相手をひるませ仕事をさせた。
俺の思い通りに動かすためには笑顔は必要なく常にけなし咎める。
徹底的に欠点を責め完膚無き程に痛めつける。相手がどう思おうと関係ない。
作らねばならない。物を作ってなんぼのものだ。
物ができなけらば会社は傾きそれこそ飯の食い上げだ。

長年俺のやり方でやってきた。会社は儲けそして家族を養った。
他人お構いなしに自分の考えで俺の感情で常に押し通してきた。
何ら問題はなかった。いや問題など起こさせはしなかった。
傲慢、自慢、自負あらゆる自信が俺自身を包み込み会社の経営は順調だった。




次回へと続けてもよかでしょうか。。。




それでは又です。


読破。
「無間地獄 上 下」新堂冬樹著
「失われた男」ジム・トンプソン著
「デッドライン 上 下」建倉圭介著
「血と骨 上 下」梁石日著
「なで肩の狐」花村萬月著
「真夜中の犬」花村萬月著

建倉氏の今回の著作は名作だ。太平洋戦争とアメリカ、日本の人種差別を絡めている。
必要のない戦争への抵抗の無力感もにじませながら。

梁氏の著作の直接的な訴えには動せずにはいられない。他の作品も読んでみるつもり。

花村氏は独特の作風を作り出している。馳氏のノワールとは違う。


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 間もなく正式に次期乾燥機デモ機の完成の通達がだせそうブログあるはず。
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2008.7.27by 博多の森と山ちゃん



2008年07月26日

7月26日 我が町工場は一体何を作ろうとしているのか。。。



一体いつ完成するのか。


















其れでは股です。



2008年07月18日

7月18日 パイプの先端には何故布テープが貼られているのか。。。



我が町工場は一体何をしでかそうとしているのか。


















其れでは股です。



2008年07月16日

7月16日 根性。。。



「まずい。 エロージョンが頭から抜け落ちていた。」
管内流速をいくらなんでもこれほど落とすことは不可能だ。
熱伝導率を考慮し一時は銅管を這い回すべく試しにほんの少しではあるが部品一部を
作ったが瞬時にあきらめる。
決断後の行動はいつもながらあいつ女性専務の町工場は素早い。
それは全くの未練などあるはずもなくましてや根性とか大和魂とか日頃忌み嫌う
全くの理論なしの行動ではないのだから。。。





これだけ原油、化石燃料の値段が上がったうえ火を使う乾燥機の煤煙対策を
考えると火気未使用の乾燥機が脚光を浴びるのは自然の理だ。
CO2排出、ダイオキシン対策そして安全性も考えねばならず汚泥の脱水後の乾燥処理は
誰しもが火気は使用したくない。

あいつ女性専務の零細町工場の戦略は日頃書くように、大手が手を出さない、競争相手が
気がつかないそこはかとないかすかな小さな市場を目指し商品開発に勤しむ。
根底には常に儲けるが第一義の目的であるし利益を稼げないのであれば、会社には
金がないのであるから社名は当然至極この世から消え去る。
あいつの零細町工場で働く職人皆路頭に迷わぬよう必死に地べたを這いずり回り
日銭を稼がねばならない。

生き延びるために最も大切で必要不可欠な内容は営業戦略であることは重々承知している。
あいつの町工場は下請け、安請け合い、値段の叩き合いの案件はなるべくいや
決して手を出さず利益が稼げる商品、ものづくりを行わねばならない。

ちっぽけな九州は福岡、博多の町工場を誰が助けてくれようか。
銀行は金利で稼がねばならず、むしろ会社が傾けばそれこそ必死に引っ剥がそうとするのは
会社組織であれば当然だ。
国、政府などあてにする事を考えた時点であいつの町工場は下り坂を猛スピードで
駆け下りることになる。

いつもあいつの零細町工場には金がない。あいつは贅沢のぜという言葉さえ知らない。
月に一日休めば良いほうで服装身なりはいつもながらの作業着だ。
おしゃれに全くの無頓着でいつも家族に罵られるが本人は馬耳東風だ。
あいつにとっては仕事と読書。これだけ出来れば後は何も要らない。


いつも苦しめられる資金繰りの毎日であり、手許には全く金がないながらもあいつの
零細町工場は他の案件をこなしながら次なる火、火気未使用の乾燥機3号機目の開発に忙しい。
試行錯誤を続けながらあいつは目の色変えCADソフトとの格闘を続けている。

これがもしうまくいかなければそれこそあいつ自身御陀仏だろう。
会社運営に最も不可欠である金、そして職人の腕を存分に注ぎ込んでいる。
不安、心配は人間生きている限り決して消え去るものではなく募るそして大きくなる一方であり
小さくなるのはほんのわずかな時の経過でしかない。
常にもがき苦しむのであり楽しむことを一切拒否しひたすら淡々と黙々とものづくりに徹
し汗水を垂らす。
だが最も不要なる根性論、大和魂そして嘘はったりなどとは金輪際おさらばし
目の前にある事実とものづくり根底にある経験の上での技術、腕、理論、
日頃脚で稼いだ情報に基づき五感全体で感じ取った胸のざわつきを次なる
火、火気未使用の熱源低圧、飽和蒸気のみの乾燥機へ遺憾なく発揮するだけだ。


あいつは零細町工場が生き残るために誰にも決して頼ることのできない資本主義、自由経済主義の
日本国での過酷なものづくり商売をこれからも続けるのならばその冷酷な回答であるのは金だと
納得しているはずだ。だからこそ常に金に振り回される。


決して諦められないのは無借金経営だしそして金を振り回すことであるのは書くまでもない。


あいつは最近よく呟く。「やはり戦略と戦術には大きな違いがあるようだ。」と。。。




それでは又です。


読破。
「鎮魂歌 不夜城Ⅱ」馳星周著
「猛き箱舟 上 下」船戸与一著
「エトロフ発緊急電」佐々木譲著
「奪取 上 下」真保祐一著
「ブラック・ダリア」ジェイムス・エルロイ

ノワール、暗黒小説がやはり読み応えがある。
ノワール作家馳星周とエルロイは他の作品も読んでみるつもり。


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2008.7.16by 博多の森と山ちゃん



2008年07月14日

7月14日 自社製パイプベンダーと汎用旋盤。。。



実はパイプR曲げはこれからが本番。
今後の様子はいずれ又。


















其れでは股です。



2008年07月11日

7月11日 大きさ材質問わず汎用旋盤で削る。そしてパイプR曲げは。。。



パイプR曲げの様子はいずれ詳細に。


















其れでは股です。



2008年07月09日

7月9日 材質銅。ろう付溶接とエアーによる検査の様子。。。



後はエアーを入れながらの洗剤泡吹検査を残すのみ。


















其れでは股です。



2008年07月05日

7月5日 我らが職人は蒸し暑さをものづくりで吹っ飛ばす。。。



我が町工場の我らが職人のものづくり情熱は、いつの季節でも関係なく溢れ出ている。


















其れでは股です。



2008年07月03日

7月3日 何。。。



「いかんいかん。眠くなってきやがった。」
CADソフトを操りながらパソコン画面を睨んでいたあいつ女性専務の瞳に瞼が落ち行く。
ここ最近は取扱説明書、見積書そして図面描きと事務所で格闘する時間に追われる。
本来最も大切である外出先からの情報集めのための時間がなかなか割けない。
焦りを自分自身への怒りに似た感情へ変化させいつしか時の流れと共に
諦めへと心が誘う。





「明日は現場工事か。」あいつは眠気を覚ますため席を立ち大きな背伸びをする。
早朝よりの頭痛は頭痛薬を飲むことによりかなり和らいだがその副作用として
あいつを強烈な睡魔が襲う。


「それこそ事務所に缶詰だな。だが乾燥機完成の折には。」
一人ごち席に戻りCADソフトとの格闘を開始する。

入らぬ心配、不安があいつの頭そして五臓六腑を駆け廻る。
もし完成できなければ。伝えた期日までに間に合わなければ。
今だ碌に手がついていない自分自身を恨む。そして責める。

能力不足か。勉強が足りないのか。知識不足か。腕がないのか。そもそも向いていないのか。
決して必要としない慰めにもならない自分自身の心を搔き乱す騒音が泡を吹き、歯を剥き出し
あいつの脳裏に襲いかかる。
しかし、決して撥ね退けようとはせずに慌てず、心静かに落ち着きそして微笑みを浮かべながら
時に流れを理由としその時間の経過にあいつ自身全てを任せる。

こぶしを握る。固く閉じられた5本の指を見つめる。
ただ見つめる。そのまま凝視する。肌の色はいつしか桃色へと変化し額には汗が染み出る。
突然、懸命に握られた右手のこぶしは大きく広げられた左の掌へとけたたましい速度で
向かわせる。
そしてぶち当たる。音が聞こえる。こぶしが掌に当たった瞬間鈍い音が響く。
痛みが走る。あいつの左手が大きく振動する。
硬く閉ざされた右手を素早く離す。左の掌が赤く変色している。
あいつはその自分の手を見つめる。色はゆっくり元の肌色へ変わる。


閉ざされた右手はマウスを掴む。動き出す。左右前後に動かされ指で押される。


又してもパソコン液晶の中身は活発に動き出す。点の集合体は線となり図形、文字へ
と変貌する。


あいつは再び先ほど叩かれた左の掌を再び見入る。そして呟いた。




「だから何なんだ。」と。。。




それでは又です。


読破。
「ブルース」花村萬月著
哀しい切ない男のブルースですばい。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


読破中。
「竜の卵」ロバート・L・フォワード著


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 えっつ。本当に注文するのですかブログあるはず。
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2008.7.3by 博多の森と山ちゃん



2008年07月01日

7月1日 如何ですか。。。



「もう7月か。」パソコン画面を睨みつけながらあいつ女性専務は呟く。
画面に映し出された線と点の集合体の図面は何度も消されては浮かび上がる繰り返しの
模様だ。
その模様のもとにあるあいつのアイデアは図面化されるが即座に変更される。
「一体いつ出来上がるんだ。これでは肝心の乾燥機の図面描きが遅れるだけだ。」
怒りにも似た焦りを自分自身へとぶつけながら短い髪の毛を掻き毟る。





あいつ女性専務が常日頃頭に思い浮かべる今後の町工場の理想像をこの自分自身の手で
現実のもととするべく突っ走ってはいる。
あいつと一体化された理想の町工場を目指し、下請けを一切拒否し大手が手の出せない
競争相手が気がつかないかなり狭小であり、ほのかなそしてかすかな分野でのものづくり。
その分野の選択は今後の時の流れ将来は決して嘘をつかず、化石燃料の高騰、
CO2排出問題が追い風となりさらに確信を得るに至っている。

「うまくいかんばい。」嘆きに似た溜息混じりの言葉を聞きながらも今後も何度も繰り返される
のは既に予想されているのであり何ら心に動揺を起こさない。

値段の叩き合いになるどこでもできるものづくりとは一刻も早くおさらばし、次なるアイデアを
湧きださせ次なるものづくりを行う。
今回も試行錯誤の連続だ。既に過去の2つの製品は特許出願は行っているが
真似をされるの承知の上で次なる製品に血眼になり血をいくらでも注ぐ。

利益を稼げなければどこかの誰かさんに根こそぎ剝され這いつくばるどころか野垂死ぬことだって
あるかもしれない。
常に借金という言葉が頭から離れず追いかけまわされる。逃亡しようにもできるはずもない。
「お金を借りんですか~。もちろん返してもらわないかんですけど。金利をつけて~。」と
にこやかな表情の担当者の顔が決してあいつの頭から離れない。
「借りれば返さないかんやないか~。それも金利をつけて。」叫びにも似た声色は決して
表へはだせない。

「返せばいいんだろう。」と常に口づさみながら図面を描く。
ただ自分の脳みそを信じ自分を信じ次なる構想を浮かび上がらせる。

時は決して待ってはくれない。納期とともに返済日も待ってくれるはずもない。
ようやく緒につくことができたこの時期を逃すことは身の破滅さえ呼び起こすはずだ。
多くの受注残を抱えそして次なる注文が入り中々次なるものづくりへと身を起こせなかった。
壮大な決意でようやく端をが始まったのでありことさら急を要する。
全ての費用を常に資金繰りに忙しいあいつの町工場の資金でまかなわねばならないのだ。
だが、完成した暁にはもちろん手ぐすねひいて待って頂いてるお客様へ真っ先に報告し
実際にものを流す。
何としてでも血反吐を吐こうとこの九州は福岡、博多の土地を這いつくばっても先へと進める。
あいつ女性専務は決して孤独でも一人でもなく町工場そして職人共同体が目の前で
懸命にそして真摯にひたすら走り回る。
失敗という言葉を握りつぶし次なる第3号機目たる乾燥機製作にあらんばかりの情熱を
たぎらせる。

狭く小さな分野こそがあいつの選んだ場所であり引き合いが活発であるところからすると
間違いがないようである。
休みなど贅沢だと嘯くあいつにとって実のところ次なる第3号機の乾燥機ものづくりとは
金融機関と離れ離れなる絶好の機会となることへの期待で胸がいっぱいなのだ。

だからこそ休みなしで働き贅沢などするはずもなく仕事以外はただ唯一の趣味である
読書にふけるだけだ。



あいつは最近よく呟く。
「真似をされるは本当のものづくりだが、真似をするのもものづくりに違いない。
ただどちらを選択するかだろうが。俺はいいとこどりでどちらでも関係ないな。」と。。。


あなたのものづくりは如何ですか。




それでは又です。


読破。
「不夜城」馳星周著
どこまでも黒い小説ですばい。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


読破中。
「竜の卵」ロバート・L・フォワード著


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2008.7.1by 博多の森と山ちゃん