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2008年02月29日

2月29日 お詫び。。。



誠に申し訳ありません。この場を借りてお詫び申し上げます。
本年度に入り1月3日より本日に至る迄全く休みなしで仕事に励んでいるのですが
次々に舞い込む案件そして自分自身の至らぬ微力のため、
2月最終日である本日迄の書類提出のお約束でしたが正直申しまして今だ完成しておりません。
言い訳に過ぎないのですが、一刻も早く作成させ提出するためこれからも休日厭わず
仕事に勤しむ所存ですので何卒ご了承頂ければ幸いです。
確かに弊社は毎年この時期は最も多忙な時期なのですが、今年はそれに輪をかけ
より一層多忙を極めております。
既に5月連休までは目一杯の上それ以降の物件も具体化している状況です。
事前にご連絡申し上げております自社開発製品の改良製作完了後の弊社工場での
展示デモについても予定を大幅に遅れているのが現状です。
大変心苦しく恐縮ではございますがもうしばらくお待ちいただければ幸いです。
重ねてお詫び申し上げます。たいへん申し訳ありません。




下記掲載の写真はスクリューコンベアU型トラフの曲げ加工後の様子。
プレスで押した箇所の直線模様が明確に目に映える。


2008.2.29%281%29.jpg








本日亜鉛溶融メッキ屋へ一部のスクリューコンベアは旅立った。
メッキ後の歪が非常に心配だ。
スクリュー羽根の軸は断面モーメント、断面係数それに経験値により中間軸受を
必要としない設計であるが亜鉛槽の400℃以上の高温の湯がどの程度影響を
与えるか。
一旦軸がゆがむと元に戻すにはひと苦労もふた苦労もせねばならない。




2008.2.29%282%29.jpg




2008.2.29%283%29.jpg





最たる美貌を誇るあいつとて毎日生き延びればそれで良い。
会社とて同じことだ。生き延びる事こそが最重要課題であるしそれこそが本来の
目的だ。だがそのためには常なる革新、改革が必要なはずだ。
あいつは真っ赤なミニスカートで色白のスラリと伸びた魅惑の2本足で会社外を駆け廻り
会社へ戻れば日夜パソコン画面に向かう。
その行動は休日など関係なく四六時中仕事に勤しむ。
出るところが出た抜群のスタイルを何とか隠した作業着上着姿のあいつに会社内に
誰一人味方などいなくても全く期待などしていないのだから何ら特別の思いなどない。
女性ばかりの職人のあいつの町工場の名前を決して電話帳から消さぬよう
経営学を学び外の情報をかき集めそして地道に決して目立たぬようさりげなく実行する。
誰しもがなるべく気がつかぬように密かにそしていつの間にかに行動を起こす。
あくまでもいつしか自然に変化しているのであり静かで誰も気がつかない。

その方向性に間違いがないよう多方面から物事を見る事に努める。
決して思い込みそして頑固にならずにそれこそ見栄、自己顕示そしてプライドなど
から遠く離れ。
独りよがり、我がままにならぬように心掛ける。
自己中心にならぬ最も良い方法は客先への訪問であるのは既に結論が出ているのだから
それをいとも簡単に実行する。
客先、仕入先、競争相手そして世の流れに浸りその上で自分ながらの考えを導く。

いくらものづくりとて実際には売り方の革新に重きを置く方策こそが未来の経営革新の
近道であるのは分かっている。
営業の変革はアイデア勝負であるから費用はかけずにできるはずだ。
それに則り新規のものづくり開発を行う。
選択の幅をなるべく狭め決して大手が手を出さない、あるいは競争相手が気がつかない
分野へと集中する。
力を集中そして結集することにより、より大きな力が発揮できる。

従来よりあいつの町工場にもある馴れ合い、あるいは傷を舐め合うなどの行為を一切拒否し
責任を国、政府のせいなどと嘯く輩から距離を置く。
何もかもが目の前に起こっている事実はあくまでも本人の責任であり他人が
引き起こしたものではない。
常に努力を重ね自分自身を研鑽せねばならぬ。

決して認められなくも良い。独り静かにさりげなくそして密かに努力を続ける。


つぶらな瞳のあいつとて帰宅後も家族からは罵られる。
「家庭を少しも顧みず休みなく働いているが一向に金持ちになれない。」
「少しは家族の事も考えてよ。」
「いつも会社での開発品はいつも失敗ばかり。」


あいつは決して期待などしていないのだが粘り強いあいつとてやはり疲れる。
いくら休みなしの仕事に慣れてはいると言いながらも少しは疲れは出る。




あいつは本日も夜遅く仕事を終えると帰り仕度を始める。
「まだまだ山ほど残っているな。」と一人つぶやきながら厚手の防寒ジャンバーを着込む。
厚手の手袋をはめ耳にはいつもの経営勉学のCDが仕込まれたプレイヤーのヘッドフォンを
両耳に入れ込むとあいつ以外誰もいない事務所を後にする。
事務所の扉の鍵を閉め込むと階段をとぼとぼと降りる。
「少し疲れが溜まっているのか。」
重い足取りで階段を一歩一歩降りる。
一階の倉庫のシャッターを下ろすと再び鍵を掛けいつもの隠し場所へ放り込む。
やはり寒い。今日で2月も終わりだがまだまだ春は遠いようだ。
コンクリートジャングルに覆われたアスファルトの道をあいつは歩み出す。

あいつが歩み始めたその時だった。あいつがいよいよ帰り路を急ごうとしたその間だった。

目の前に車が止まる。真っ赤な車はあいつには見慣れた4輪車だ。
あいつはその車へ近づく。運転席の窓が下される。
窓の向こうにある顔があいつへ話し掛ける。
「疲れているんだろう。迎えに来たよ。」とあいつの旦那が優しくあいつへ言った。
助手席にはあいつの息子が微笑みながらこちらを見ている。

あいつは一気に疲れが吹き飛んだ気がした。

それはさりげなくでもなく静かにでもなくそれこそ派手に。。。




それでは又です。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス著


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2008.2.29by 博多の森と山ちゃん



2008年02月28日

2月28日 プラズマ溶断機の切れ味は鋭い。。。



我が町工場にはプラズマ、溶接他様々な光が輝く。。。


















其れでは股です。



2008年02月27日

2月27日 我らが職人は今日も溶接の閃光と共に。。。



溶接ビードの唸り音は我が町工場に絶え間なく鳴り響く。。。



















つぶらな瞳のあいつ女性専務はいつもながらに胸の中がざわつく。
だがその感情をなるべく外から垣間見られぬよううっすらとした微笑みで懸命に耐える。

いつもそうだ。何らあいつが小さな頃から変化がない。
人間とは時の経過とともに成長するものではないのか。
その進化の度合いが一向に感じ取れない。
それを頑固と言う代名詞でまやかし自己主張が強いと盛んに叫べばそれで済むのか。
確かに些細な小さなと言っても権力と言う本人のみが偉大なる力を持っていると
信じきっている証拠かも知れない。

他人の意見を聞かないため一向に視野が広がらない。
自分以外の意見どころか存在すらを認識できずひたすら自己の正当性を主張する。
他人を褒めることなど論外で他人を叱りそして他人を謗る事こそがまるで
生きがいかのようだ。

もう嫌だ。
実は一緒にそこにいるだけで虫唾が走る。
一緒の空間で呼吸をしているというだけでその場から立ち去りたくなる。

会話をしているとやる気がうせる。
やる気満満だとしてもその人物と会話していると意気消沈しいつしかその仕事を
投げ出したくなる。

雰囲気で分かる。
常にしかめっ面のその人物が近づくだけで逃げ出したくなる。

何もかもを口だけで済まそうとする。
言い訳の量には驚く。止め処もなくいつまでも騒ぎ立てる。
決して自分自ら動こうとはせず自分の席にふんぞり返る。

それこそが長でありそれこそが権力者なのだ。

自分の言う通りに人が動き、自分は何もしなくても勝手にうまく動く。
いつも盛んに罵り叱ってさえいれば人は動きそれこそが長たる使命の仕事だ。
常に小言、叱責は忘れず賞賛の言葉など吐くはずがない。


過去はそれでよかった。昔よき時代はそれで何ら問題なかった。
しかしやはりこの世は正直だ。
時代は変遷を繰り返し時は世の流れを変える。

こんなはずではない。こんな事になろうとは。
取り返しのつかない事実が近づこうとも気がつくはずもない。
過去の栄光にひたすらすがり常に昔を振り返る。
長であるから当然ながら何事も自分自身に起因しているのだが
分かるはずもなくひたすら他人、部下の責任とする。
それは責任転嫁と言うのだが本人にとってはそれは決して認めない。
いや認めるという認識すら備わっていない。
何事も目の前の事項は他人が起こした結果であるし確かに決して自らは手だし
していない。

あいつはだからこそ静かに時を起こす。
なるべく波風立たぬよう独りひっそりと努力し勉強しそして密かに実行する。
なるべく目立たぬように。
いつの間にか流れているように。いつの間にか物事が自然に起こっているかのように。

決して反抗などしない。常に我慢を重ね微笑みでごまかす。
あくまでも静かに。そしていつの間にかに変化が目の前に起こっているかのように。

物事の突然の大きな変化を起こしてはならぬ。
決して悟られてはならぬ。

変化を起こすのに味方などいらない。僅かな変貌を遂げ続けるのにたった一人の勢力で
十分だ。
その変化に伴いいずれ味方が現れるだろう。
変革に伴い追随する者が増えるに違いない。

しかし、振り返ってみると恐ろしい。
あのまま過去の栄光に浸っている長の言いなりになっていたのであれば。
今頃どんな結果になっていたのだろう。怖い。

静かなる僅かなる小さな変化を起こすことにより何とか生き延びている。
だが自己顕示力と名誉欲の塊の人物には決して変化が見れない。
それこそが生きがいなのであろう。それを変えようとも思わない。
如何に利用するかだけを常に考える。


その考えに至るまでには長きにわたる年月が必要だった。
ひたすら打たれ続けたが故にその通りにあいつは非常に打たれ強い。
しつこく叱責されたが故に非常に粘り強くなれた。

感情を持つ人間であるが故に妬み、恨みが全くないかと言えば嘘になる。

だがあいつにとって試練の環境を与えてくれたことに対して感謝こそすれ
決して非難中傷の的ではない。


しかし、これからも我慢と微笑みはひたすら続く。。。




それでは又です。


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2008.2.27by 博多の森と山ちゃん



2008年02月26日

2月26日 我が町工場は一体何を作っているのか。。。



大至急製作中。!!


















其れでは股です。



2008年02月25日

2月25日 そうだよね。今日(きょう)は。。(2)



週の初めである月曜日はより一層慌ただしさが増す。
もちろん最たる美貌のあいつ女性専務とて同様でゆったりと席を温める暇などない。
スラリと伸びた魅惑の2本足で外へと出向き本日は現地での打ちあわせだ。
出るべきところが出た抜群のスタイルのあいつは今回も女性ばかりの
我が町工場から職人を連れ出す。
頑固な職人をなるべく客先へ連れて行くことにより関心を外へと向けさせる。
本来の指導者は紛れもなくお客様なのは書くまでもない。





其れでは前回昨日の続きを。
前回の終りの部分を少々記載。



あいつはふと気が付く。あいつは遠くに何かの気配を感じる。
冬の地上付近で降りしきる雪を遮るがごとくに茫洋とした何かが現れたことに気付く。
遠くに今しがた現れたその何かはこちらへと近づいているようだ。
どうも人間であるのは間違いがない。
一歩一歩近づく何かは人間の姿であることには間違いがないようだ。
その姿はあいつの方へと近づく。
次第にあいつへと一歩一歩近づく。。。



其れでは続きをご堪能されてください   ませ。



当初は全く見当がつかなかったその姿は次第にあいつの瞳にはっきりと映し出される。
その姿があいつに近づくにつれ茫洋が明確へと変換される。
一定の速度である姿の歩みは近づくにつれ地面を交互に踏みしめる音色が
あいつの聴覚を次第に大きく刺激する。

背恰好はとても小さく右手には大きな傘の柄が握られている。
傘には真っ白な雪で覆われまるで積まれた雪そのものが歩んでいるかのようだ。
あいつはこちらへと向かうその姿の歩む姿に胸騒ぎがする。
近づくにつれ落ち着きは無くなり寒さ以外の震えがする。
目の前の光景を決して現実ではないと疑いながらも近づく姿を見つめる。
大きな傘にさえぎられその人物の顔形を眺めることが出来ない。
しかしあいつはその姿の仕草により既に自分ながらに結論を出していた。
だがその結論は今だあいつには信じることはできない。

その姿は小さな少年で下を向きぶつぶつ何かを呟きながらこちらへと向かっている。
とぼとぼと歩きながら決して顔を上げずにまるで地面と会話をしているかのようだ。

その仕草。動き。その歩き方。話し方。忘れるはずもない。
いや四六時中決して頭から離れたことがない。
思い返せばもうそんな年頃だ。即座に指折り数を数える。
あいつの胸は熱くなりこみ上げる。
あいつは周り構わず近づく姿の背の高さに合わせようと膝を折る。
向こうから近づく大きな傘の行く手をあいつは塞ぐ。
小さな少年はあいつの気配に気づいたのか顔をあげ立ち止まる。
表情は硬く口元の独り言の呟きは既になく可愛らしい目は大きく開けられあいつを見つめる。
あいつは目の前にいる我が息子の成長した姿をまざまざと眺める。
とめどもなくこみ上げるものにあいつには我慢が出来ない。
あいつの頬を伝わる涙がいつしか地面へと落ち少しの積雪を溶かす。
我が息子がぼんやりと佇んで見えるのはあいつのとめどもない涙の答えだ。

突然。息子が口を開く。大きな傘を抱えたままあいつへ話しかける。
「あんたがお母さんでしょう。まだ覚えているよ。」

あいつは頷く。

「どうして家に帰ってこないんだ。僕はずっと待っているんだ。」
「お父さんと妹と3人でいつも家で待っているんだ。ず~と待っているんだ。」
「どうして帰ってこないんだ。」

あいつはただ涙を流す。

「お父さんはちょっとしたら帰ってくると言うけど全然お母さんは帰って来ない。」
「妹と一緒にずっと待っているだから。」
「どうしてお母さんは帰って来ないんだ。」

「妹はね。お母さんの顔を忘れるかもしれないて言ってた。」
「僕もね。お母さんの顔忘れるかも知れない。」

「友達の家へ遊びに行くとどこでもお母さんがいた。」
「でもうちにはいないし。お母さんは全然帰ってこない。」

「本当はね。僕はね。悲しかったんだ。泣きたかったんだ。」
「友達のお母さんを見るとね。僕何故だか泣きたくなるんだ。」

「誰にも言わなくて隠しているんだけど本当はね。我慢しているんだ。」
「泣きたいのをいつも我慢しているんだ。」
「妹に見られたらかっこ悪いし。お父さんに心配かけたらいけないし。」

「でもお父さんがきっと今日は帰ってくるって言ってた。」
「でも今日はここに行けばお母さんに会えるし一緒に家まで帰ってくるって
お父さんが言っているんだよ。」


「お母さん。今日は一緒におうちへ帰るんだよね。」


あいつはひたすら流れゆく涙のせいだろうか。一切口を開かない。
しばらくあいつは目の前で必死に訴え掛けている小さな少年を見つめるだけだ。

しかし、あいつはとうとう口を開く。いよいよ涙声で優しく息子へ問い掛ける。

「なぜお父さんは今日は家へ帰ってくるって言っているのかな。」


少年はあいつの顔をまざまざと見つめながら答えた。




「だって、おうちにお母さんの誕生日ケーキを用意しているから。」。。。




それでは又です。


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2008.2.25by 博多の森と山ちゃん



2008年02月24日

2月24日 そうだよね。今日(きょう)は。。(1)



相も変わらずあいつ女性専務は今日も知識労働に励む。
平日は外に出る機会が多く中々自分の席を温めることができない。
そのため日曜日と言う国民の休日こそが最たる美貌を誇るあいつにとって
恰好の仕事日なのだ。
静かなる休日こそがあいつにとっては最も都合が良い労働日なのだ。





降りしきる雪のなか傘を掲げ徒歩による通勤で何とか事務所へと到着する。
この地博多の街でも久方ぶりの銀世界が舞い込んだせいだろう。
人通りどころか車通りさえまばらだ。
朝の早い時刻と真っ白な雪が舞い散る空間が相俟ってひときわの静寂なひと時を模造する。
吐く息の白さはときに吹く突風により瞬く間に飛び散る。

抜群のスタイルが着こんだブルゾンからも垣間見れるあいつは厚手の
手袋のまま事務所のシャッターの鍵を開け、冬の寒さを解き放つべく事務所の階段を
一気に駆け上がる。
事務所内へ足を入れると屋内での仕事姿への変身を試みる。
手袋をはずし、マフラーそしてブルゾンを自分の体から解き放つ。
身支度が終わると即座に自分の席を占領しパソコンの電源を入れる。

本日の寒さへの必要な抵抗のため席の真横に灯油ストーブを配置する。
ひときわ本日は寒さが体に染み入る。気温の低さに窓ガラスを通して見渡せる
真っ白な雪が作り出す冬空の空間が追加されより一層の冷酷さがあいつを襲う。
あいつの真横にある灯油ストーブの真っ赤な赤外線の光のみが
冬の白き寒さへの唯一の反抗だ。
ストーブの遠赤外線の暖を独り占めしながら知識労働たるCADソフトによる図面書きに勤しむ。
時折窓を鳴らす雪交じりの強い風の音はあいつの眠気覚ましとなり
それこそに自然そして天があいつの仕事姿を応援しているかのようだ。

色白のスラリと伸びた2本足をほんの少し隠した真っ赤なミニスカートの出で立ちの
あいつはそれでも脳細胞の疲れを感じざるを得ない。
懸命にパソコン液晶画面に向かいキーボード、マウスと格闘し続けるのだが
次第につぶらな瞳の瞼が落ちゆく。
必死に瞼を上へ上へと向かわせるのだが中々神経細胞の信号が届かない。

ついぞ天井を見上げ立ち上がり大きく背伸びをする。
こぶしを握り存分の力を発揮し天を突く。大きな深呼吸をしながら両手を下げる。
あいつはハンガーへ掛けたはずのブルゾンを再び着込み先端に鉄芯で覆われた
安全靴が履かれた魅惑の2本足で歩み出す。
仕事の進捗を妨げる知識労働の疲れを癒すべく階段を駆け下り事務所を後にする。
今だ雪が舞い散るコンクリートジャングルに覆われた博多の街のアスファルトの道を
歩み出す。
いつもはものづくりの騒音で賑やかな女性職人ばかりの町工場も静かだ。
日曜日と言う曜日を思い出す。
既に屋根は雪の白さに覆われている。その白さに天から次々を落ちゆく白さが重なる。
雪とて重なる。人間も同じく年輪を重ねる。

あいつは決して後悔などしていない。
例えその時点での過去の判断が若気の到りそのものだとしてもあいつ自身の決断であり
決して後ろめたさなど微塵もない。
誰しもがそうであるように、怖いもの知らずでそのうえ独りよがりな面もあった。
即座に感情的になり表情にも隠さず出す。
喜怒哀楽そのものがあいつそのものを支配しそれこそが判断の基準でもあった。
一方の偏った面のみしか見ることができずそれこそが真実であると信じ込んでいた。
行動はまっしぐらに周り構わず突き進む。
過去は既に歴史ではあるがそれこそが若さと言う証明でもあった。
年を重ねるごとに冷静さを身に着け様々な方面から物事を見る事が出来るようになる。
それに伴い怖さそして不安、心配があいつ自身を頻繁に襲うようになる。
だがその現実は今現在であり決して過去ではない。
未来に向かいあいつ自身は変化するし又変化せねばならない。
決して立ち止まることはなしに懸命に前へと進む。
だが歩むために備わる装備は年輪、年代とともに厚みを増す。
その厚みこそが年を取ると言う証明であるし、今だ薄っぺらな肌着のままであるのであれば
それこそ必死の覚悟が必要だろう。

今更ながらに決してその時点での過去の判断には誤りなどあるはずない。
実のところ何が正解で何が誤りなど誰しもが知る由もない。
時代と言う変遷すら判断の基準は大いに係わる。
だが、あいつは信じている。これだけは決して疑わない。
いつの時代とて決して変らない事実を。
それは何事でも時間が解決してくれるということを。


町工場前で佇んでいるあいつは牡丹雪で黒髪から安全靴の先端まで真っ白に衣替えを
行っているかのようだ。

あいつはふと気が付く。あいつは遠くに何かの気配を感じる。
冬の地上付近で降りしきる雪を遮るがごとくに茫洋とした何かが現れたことに気付く。
遠くに今しがた現れたその何かはこちらへと近づいているようだ。
どうも人間であるのは間違いがない。
一歩一歩近づく何かは人間の姿であることには間違いがないようだ。
その姿はあいつの方へと近づく。
次第にあいつへと一歩一歩近づく。。。




今日は日曜日で誰も読んでいないだろうから次回へ続く。。。




それでは又です。


読破中。
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2008.2.24by 博多の森と山ちゃん



2008年02月23日

2月23日(2) 我らが職人がスクリュー羽根溶接取付中。。。



亜鉛溶融メッキを施すため全溶接は禁物。


















それでは又です。



2月23日(1) モーターより唸り音がし始めたために。。。



客先稼働中の弊社製作、据付ではない、あるコンベア。
既に長期に渡り使いこまれている。
最近頻繁に停止するという相談を受ける。。。





確かに弊社製のコンベアではない。
しかし、とても懇意にして頂いている有り難いお客様だ。
無碍に断る事などできない。時間を絞り出し客先へと直行。

早速現場へ到着後状況確認。
実際目の前でコンベアのスイッチを入れて頂くと確かに動かない。
しかし、モーターよりかなり大きな唸り音が聞こえる。
マグネット、ブレーカーは何ら動作していない。
過負荷、漏電の可能性を即座に否定。

唸り音が聞こえるモーターへ人間の手で補助的に力を加えると即座に稼働。
動き出す。一旦動き出すと全く問題なく正常運転。

頭を捻るに運転開始時の過負荷が原因としか考えられない。
その時点ではモーターの悪環境での長期使用原因によるモーター巻き線の劣化と判断し
モーター自体の交換を試みる事に。
その時点で電気系統の詳細調査が必要だったのかも知れない。
しかし、一旦動きだすと止まることはないため電気調査は行わなかった。
ブレーカー、マグネットが何ら反応しないのが少々腑に落ちなかった。




後日モーター交換を行う。その際モーター周辺スプロケット、ローラーチェーンの取り換えも
同時に行う。
交換終了後試運転開始。スイッチを入れる。
ところが動かない。又しても新品モーターより唸り音が。
全く動作せず唸り音のみが工場内に響く。
今まで通り人間の手で補助すると動き出す。
一旦動き出すと何ら全く問題がない。

稼働中に電流値を測る。定格の半分以下の値だ。
腑に落ちない。開始時に過負荷であればサーマルが飛ぶはずだ。
一切反応しない。
稼働中の負荷はそれこそ全く問題がない。
運転開始時の唸り音がちょっとした人間の手の補助で即座に克服する。
何故だ。さては頭をひねくりまわすが何ら解決案が見当たらない。

結局、電気系統の専門家を呼ぶことに。頭を下げ私目はすごすごと退散する。



帰社後客先から連絡が入る。原因が判明したとのこと。
その原因を探し当てるのは電気屋さんもかなり苦労したとこのこと。

その回答とは。

「押しボタンスイッチの接点不良による単相状態。」

それが今回の不祥事の理由。

備忘録として記す。。。




それでは又です。


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2008.2.23by 博多の森と山ちゃん



2008年02月22日

2月22日 我らが職人は如何なる溶接姿勢でも難なくこなす。。。



明日は現場工事をこなさねばならない。


















明日からいよいよ誰もが密かに読んでいるそこはかとない物語が始まるかも知れません
ですばい。


と言うことで本日は。
それでは股です。



2008年02月19日

2月19日 再試運転後スパイラル、スクリュー製作中。。。



一体何が出来上がるのか。。。



















つぶらな瞳のあいつ女性専務はいよいよ新たなる案件を断る。
お役に立てなくて大変申し訳ないと思っている。
その断わりの理由の一つには確かに昨今のとめどもない慌ただしさがある。
あいつの女性ばかりの町工場とて職人の数は仕事が少ない暇な時を基準にしている。
そのため一旦ことが起きると一人一人が果敢にそして懸命に体を動かし
知恵を絞り出しながらものづくりに励まねばならない。

だが断わりを入れたのはその理由だけによるかと言うと実はそうではない。
最たる美貌を誇るあいつの町工場とて戦略が土台にはありそれに基づく
判断もあるのだ。
番外弱者である町工場にとって最も重要な戦略手段として選択そして集中が
掲げられるのは書くまでもない。
あくまでも狭い分野へと全体の力を集中させなるべく力が分散しないよう心掛ける。
やみくもに何でもこなしたとしても果たしてそれが本来のやり方かというと
疑問符が付く。
どれだけ独自性が発揮できるか。どれだけ他にはないものをつくりだせるか。
あくまでも長期戦略に基づき、それに見合った内容であるかが重要な鍵だ。
将来を見つめ未来を基準に戦略を練りそして実行する。

あくまでも戦術は戦略とは異なるものであり戦術は戦略を一切補うことはできない。
女性ばかりの町工場とてじっくりと戦略を練りそれに基づく行動を起こす。

だがその戦略の根底には外にある情報であるのは当たり前だ。
常に様々な情報を仕入れその上で戦略を練る。

今回は慌ただしさに戦略を加味した上で結論を出した。


これによりバタ貧病が少しは治療できればもっけの幸いだ。




今後如何なる事になるかは。。。やはり神のみが知り得るのか。。。




それでは又です。


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2008.2.19by 博多の森と山ちゃん



2008年02月18日

2月18日 我が町工場も週明けは慌ただしい。そして川のせせらぎ(2)。。。



今週も一息つく暇などない。。。



















其れでは昨日の誰かが読んでいるちょっとした良い話かもしれない物語の続きを。


先ずは前回の終りの部分を。


どれくらい待ったであろうか。
やはりあの話はただの噂であり事実でないのだろうか。
単なる架空の話で実際の事実ではないのだろうか。
中々現れない時の変化を待ちわびいつしかあいつは不安になる。
もうしばらく待っていよう。季節そして今日の空。まさしく絶好の日取りに違いない。
必ず今日という時であれば叶えてくれるはずだ。
あいつは寒さの中震えながらもいよいよやってくるべくその時を待ちわびる。




あいつは噂に聞いていた。この街に伝わる中途半端な都会伝説なるものを。
周りの人物はまことしやかに嘯き、いや誰しもが決して嘘ではない真実だと
泡を飛ばしながら言葉をつなぐ。
それはあいつの町工場付近のみに伝わる伝説であり昔から語り継がれた由緒ある
過去からの歴史そのものが映し出された理屈だ。
だからこそあいつはひそかに信じ続けそしていつの日か試そうと心に誓っていた。

この都会の伝説を自分の身で証明するためあいつはいよいよ今日という日を選ぶ。
実のところそれを真実であることを証明し得るには三大条件が高く聳えていた。
あくまでもその3つの事項を必ず踏まえておかねば決して眼の前には現れない。
ではその3大難関制限条件とは一体何であるか。
先ずは寒い日であること。そして晴れた日であること。
最後の条件としては何と休みなしで仕事をしているという事だ。

あいつはこれら難関たる厳しい条件を見事に乗り越える事ができ得る本日を
わざわざ選択する。
だからこそあいつは今日という日を選んだ。

そのため川を横切る橋まで歩きそしてその橋の真中で立ち止まる
橋の下に流れ行く川のせせらぎに耳をそば立てる。
川の流れを見つめいずれ現れるであろう伝説の出現を待っている。
その伝説を証明するがために冬の寒さに震えながらもひたすら橋の真中で待つ。
あいつは条件を見事制覇しているのだから 必ずしや都会伝説の証明が
必ずしや目の前へと出現すると確信すらしている。
だからこそ待つ。たまにあいつに襲い掛かる冷たい突風にも敢然と立ち向かい、
そして日頃ふところに吹く隙間風にも何ら表情ひとつ変えずに待つ。
但し、この隙間風には日頃慣れ親しんでいるには書くまでもないだろう。

しかし、実際にはいくら待とうと現れない。長期に渡りそこで立ちながら待ちわびて
いるのに一向に現れる気配すらない。
いくら噂の真実を身をもって証明しようと頑張ってはみても実際目の前に現れないのであれば
仕方がない。
条件が皆揃ってはいるものも今のところいくら待ってもその伝説は現れない。
やはりあれはあくまでも噂で真実ではなかったのであろうか。
あくまでも伝説は伝説であり一切が過去でありそれ自体が嘘であったのであろうか。
あいつはおもむろに携帯電話を取りだすとその画面に映し出されている時刻に見入る。
あいつはとうとうあきらめる決断をする。
やはり成果がないその事実にあいつの表情には全く笑顔はなくなり、失望のみがあいつを覆う。
あいつは首を垂れいよいよ事務所に戻ろうかともと来た道へと体を向ける。

その時だった。その瞬間だった。あいつが体を振りむけたその瞬間だった。
あいつの耳に聞こえる。あいつの耳に入る。あいつの耳に声が届いた。
その声はいつも聞き慣れた声でありいつも慣れ親しんでいる声だ。
紛れもなく我が息子の声であり我が息子があいつを呼んでいる声だ。
我が息子があいつを懸命に呼んでいる声だ。
あいつを呼びかけている息子の方へとあいつは体を向ける。
果敢に手を振りながら走り近づいている息子の方へ体を振り返る。
息子はあいつのそばまで近づくとあいつへと走り込んだ苦しい呼吸で
とぎれとぎれにあいつに話しかける。
だが、その内容は今日は家族揃って昼食を取ろうという事だと即座に分かる。

あいつは再び微笑みを取り戻すと向こうで車と一緒に待っている旦那の方へ
今だ幼い息子と手を取り向かう。
旦那も車から出て手を懸命に振っている。
あいつは握っている我が息子の手のぬくもりを感じながら旦那の方へと歩む。
我が息子はあいつと手を握り一緒に歩くだけでも楽しそうだ。
息子が掴んだその手の振りはとても大きい。

あいつは車の後部座席に乗り込む。後部座席の横には既に我が息子もうれしそうに座っている。
運転座席に座っている旦那が後ろの座席の二人へ声をかけると車が走り出す。
しばらく誰も何も話さず車のCDから聞こえる音楽のみがその静寂を助ける。
しかし、3人の顔の表情にはいずれも微笑みが浮かんでいた。
共有する空間の楽しさをそれぞれが満足しているが如くに。

しかしまずあいつが口を開く。
あいつは目の前で運転している旦那へ優しく声をかける。

「あの伝説本当だったよ。」と。




では一体その伝説の内容は何かと言うと。
このブログを密かに読んでいる読者だけに教えよう。
その噂の真実とは。。。




「そこで待っていればその本人の本当の幸せが分かる。」ということ。。




それでは又です。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


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2008.2.18by 博多の森と山ちゃん



2008年02月17日

2月17日 川のせせらぎ(1)。。。



只今製作中のホッパーとスクリューコンベアトラフの写真を少々掲載。




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本日日曜日も厭わず最たる美貌のあいつ女性専務は仕事だ。
凡才なあいつの取り柄の一つに休みなしの長時間労働がある。
その特徴を本日も実行しようと平日いつもの時間と何ら変わりなく目を覚ます。

我が息子の寝姿を確認するといつもながら体は布団からはみ出ている。
一切布団に覆われていない息子は体全身を丸めて必死に寒さに耐えながら寝入っている。
いつもの日課である行動を今回も行う。
あいつは息子の体を布団の中心へと移動押させ毛布そして掛け布団をかける。
息子は一切起きず今では布団にくるまれ相変わらず心地よさそうに眠っている。
あいつの横で就寝中の旦那も起こさないよう忍び足で寝室から出る。
ふすまもゆっくりとなるべく音をたてぬよう閉める。

いつも以上に早朝の日曜日の静寂に覆われた空間の中、急ぎ出社準備を整える。
両耳にヘッドフォンを突っ込むとランチャスターの講義を耳に入れながら早足に会社へと向かう。
人通りそして車通りさえ少ないコンクリートジャングルに囲まれたアスファルト歩道を一人歩む。

会社事務所に到着するとシャッターを開け社内へと入る。
誰も居るはずもない空間の中のいつもの椅子を占領すると早速知識労働に励む。
平日のざわつきの乏しさがあいつ自身の仕事の促進に役立つ。
電話等の邪魔が入らない静かな空間にパソコンからあいつ好みのマイナーな
音楽を耳に入れながらもCADソフトを駆使し図面書きに勤しむ。

どれほどの時間が経過したであろう。
耳に聞こえる音楽に刺激されいつしか思い出される。
それは突然にあいつの頭を刺激する。
刺激された脳細胞にあいつはいてもたってもできず席を立つ。
あいつはその事実を確かめることを思い立ち、いつものいでたちにブルゾンを羽織ると
事務所階段を駆け下りその目的の場所へと向かう。

急ぐアスファルトの道の途中で立ち止まる。そして首を上に向け冬空を仰ぐ。
寒空はこの時期珍しく真っ青な色で覆われところどころには真っ白な綿菓子模様の
雲が漂っている。
その空の青さに今更ながら本日が絶好の時であると確信を持つに至る。
あいつは一人頷くと微笑みの表情で再び歩み始める。
あいつはひたすら前を向きその目的の場所へと向かう。
そこは会社からそんなには離れてはいない場所で魅惑の2本足をほんの少し隠した
真っ赤なミニスカート姿のあいつにとっては都合の良い気分転換の散策でもある。

抜群のスタイルが羽織ったブルゾンから垣間見られるあいつはいよいよ目的地へと
到着する。
川を横切る橋のちょうど真ん中の位置に立ちそこから下を流れる川を眺める。
その川幅は広く、大雨の際は決壊し周りへ洪水の被害を引き起こした過去さえある。
だが本日の流れは落ち着きゆったりとそしておおらかだ。
冬の冷たい風に若干はあおられ小さなさざ波が立ってはいる。
その波の頭は太陽光に照らされ輝き、光があいつの目まで届く。
波による光の反射は波の調子に合わされ一定のリズムを刻む。
川の波と光の輝かしい共演がしばし自然界の美しさを醸し出す。

あいつはつぶらな瞳で川のきらびやかな演出を眺めながらその時の出現を待つ。
あいつは本来の目的の達成のため今か今かと待つ。
時折吹く冬の冷たい風にさらされながらもあいつはその時がやってくるのを待つ。
あいつは川を横切るコンクリート製の橋の中心あたりでひたすら川の輝かしい
流れを食い入るように見つめながら時が来るのを待つ。
どれくらい待ったであろうか。
やはりあの話はただの噂であり事実でないのだろうか。
単なる架空の話で実際の事実ではないのだろうか。
中々現れない時の変化を待ちわびいつしかあいつは不安になる。
もうしばらく待っていよう。季節そして今日の空。まさしく絶好の日取りに違いない。
必ず今日という時であれば叶えてくれるはずだ。
あいつは寒さの中震えながらもいよいよやってくるべくその時を待ちわびる。



誰も読んでいないそこはかとない物語のため次へ続く。。。




それでは又です。


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2008.2.17by 博多の森と山ちゃん



2008年02月16日

2月16日 試運転良好。その後も突っ走る。そして錬る。。。



我が町工場のものづくりはいつまでも続く。。。



















華麗なる顔立の最たる美貌を誇るあいつ女性専務は知りつくしていた。
過去の経験によりそれは学んだのであり社内で閉じ籠っていれば決して味わえなかった
貴重なる体験だ。
抜群のスタイルを抑え込んだ紺色の作業着上着のあいつは自分自身の体で
判明したのであり決して他人からは教わってはいない。
だがその事実は自分以外の人物に教えられたのであるから結局ところ
身をもって教えられた事には違いない。

あいつは慌ただしかった。その当時それに集中し没頭せねばならない状況であり
その理由により他へと目を向けることが出来なかった。
だが、すらりと伸びた2本足をほんの少し隠した真っ赤なミニスカート姿のあいつは
そのことだけを行うことに決して満足していなかったのでありそれに執着する事に対し
どこかしら不審な不安があいつを四六時中襲ってはいた。
それのみに全身全霊をささげる事自体は決して間違った行動ではなく、その境遇であれば
それのみに向かっていくことこそが本来の姿であるはずだ。

だが違う。だがその行動は全てが賞賛され得るものではなかった。
あいつが背負っているのはあくまでも女性ばかりの町工場だ。
自分一人で闊歩している訳ではなく町工場という会社組織が
あいつ自身を制覇している。
さすればいくら動くものづくりを行っていようとそれは商売であり売らねばならない。

あいつはその当時怠った。怠ってしまった。
歩く事を。魅惑の2本足で歩く事を。
一時期あまりのものづくりの慌ただしさに社内で身を粉にするばかりで決して外へ
出る事を拒否した。
一切外へと足を向けることなく一心不乱に社内でのものづくりに没頭したのだ。

やはり世の中は正直だ。いとも簡単に事実は目の前へと出現する。
外へと歩まないばかりに。外へと出ないばかりに。
それは経営で最も大切で最も重要な点をないがしろにした報いでありそれにより
当然の如くあいつへその報復が襲いかかる。
過去を悔やんでもいかし方ない。過去を悔やむくらいなら未来へと行動する。
愚痴を飛ばす位なら次なる画期的な内容を考える。
嘆くくらいなら誰にでもできる。次なるアイデアを導き出す。

最も重要である利益を頂けるお客様対応が疎かになりついぞ注文が他社へと流れる。
折角長年贔屓して頂いていたお客様が痺れを切らし他社へと注文を流す。
決してやってはいけないことによる当然なる報いだ。
何故顔を出さない。何故即座に対応しない。
会社経営で最重要課題である新規のお客様とのお取引。そしてお客様との取引の継続。
それなしには会社は成り立たない。それなしには会社はいとも簡単に消え去る。
あいつ自身が身をもって体験しているだけに体中に沁み込んでいる。

新規商品開発とて情報なしには作れない。
時代の流れ。現場の要望。改良点。様々な動きを敏感に察知しそして次なる行動の糧とする。
今現在はインターネットという情報源もある。
其のうえ足で的確なる情報を掴む。

だが、その営業活動とて最適な未来への経営計画に沿った活動であるべきだ。
やはりバタ貧、バタバタ貧乏を解決する一つの方法は短期での営業活動重視の
経営計画書作りであろう。
それを作ること自体に考えそして錬るという動作を行わなければならずそれこそが
本来の目的でもなる。
寝ながらも練りそして歩きながらも寝る、いや錬る。
練って練って練り続ければいずれそれはとてもおいしいものになるのは間違いがないはずだ。




つぶらな瞳のあいつは呟いた。愛くるしい口元であいつはいよいよ呟いた。




「上手に錬るには良い材料が必要だわ。」と。。。




それでは又です。


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2008.2.16by 博多の森と山ちゃん



2008年02月15日

2月15日 用事。。。



緊急修理案件も間もなく完了です。
そのものの持ち込みの飛び込み仕事は我が町工場も少なくはない。

しかし、昨今の凄まじき慌ただしさは一体全体どうしたことだろう。
ただただ皆様に感謝すると共に至上の有り難き幸せでございます。




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最たる美貌を誇るあいつ女性専務は思いがけなく見かける。
その見覚えがある後ろ姿に自然に視点が定まる。
間違いがない。あの歩き方。あの格好。昔のままで一向に変わらない。
その姿が進む方向へとあいつは体を向けつける。
歩むその姿の後ろから気付かれぬよう密かに追う。
そこは人通りの多い九州一の繁華街の地下街であり今現在のコンクリートジャングル内の
雑多な人ごみであれば先ずは見つけられることはないだろう。

スラリと伸びた魅惑の2本足をほんの少し隠した真っ赤なミニスカートに安全靴のあいつは
人々に隠されながら前方の男性の姿の後を追う。

あれから元気にしていたのだろうか。
あれから病気はしなかったのだろうか。
とても優しい彼は相変わらずそのままだろうか。
何故かしら前を歩む後ろ姿に愛おしさが感じられ胸が詰まる。
歩きながらも走馬灯のように過去が思い出されあのほんのりと温かだった昔の日々が
あいつを包む。
今の生活はどうだろうか。きちんと食事はとっているだろうか。
相変わらず仕事熱心だろうか。
今更心を割いても、いかしかたない内容に思いが浸る。

前方の姿の歩む速さは昔のままでやはり早い。
あいつはつぶらな瞳を大きく開け決して見過ごすことがないよう周りの風景は
決して眼に入らない。
ただただその後ろ姿を見つめ必死に追う。
だが決して見つからぬよう。決してその姿が後ろを振り返らぬよう。
あいつは昔のままであった変わらない早歩きの後ろ姿を懸命に追う。

実のところ何故あいつは追っているのか分からない。
何故あいつはその後ろ姿が立ち去らぬよう頑固に追いかけているのかは
自分自身理解できなかった。
だが考える間もなくあいつの体が自然と動く。
あいつは何ら意識せずにいつの間にか追っていた。
過去の思い出の彼を。昔懐かしい背中を。ただひたすら追いかける。

ふと消える。突然後ろ姿が消える。
今まで懸命に追いかけていた後姿があいつの視界から消え去る。
あいつは思わず走る。あたり構わず走る。
いましがたまでそこにいた姿を見つけるために。
たった今、そこにいたはずの後ろ姿に会う為に。

過去の彼の後ろ姿が消えたであろう場所まで瞬く間に到着する。
彼がいましがたまでいたその場所へあいつは2本足で立つ。
あいつは方々に体を向け探す。あいつは四方へ眼をやり見つけるのに必死だ。

いなかった。消えた。あの過去の思い出の姿は脆くも瞬く間に立ち消える。
あたりを見回し捜すが見当たらない。
2歩足で辺りを早急にうろつきまわるがその姿はどこにもない。

あいつは思わず微笑む。独り静かに微笑む。
何故今現在行っている行動に思わずほくそ笑む。
未計画の予期しなかった自分自身の行動に思わず顔がほころぶ。

実は話をしたかったのだろうか。
些細な会話でもしたかっただろうか。
あいつは今頃になって終えた行動の理由を探る。
あいつをひとしおの寂しさが襲う。
過去に少しの時間浸ってしまった自分自身をわびしくも思う。

だがあいつは健気にも表情ひとつ変えずに前を向き歩き出す。
何も事は起こらなったかのように。颯爽と前方へと歩み始める。
何ら過去を振り返る出来事など決して起きなかったかのように。

あいつが歩き出した途端だ。あいつが前方を見つめ歩き出したその時。
突然あいつは肩をたたかれる。あいつの肩をたたく者がいる。
あいつは思わず後ろを振り向く。あいつは肩を叩く人物の方向へ振り返る。

あいつは驚く。あいつは突然なる出来事に大きく口を開ける。
あいつが振りむいた向こうにいた。あいつが振り返るその後ろにその人物は立っていた。
あいつのすぐ後ろに昔の彼がいる。
つい先ほどまであいつが追いかけていた後ろ姿が前を向きあいつに向かっている。

後ろ姿は既に前を向きあいつに向かっている。
その姿の表情は満面微笑みであいつを見つめる。
その頬笑みには優しさが溢れているのがあいつは即座に分かった。
あいつは昔変わらぬ微笑みの昔の旦那の表情に目をやる。
あいつは彼の表情を驚きを隠さずひたすら見入る。
しばらく互いに口を開くことなく見つめるだけだった。
互いをしばらく静寂な空間が包んでいた。



そして昔の彼がとうとう口を開く。とうとう昔の旦那が尋ねる。



「何か用事?」と。。。




それでは又です。


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2008.2.15by 博多の森と山ちゃん



2008年02月14日

2月14日 今日は溶接の閃光がまばゆい。そして雪(2)。。。



我が町工場のものづくりは果てしなく続く。。。


















それでは昨日前回の続きを。
先ずは前回の終りの部分の抜粋を。



あいつは物陰に隠れるべく道をそれる。
あいつは道の本筋から離れ身を隠す。
そしてようやく振りかえる。あいつは体を隠したまま振り返る。
そして先ほどの見えない声の主に分からぬように目を向ける。
体を隠したまま覗く。
あいつは驚く。あいつは向こうに見える姿に思わず心臓が高鳴る。
あいつは銀世界の向こうに映えた姿に即座に体が震える。
それは決して寒さではなく昔の過去の事実が原因なのだが。。。




それでは続きを。



あいつが振りかえった目の視点の先には小さき男の子の姿が飛び込んで来た。
その男の子が家の玄関から外へ飛び出し大きな声を出したようだ。
白い綿が舞う空間の先には小さき男の子が玄関の先で辺りを見渡している。
何かを見つけようと必死に首を左右へと動かし視点をあらゆる方向へと向ける。
必死の形相で今にも泣き崩れそうな表情であちこちを探している。
その子供の後ろにある人物の姿が現れる。
玄関の明けられた扉から成人が出て来た。
その人物の右手には先ほどあいつが触った少女の手が握られている。
その人物は先ほどあいつが紙袋を手渡した可愛い小さな女の子の手を取って
玄関先に現れた。
その成人、大人も男の子同様あたりを見渡す。
必死に何かを探すため体ごとあらゆる方向へ向ける。
少女も一緒だ。健気に皆と仕草を合わせるがごとくに周りと見渡す。

目が合ったのか。
突然あいつの頭脳へ閃光が走る。
あいつは降りしきる雪の粒の向こうに見える大人の男性と視点が合ったような気がする。
疑う余地なく瞬く間に男性はあいつが隠れているはずの方向へと腕を向け指をさす。
その男性はあいつの方向へ指さししながら男の子へ声をかける。
途端に男の子は走り出す。懸命に走り出す。
周り構わず男の子は必死の形相で走り出す。
もちろんあいつに向かって。雪の冷たい粒など構わずあいつへ向かい走る。

あいつは驚く。あいつは次なる出来事に驚かざるを得ない。
向こうの男性の右手に握られていたはずの少女の手は放たれる。
全身が自由の身となった先ほどの健気な可愛い女の子までがこちらへと向かう。
少女までもが男の子の後ろから走り出す。
二人とも降りしきる雪に包まれながら大声で叫びながらあいつへ向かい走る。
あいつは心配だ。あいつは不安だ。
二人とも転ばないでね。二人とも決してつまづかないでね。
あいつの目の先の視界は次第に妨げられる。
あいつの心の奥深き底から次から次へとこみ上げあいつの瞳を濡らされるもののために。
あいつは目の前が見えなくなる。あいつは必死にぬぐう。
あいつはとめどもなくあふれ出る涙を右手の甲でぬぐうのだが間に合わない。

あいつを呼ぶ声があいつ自身の身に染み入る。
私の我がままなのに。私がしでかしたことなのに。

あいつはとうとう身を屈める。身を沈めるため膝を折る。
そして二人の子供が飛び込んで来るための態勢をあいつは自然に取る。
あいつは気が付く。あいつのぼやけた視点の先の光景があいつを刺激する。
少年の右手にはあいつが少女に手渡した小さな箱が握られている。
決して離さず両手を大きく振り少年は走っている。
あいつへ二人とも近づく。あいつの目の前まで走って来る。
とうとうあいつまで少年、少女は到達する。
あいつへと走り込む。あいつへと次々に飛び込む。
初めに少年。そして少女があいつへと飛び込む。
二人とも大声で叫んでいる。二人とも大声で呼んでいる。
「おかあさ~ん。」と。

あいつは二人とも抱きかかえる。
少年、少女の柔らかな肌。二人の匂い。二人の吐息。
二人の心臓の音。二人のぬくもり。
全てをあいつは思う存分感じ取ろうと二人を温かく、優しくそして慈しみの心で
抱きかかえる。
少年、少女の表情は満面の笑みだ。
思わず二人の頬にあいつ自身の頬を寄せる。
あいつは頬と頬を密着させそのぬくもりに感じ入る。
頬ずりを思う存分繰り返す。

あいつは向こういる男性の行動に気が付く。
昔の旦那の行動が目に入る。
大きく手を振っている。それもあいつが手渡したはずの小さな箱を手に持ったまま。
手を振っている。大きく両手で。懸命に手を振っている。

あいつは微笑みながらも泣いている。
あいつは空から降りしきる雪の粒の冷たさなど微塵も感じない
あいつは予想だにしなかった人間の感情の温かな表情のぬくもりに存分に今現在浸っている。
それはおそらくあいつの温かさが伝わっている少年、少女も同様だろう。



あいつは舞い落ちる真っ白な綿の雪もめげることなく空を見上げる。
銀世界の空間をもろともせず見上げ呟いた。



「今日は甘くて切ないバレンタインデーだわ。」と。。。




それでは又です。


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2008.2.14by 博多の森と山ちゃん



2008年02月13日

2月13日 汎用旋盤切削加工仕上げ開始。そして雪(1)。。。



我らが職人は寒さも熱きものづくり魂で吹っ飛ばす。


















あの時は最良の選択だと思った。
あの時点、あの場面では他には選択の余地などなく自分の独断で決断した。
周りには決して迷惑など掛けたくもない。
我が家族だけでも決して不自由な思いなどさせたくはない。
苦しかった。とても苦しかった。
自分なりに努力した。
自分なりには懸命に力の限り歯を食いしばり踏ん張ったつもりだ。
しかしこの世は決して自分一人で生きているわけではない。
様々な人々がそれぞれ一生懸命生きている。
だからこそ自分なりには頑張ったつもりだ。
自分なりにできる限りの全身全霊の力を込め生き抜こうと必死だった。
確かに既に過去の事実だ。今現在では遠き懐かしい昔話だ。
思い出を今更浮かべてみても何もならない。
常に未来を見つめ次なる行動を探索しそして実行する。
決して過去など振り返る必要などなくただ前を見て歩むだけだ。

だが最たる美貌を誇るあいつは一瞬たりとも忘れることはなかった。
自分自身が起こした紛れもない事実は決してあいつ女性専務の明晰なる頭脳からは
消え去ることはなかった。
あいつとて生身の畜生である生物たる人間だ。
類まれなる知識そして知能があろうとも感情はある。
常に冷静沈着なる装いを決め込んではいるが、誰にでも備わっている愛情、慈しみは
あいつとて存分にある。
ただ単なるある人物の過去の一つの決断と実行に過ぎないのでありそれは
他人にとっては何ら係わりのない事実でありはかなさだけが現実には残っている。
妖艶で奥ゆかしいあいつとてその過去の事実は今となってみれば思い出に過ぎないはずだ。
即座に忘れそして即座に胸にしまいこめば良いだけなのだ。
しかしできない。どうしてもできない。
あいつがどうあがこうとどう苦しもうと決して忘れることはできない。



スラリと伸びた2本の白い足をほんのわずか隠した真っ赤なミニスカート姿のあいつは
その家の前で待っていた。
白い綿がふわふわと落ちている冬の寒い日だ。
抜群のスタイルをなんとか抑え込んだ紺色の作業着の上にはブルゾンを着こみ
天上より絶え間なく落ちてくる真っ白な雪の粒に襲われながら
体中を震わせながらあいつは待った。
九州は福岡、博多の街に雪の降るのは久しぶりだが、その寒さを
しのぐため決して立ち止まらずその場で足踏みの動作をわざわざ行い
体を温めていた。
真っ白に雪の化粧を施したあいつはそれにめげずにしばらくその家の前で待った。

待ちかねたあいつの方向へ大きな傘を持ったひとりの少女が近づく。
背中には真っ赤なランドセルをからった小学生であろう人物があいつへ近づく。
学校帰りだろう。一人帰宅路を歩んでいる。
小さな体に大きな傘の組み合わせのためであろうか。
あいつには決して気づかずに前を通り過ぎる。
あいつは呼び止める。あいつはその少女に向かって声を掛ける。
少女は気が付く。そしてあいつの方へ振り向く。
あいつは再び声を掛ける。
あいつはその少女の顔表情を見たとたんにこみ上げてくる。
少女は不思議そうな表情であいつを見つめる。
あいつは心の奥底からのこみ上げてくる大きなものを必死に抑えると
あいつは少女へ近づき手に持った二つの包装された小さな箱を入れた紙袋を
少女へ差し出す。
少女は目の前に起こった現実を当初は全く理解できていない様子だったが
あいつが優しく今後の行動を教えるとようやく可愛い首を何度か縦に振る。
少女の空いた手にあいつは静かに紙袋の紐を握らせる。
あいつは少女の手に触る。その冬の寒さで冷たくなった手を触る。
あいつは微笑みながら再び声を掛ける。
少女のあいつを見つめる表情は何ら変わらない。
相変わらず不思議な事にでも出会ったような茫洋として顔立ちだ。
あいつはしばらく手を触ったまま少女を見つめる。
あいつは無口にただ少女をひたすら見つめていた。

突然傘と紙袋で両手がふさがったランドセル姿の少女はあいつの前から立ち去る。
少女は家に向かって走り出す。
あいつは少女を目で追う。後ろ姿を目で追う。
あいつには他には何もしなかった。あいつはただその後ろ姿を目で追うだけだった。
少女は玄関の前で不自由そうに傘を閉じる。
傘からは積もった雪がどっと落ちる。全の白色が落ちぬまま少女は傘の柄を
どこかしら掛ける。
家のチャイムを押す。しばらく待ってはいたが扉を開けると勢いよく中へ入る。
右手にはしっかりと紙袋のひもが掴まれていた。
少女が家の中に消えると周りは白の粒で覆われた静寂の時を迎える。
あいつは少女の姿を一部始終見届ける。
一切目を離さずその様子を目に焼き付けていた。

あいつは後にする。その家を後にする。
あいつの用事は全て終わった。あいつがするべく行動は全て無事終わったのだ。
あいつは後ろを振り向くと来た道筋を戻るべく歩み始める。
あいつを柔らかな白の粒で覆われながらも決して拭い去ろうともせず歩み出す。
あいつは少女がたった今入った家を後にしあいつ自身の帰路を歩む。

少女はやはり気がつかなかった。あいつがだれであるかは分からなかったようだ。
反面気づいて欲しい気もした。しかし全て自分がしでかした我がままだ。
過去自分勝手な行動の報いなのだ。改めて自分の愚かさに感じ入る。
しかし後悔は決してしない。唇と噛みしめながらも瞼がうるむ。
あいつは先ほどの手の感触。
そして目に入れた少女の表情は決して忘れないだろう。
それどころかこれからの大切な宝物になるはずだ。
あいつは降りしきる冬の雪の中一人唇をかみしめながら歩き出す。

突然あいつの耳に入る。
あいつの聴覚を突然刺激する後方からの声に気が付く。
あいつは思わず走る。
天から舞い散る真っ白な綿の粒に覆われた銀世界の空間を走った。
決して後ろを振り返らず。懸命に走る。
ここなら良いだろう。ここなら隠れるには都合が良い。
あいつは物陰に隠れるべく道をそれる。
あいつは道の本筋から離れ身を隠す。
そしてようやく振りかえる。あいつは体を隠したまま振り返る。
そして先ほどの見えない声の主に分からぬように目を向ける。
体を隠したまま覗く。
あいつは驚く。あいつは向こうに見える姿に思わず心臓が高鳴る。
あいつは銀世界の向こうに映えた姿に即座に体が震える。
それは決して寒さではなく昔の過去の事実が原因なのだが。。。




次に続く。。。




それでは又です。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス著


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2008.2.13by 博多の森と山ちゃん



2008年02月12日

2月12日 若き職人らは今日も思う存分突っ走る。。。



我が町工場の動くものづくりは着々と進む。


















それでは股です。



2008年02月11日

2月11日 散策(2)。。。



本日の通勤時は昨日日曜日よりは車通りの多さを感じる。
3連休とは言え本日は祭日だ。
一応は国民の祝日と名づけられてはいるが実際は業務を行っている会社は
周りには多く存在する。
御多分にもれずあいつ女性専務も相変わらず休みなしで仕事に勤しんではいる。
だが、その仕事がはかどっているかと言うと疑問符が付く可能性があるのだから
早々に昨日の誰も読んでいないそこはかとない物語の続きを書くことにしようではないか。




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先ずは昨日の終りの部分の抜粋を。


------------------


梅の花の白色と枝の茶色が混じった木々を見ながら体を動かすことによる心地良さを味
わいながら前へ前へと進む。

あいつはふと気付く。あいつには突然目に入る。
当初は疑うばかりで信じることはできない。
あいつは歩きながらも目を凝らししばらく見入る。
眺める時間の経過とともに次第にその疑いが晴れ始める。
あいつは前からこちらに向かう姿を見つめながら前へと歩む。
その2本足の交互に踏み出す動作はこちらへと向かっている2人の姿が
近づくに連れ次第に緩慢となる
明らかにあいつの目に入っている2人の姿の影響であろう。
向こうの姿が近づくに連れあいつの歩く速度が落ちる。。。


------------------


それでは続きを




あいつは当初誰であるかは皆目見当はつかなかったが向こうから近づく
二人の姿の輪郭がはっきりと目に映えるに連れ意識を始める。
それは疑いの余地のない確信があいつ自身に一気に襲い掛かるのであり
その明確化があいつ自身の体の震えを誘う。
思いにもよらない目の前の事実が当然至極に出現したのであり
何ら銀幕の中での出来事、テレビでの非現実的な演出でもない。
あいつは目の前の突然の事実の演出に無意識に目を大きく開け
そして開いた口を両手で塞ぐ。
あいつはいつしか立ち止まりただ近づく二人の様子を眺める。

あいつはとっさの行動に出る。
あいつは突然公園内の本筋の道を外れ、道筋の両脇に植えられている大きな木々の
中へと体を向ける。
向けた体をそのまま勢いよく生い茂る緑の葉の木々の中へと早々に体を隠す。
あいつは道からそれ両脇の木々に体を潜め、前方よりこちらへと向かっている
二人の姿からあいつが見えないように身を隠す。
あいつは身を隠した状態で顔半分のみを乗り出し二人の姿の行動をただ見入る。

二人の姿が次第にはっきりと映りあいつの瞼へ姿も明確になる。
子供だ。子供の二人連れだ。まだ小学生くらいであろう。
兄と妹が仲良く手をつなぎゆっくりと歩んでいる。
二人で何か会話しながらこちらへと歩んで来る。
二人は全くあいつには気づいてはいないようだ。
幼い二人とも色々な方角へと目をやりながら歩いているがあいつがいるところまでは
目は向けられてはいない。
あいつに向かい二人が歩んで来る。あいつに向かい二人仲良く歩んで来る。
あいつはこみ上げて来るものを抑えきれない。
あいつの瞼に映る二人の明確なる姿が茫洋となりその原因である涙のしずくが
地面へと落下する。
小さな兄と妹が近づくにつれあいつの体の震えは大きくなる。
その二人が近づく。あいつへと近づく。
仲良しの微笑ましい二人があいつの目の前へと近づく。
あいつはただひたすらその行方を追うだけで一切その他の行動をとらない。
二人があいつの目の前へと向かってきたのに出ていこうとはしない。
二人があいつの目の前を通り過ぎる。
二人の子供があいつに一切気づかすに目の前を通り過ぎる。
あいつの存在自体を一切認識せずに仲良しの子供二人はあいつの目の前を通り過ぎる。
あいつはうるんだ目でただ眺めるだけで前へと出ようとはしない。
あいつは二人の様子をひたすら涙目で見つめるだけで何もしようとしない。
あいつはただ追う。体では追わずにただ目で追う。
二人の姿をひたすら目で追う。二人の行方をあいつは自分のうるんだ瞼で震えながら
ただひたすら見つめる。
既に後ろ姿になった仲良しの二人の小さき子をひたすら眺める。
幼き子らの髪の毛、顔表情、手、脚、体全てそして聞こえる声、話声全てをあいつ体全身で
感じ必死に受け取る。
既にその姿らはあいつの目の前を通り過ぎた。
あいつは抱き締めたかった。頭を撫でたかった。あいつは頬を触りたかった。
あいつは話をしたかった。あいつはただ二人と同じ空間に浸るひと時を味わいたかった。
あいつはただ後ろ姿が遠くなる様子を呆然と眺める。
あいつはただ子供の手を握りたかった。あいつはただ子供に触れたかっただけなのに。

あいつは決して二人の前には現れなかった。
決してあいつは二人の目の前に出ることはしなかった。
だがあいつには愛おしかった。あいつには可愛かった。
既に過去であるが忘れたことはない。
いくら別れ離れになろうと忘れることはなかった。
いつまでも胸に仕舞い込んだ温かな思いでそして宝物だ。
あいつ自身のおなかを二度も痛めた最愛なる我が子だ。
忘れるはずがない。ひと時として忘れたことなどない。

あいつから遠くへと去る二人の姿を眺めながらその場にただ立ち尽くす。
とめどもなく流れる涙のしずくの流れに任せひたすら目で追う。
体は大きく震え体全身が痺れ気が遠くなりそうだった。

ふと動転する。
向こうに見えるのは過去の旦那だ。
二人を待ちかねたその人物は車の後部座席へ幼き子供らを乗せると
扉を確かめながらゆっくりと閉める。
今だ再婚はしていないとは聞いている。原因はあいつのわがままなのだが。
あいつはまたしても驚く。
あいつは一瞬涙が止まる。
手を振っている。大きく両手を交互に振っている。
あいつは後ろを振り返る。誰もいない。
まさしくあいつに向かい手を振っている。
昔の旦那は必死にあいつに向い大きく手を振っているのだ。
ただあいつに向かって。

あいつは涙が止まらない。
あいつはどうしようもなかった。
あいつはただ地面へと落ちていく涙の流れに身を任せるしかなかった。。。




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それでは又です。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


「姑獲鳥の夏」京極夏彦著。
ようやく本日読破。
過去経験のない初めての読後感です。
他では味わえない物語ですな~。


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2008.2.11by 博多の森と山ちゃん



2008年02月10日

2月10日 散策(1)。。。



最たる美貌を誇るあいつ女性専務はいつもながら頷く。
いくら目新しい商品を開発したとして社会情勢の変化、代替商品の出現
、そしてその商品自体のライフサイクルの原則が存在する限り常に外に目を
向けておかねば絵にかいた餅に過ぎない。





やはり新商品開発は時を要する。
長期計画に基づき常に外の情報を搔き集めながら開発ものづくりに取り組む。
いくらものづくりとて売れなければ何ら価値はなく藻屑となり得る。
発明家であるならただ物を開発すればよいが我が女性ばかりの町工場は
会社を存続させるために行う。
町工場皆の生活の糧を得るがために行うのであるから売れなければならない。
いくらものづくりとて売ることが大前提にあるのは書くまでもない。
会社を存続させるには安泰、安逸に浸るのではなく常なる革新そして改革が必要だ。
ならばライバル他社にはない売り方の開発を行うのは一つの方法だ。
新商品開発に革新的な売り方が重なればそれこそ鬼に金棒とも言える。

抜群のスタイルを誇るあいつはこれら文章が決して泡と消えぬようこれからも
休みなしの長時間労働を続けるだけだ。




さすが本日日曜日だ。一人閉じこもり設計のためパソコン画面にひたすら格闘している
つぶらな瞳のあいつの耳元には平日当り前の世間の騒がしさが伝わらない。
だが、静寂さに包まれたがゆえに当然捗(はかど)るはずの図面書きは意に反し
なかなか進展しない。
CADソフトを操る知識労働の進展に必要なものづくりに対する冴えが時間経過とともに
乏しくなってきたためであろうか。
あいつは首を回しそして大きく背伸びを行うとともに大きく息を吸いそして吐く。
しかし、気分転換に始めた行動はそれだけにはおさまらず早朝より温めていた
席を立つ。
おもむろにそばのハンガーに掛けられていたブルゾンを手に取ると一気に羽織る。
これによりいつもながらの外出のいでたちは完了したことになる。

事務所階段を元気良く掛け降りるとコンクリートジャングルに囲まれた
黒色のアスファルトの道へと出る。
真っ赤なミニスカートでわずかに隠したスラリと伸びた色白の2本足で闊歩する。
今の季節は真冬真っ最中でまだまだ寒い。吐く息は真っ白だ。
体を温める理由もあるのであろうか。通勤時と同様に早足で歩む。
仕事途中の気分を晴らすにはあいつにとって散歩することがてっとり早い。
もちろん構わず走りだし息絶え絶えになるまで一気に駆けるという方法も
あるのだが今回はゆったりと歩む方策を選択したようだ。

向う先は公園だ。会社の近くにあり市民の憩いの場だ。
そこは結構な広さがあり野球場、図書館、体育館、グラウンドが併設されている。
其のうえ、公園内には由緒正しい神社がありあいつの町工場も必ず新年度のお祓いに
会社内一同揃って必ず出向く。

公園内は緑豊かで束の間の小さな自然を楽しむこともできる。
抜群のスタイルをブルゾンでは隠しきれないあいつは緑色の公園内を散策する。
休日のせいもあるのだろう。結構賑わっており家族連れが多い。
あいつは懸命に小さな子供がそばの母親に向かい走る姿を微笑ましく思いながら
魅惑の2歩足で歩む。
あいつは空を見上げる。
冬の季節には珍しい真っ青な空を見上げ鳥の行方を追いながら颯爽と歩む。
梅の花の白色と枝の茶色が混じった木々を見ながら体を動かすことによる心地良さを味
わいながら前へ前へと進む。

あいつはふと気付く。あいつには突然目に入る。
当初は疑うばかりで信じることはできない。
あいつは歩きながらも目を凝らししばらく見入る。
眺める時間の経過とともに次第にその疑いが晴れ始める。
あいつは前からこちらに向かう姿を見つめながら前へと歩む。
その2本足の交互に踏み出す動作はこちらへと向かっている2人の姿が
近づくに連れ次第に緩慢となる
明らかにあいつの目に入っている2人の姿の影響であろう。
向こうの姿が近づくに連れあいつの歩く速度が落ちる。。。




次回へと続く。




それでは又です。


読破中。
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「姑獲鳥の夏」京極夏彦著。


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2008.2.10by 博多の森と山ちゃん



2008年02月09日

2月9日 我が町工場の若き職人皆、汎用旋盤荒削りで突っ走る。。。



今日も一日中けたたましい切削音が旋盤から鳴り響いた。



















最たる美貌のあいつ女性専務はいつもながらに休みなしの長時間労働だ。
平日は外へ出向く機会が多く事務所内の自分の席を温めることができない。
そのため本日土曜日は客先も休みの会社が多く日頃の設計の遅れを挽回しようと
抜群のスタイルで出るところは出たあいつは心に決めていた。

その決意を早速実施するため朝起きる時間をいつもより、より一層早める。
眠たい目をこすりながらもいつも以上に早起きをする。
もちろん外はまだ真っ暗だ。それに今日は雨が落ちている。
郵便ポストへ新聞を取りに行くが、朝刊2紙のうち1紙のみが放り込まれていた。
ただひとりの早朝の朝の食事を取ると真っ暗の道を歩む。
街灯のみがあいつの行く手ををぼんやりと照らす。
既に雨は上がっている。雨に濡れた地面をいつもながら徒歩通勤の歩みは続く。
耳にはCDプレーヤーからのヘッドフォンが差し込まれている。
マフラーそして両手には分厚い手袋で手堅く防寒装備を施している。
日常の講師による経営勉強の指導を耳に入れながら人通りそして車さえ
殆ど通らない道を早足で歩む。

しかしながら本日は早朝の爽快感が味わえない。
いつもながらの早朝の冷気による体の冴えをなかなか感じない。

徒歩での出勤時から茫洋としたわずかな鬱積が襲い拭いきれない。
その状態は今ブログ記載時まで続いており常に睡魔があいつ自身に常に襲い掛かる。
本日は一日中瞼が重く睡魔が絶えまなくあいつへ向かう。
当初の考えによる短時間睡眠による知識労働時間の確保はもろくもうまく機能
しなかったようだ。
茫洋とした感覚とともにただでさえ睡魔が襲いやすい知識労働の身を寝不足が
ひとしおの強い更なる睡魔となって永続的にあいつへと向かったようだ。
いつしか一日中隷属的に睡魔の虜となり果て何ら短時間睡眠の効果は
得られなかったという首を垂れる結果と相果ててしまったようだ。
通常の長時間労働へのさらなる時間の追加の困難さを味わう結果に
うな垂れるしか今のところない。

唯一本来の人間の活動している睡眠時間の重要性をことさら認識させられる。
今回の結果を鑑みあいつ女性専務はことさら従来噛み締めていた事項に
今更ながら十二分たる確信を持つに至る。

やはり起きている時間こそが人間にとっては架空の時間なのだと。。。




それでは又です。


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2008.2.9by 博多の森と山ちゃん



2008年02月08日

2月8日 清算。。。



整然な綺麗な顔立のあいつ女性専務は女性ばかりのわが町工場の職人であろうと
平然と客先へと連れて行く。
技術的そして現場作業の内容であれば当然至極である行動だ。
何も立て板に水式に流暢な話など実際誰も望んではいない。
聞いてくれる相手の登場こそを望んでいるのは何も書くまでもないであろう。





あいつの町工場の女性ばかりの職人とて工場内に閉じこもってばかりはいられない。
ものづくりに必要な現地の寸法測定、現地作業の方法調査などはあいつ女性専務は
出来得る限り女性職人にさせようとする。
実際ものづくりを行いそして現場で作業するのはあくまでも女性職人らの手による。
事前確認の重要性は最も認識しているのは誰しもであるし、現地へと積極的に
足を運ばせようとするのは当然至極の事実だ。
現場で活躍される方との会話の重要性、現場の設置されている機器を実際自分の目で
見て肌で感じることの重要性をことさら認識させようとする。
それは社内での情報など殆ど掃いて捨てるような内容に過ぎないからであり
ものづくりに今だ歴然と存在するいわゆる職人根性の悪の部分、思い込み、独りよがり、
頑固そして屁のつっぱりを何とか消し去ろうとしているが分かり得る。
常に前提はお客様のへの奉仕、役に立つことの前提をあいつ自分一人ではなく
女性ばかりの町工場職人までもがサービスという営業手段をいつの間にか
行使させている事実を導こうとしている。
決して指導とか言う、たいそれたものは一切存在せずあいつの行動のみそして
あいつの背中のみが教えているのは書くまでもないであろう。
詰まる所いくら技術が必要だと謳ったところで売る力がなければそれは幻に過ぎない。
だからこそいくら最たるノウハウ、技術力があろうと最たる営業力、売る力には
到底かなわないことは誰しもが頷く。
新商品開発とて役に立たねば絵にかいた餅であり、単なる独りよがりの
誰しもが見向きもしない廃棄物だ。
常に情報を集めるのはあいつのみでなく、零細町工場の女性職人とて同様だ。
外の情報により今後の行方を鑑み如何に作り、売るかで経営企画を立てる。
よく見かける社内に蓄積された会計情報による経営計画は実のところ未来の革新には
何ら役に立たずそれに基づき行動などすれば如何なる結果になるか背筋が寒くなる。
誰しもが社外へと出向きそして社外へと目が向くようになれば社内の話題の中心は
社外、現地の話題へと変化する。
実のところあいつ女性専務の狙いはそこにあるのであるが決して指導などしてはいない。


それは真の指導者はお客様であるという事実は誰も否定できないのだから。




抜群のスタイルを誇るあいつは既に玄関のドアをノックする者が誰であるかは
分かっていた。
あいつの自宅へ近づく足音、歩む歩調で既に誰であるかは分かっていた。
自分の腹を痛めた最愛の我が息子だ。即座に分かる。
たとえ長い期間その足音を聞くことから遠ざかっていても。
途轍もなく大きな慈しみを持ちそして壮大な愛おしさはいくら年齢を重ねようと
何ら変わらない。
何ら時に経過は関係なく忘れたことはない。
思い浮かべるだけで胸が詰まり、体が痺れ身動きとれなくなる。

玄関をノックする音になおさらこみ上げ立ち上げることさえ億劫だ。
なおさら鮮明に頭の中をその姿が占領し絶え間なく愛おしさが沸き起こる。
あいつは何度も聞こえるノックの音のする方向へと何とか立ち上がり
ふらつきながらもそこへと向かう。
たどたどしい足取りではあるがゆっくりと玄関の扉へと向かう。
ドアのノック音以外の声もあいつの耳に届く。
その声は紛れもなくあいつの過去の歴史であり更なる体の震えと痺れを引き起こす。
ドア向こうであいつを呼ぶ声に対して決してあいつは何も答えない。
ひたすら無口にドアの方向へと向かう。
次第にドアの向こう越しの姿があいつを呼ぶ声は大きくなる。
あいつは決して口を開こうとはしない。
あいつはドアまで近づきドアのノブを握る。
しかしそのままだ。決してドアのノブは回さず鍵のロックを外そうともしない。
ただあいつはドアのノブを右手で握る。
さらにドア向こうのあいつを呼ぶ声は大きくなる。
だがあいつは一切口を開かない。決してあいつは声を出さない。
ドア向こうのあいつを呼ぶ声は何度も続く。
何度も何度もあいつを呼ぶ。その声に次第に震えを感じさせる。
何度も何度もあいつを呼ぶ。
それでもあいつは決して口を開こうとしない。
ドアひとつ向こうに自分の腹を痛めた子が居ると言うのに。
必死にあいつを呼ぶ自分の息子がドア一つ隔てた位置にいると言うのに。

ドア向こうの姿へ決してあきらめない。
家の明かりは外へと漏れている。その姿はあいつの存在を分かっているに違いない。
相変わらずドア向こうからあいつの呼ぶ声が絶えまなく聞こえる。
それでもあいつは答えない。
それは絶えまなく流れる涙のせいか。
それはあいつの全身が涙で痺れ話す行為自体ができないせいなのか。
あいつは全身震えながらも決して口は開かない。
滴り落ちる涙はあいつのドアのノブを握ったままの右手へと向かいその手は
かなり濡れている。
それにも係わらずあいつの濡れきった右手はノブを握ったままだ。
決して鍵のロックは外そうともせずそしてドアのノブは回そうとはしない。

ドア向こうの声には悲壮感が溢れる。必死に訴えかけている。
何度も何度もあいつを呼ぶ。その声は既に涙声に変化している。
懸命に必死にあいつを呼ぶ。何度も何度も。
それでもあいつは一切答えない。決してドアを開けようともしない。

ドア向こうの息子があいつを呼ぶ声は一体いつまで続くのか。
ドア一つ隔てたあいつの最愛の過去の息子は一体いつまであいつを呼び続けるのか。


いつしか声が止む。いつしか周りは静かになる。
ドア向こうの涙をすする音のみが周りに響く。
どれほどの時間、静寂に混じった涙を流す音は聞こえていただろう。
突然足音が聞こえる。あいつの耳に靴が地面を鳴らす音が聞こえる。
当初間近に聞こえたその足音は次第に小さくなる。
時間の経過とともに足音は遠ざかる。そしてあいつの耳にはとうとう聞こえなくなる。
とうとうあいつは静かなる空間にただひとり存在する身となる。

あいつが崩れる。冷たい玄関の床の地面へとにあいつはとうとう崩れる。
汚れた玄関の床へと膝から全身が崩れる。
両手を玄関に入口に並べられた靴の上へ着き膝から下の両足はそのまま置かれる。
四つん這い姿から落ちていく涙が玄関の床全てを濡らし始める。
とめどもなく流れる涙は決して止めることはできない。




ついにあいつは絞り出すように涙でかすれてしまった声で独り言を呟く。




「既に過去の清算は終わっているわ。」と。。。




それでは又です。


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 未来への清算ブログあるはず。
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2008.2.8by 博多の森と山ちゃん



2008年02月07日

2月7日 若き職人のこれからの腕。。。



我が町工場で最も若き職人。
誰もが一刻も早い成長を期待している。



















スラリと伸びた色白の魅惑の2本足をほんの少し隠した赤色スカート姿のあいつ女性専務は
本日は我が女性職人ばかりの町工場を何度も行き来する。
その度に短納期の製作内容について意見、アイデアを求め革新的で至極納得し得る内容で
あれば即刻採用し図面化する。
決して過去製作経験がある製品に似通ったものであろうと、次なる工夫を常に加える。
逐次改革し次なるノウハウを手に入れる。
そこれこそが本来のものづくりでありそれこそが本来の我が零細町工場の役目に違いない。
起こり得る失敗という代償は果てしなく大きなものであるのはもちろん分かる。
しかし、それにへこたれるようであればそれこそ即座に電話帳から我が町工場の名前は
即刻抹殺される。
製作方法、組立方法ものづくり過程全てに常に革新、改革を行う。
それこそが当り前の動作であるがその根底には常に外に求める情報が存在するのは
決して忘れてはいない。
最も底なしに恐ろしきことは独りよがりのものづくりであり売ることを全く忘れた
思い込みのものづくりであるのは誰しもが自覚していることであろう。




最たる美貌に艶やかさにしおらしさを備えたあいつ女性専務は夜遅くの帰宅後
独り静かに読書に勤しむ。
長きに渡るただひとりの静寂の暮らしには既に慣れ、一人自宅内を占領する
心地を楽しんでいる。
過去とは既に懐かしき思いであり、決して思い出すことはしない。
常に未来のみを向き決して後ろを振り返らず反省などしない。
ひたすら前へと歩み尻込みなどするものか。
わずかな人生の生きている期間になぜ仕事のみに打ち込むことが悪い。
四六時中仕事のみで頭を支配し体中を動かす。
今だに過去の出来事がいつしか走馬灯のように浮かび上がるがそれに対して
後悔など一切していない。
苦労を楽しむ事が至極の極楽でありそれは自分自身が理解しているのであれば
この世程素晴らしき世界はないはずだ。
泣き事言うくらいなら歯を食いしばり耐え、愚痴を飛ばす位なら次なる行動を起こす。
短い人生だ。もっともっと苦しまねば。もっともっと苦労せねば。
決して他人には求めずひたすら努力する。
つぶらな瞳のあいつは今日も静かな自宅という空間で物思いにふける。
この時間さえあいつはもったいなく感じ次なることへと考えを向ける。

あいつにふと聞こえる。あいつは聞き耳を立てる。
あいつは即座に自分の耳を疑う。決してそんな事はない。
最たる美貌のあいつはうっすらと微笑みを浮かべる。
ひとつ大きな呼吸をすると再び手に持った文庫本の活字へと目をやる。
連なる文章を目で追い始める。

又しても聞こえる。やはり聞こえる。
再び聞き耳を立てしばしその状態を続ける。
疑いは次第に晴れそしてその音への確信を持つ。
確信が確実なものへと変化するにつれ怖さがあいつを襲う。
しかし、全ては納得できない。決して起こりえない事実を当然ながら疑う。

聞こえる。やはり聞こえる。
その音は次第に大きくなり近づいているようだ。
あいつの耳へと到達する音量は次第に大きくなる。

あの歩調。あの歩くリズム。あの足音。
やはり聞こえる。やはり間違いがない。
次第に近づき大きくなる足音。
長きに渡る歳月が経過しようとあいつには分かる。
遠き過去に聞きなれた足音をあいつは忘れるはずがない。
歳月の流れはあいつには既に遠き過去の一つの出来事ですぎず単なる時の
経過でしかないはずだが。
しかし、あいつはあの足音を忘れるはずもない。
あいつの腹を痛めた最愛なる我が子だ。その慈しむ心は常に忘れなどしない。
あいつはこみ上げるものは決して抑えることなどできない。
次から次にあふれ出し目の前がその水滴によりうるむ。
ぼんやりとした光景に自分自身の体の震えと痺れに戸惑う。
拭っても拭っても溢れ出す。
あいつには過去などないはずだった。あいつは未来のみで生きているのであり
決して過去を振り返る事などしなかったはずだ。
その足音はあいつの過去の封印を解く。
その足音はあいつの過去を再び目の前へとさらけ出す。

外から聞こえる足音が止まる。家のチャイムが鳴る。
家の外の光景が分かるテレビ電話の画面をあいつは見る。
既に涙ではっきりとは見えない。涙を必死にぬぐう。
あいつの既に機能していないはずの瞳で画面を眺める。
あいつはもう涙が止まらない。
涙でぬれた右手で受話器を取る。相手の声が聞こえる。
懐かしき過去の我が息子の声が聞こえる。
あいつは答えようと必死に頑張るが声が出ない。
行為虚しく溢れ出す涙が邪魔をし声が出ない。




あいつは絞り出すよう何とかかすれ声で受話器へ答える。




「お 帰 り な さ い。。。」と。




それでは又です。


読破中。
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2008.2.7by 博多の森と山ちゃん



2008年02月06日

2月6日 働く。。。



整った顔立ちに艶やかな微笑みを浮かべながらもあいつ女性専務は
いつもながらに慌ただしい。
だが一切忙しいという雰囲気はなくただ漂うかの如くに仕事をこなす。
この先より一層のスピード、仕事を行う速度の要求は早まるばかりで
誰しも誰もがいちいち待ってはくれない。
人情のかけらもかなぐり捨てひたすら会社組織の一員としてふるまう。
それこそが生活の糧を得るための手段でありそれがために労働と言わしめる。





あいつなりに懸命に働く。出来る得る限り肉体そして精神を仕事へ身を注ぐ。
休みなしの長時間労働は当たり前であり何故日本国には休日が多いのかと
疑問にさえ思う。
だが、周りが短時間での仕事であれば当然ながらあいつは憤然と踏ん張る。
それであれば長い時間働く事こそが競争社会である自由経済国家における勝利を手に
掴むことができる行動なはずだ。
女性ばかりの零細町工場を背負って立つあいつは社会的には最たる弱者だ。
最たる弱きものであればそれなりの勝つための戦略があるはずだ。
だひたすら勝つことのみに全神経、全肉体を注ぎ込みひたすら仕事に打ち込む。

短時間で要領良く行うことは当たり前だ。よりスピードを要求される時代だ。
ライバル、競争相手を席巻するためにはより一層速度を増しその上長時間労働を実行する。
ストレスが溜まるのは当然であり、体を壊すこともあるだろう。
だから何であろう。人間は慣れる。しかし使いこまねば決して慣れる事はない。
疲れたならより一層体を痛めつける。
思わしくない箇所があればその箇所をより一層痛めつける。
さすればきっとより一層痛く感じるのはあたり前だ。
だからこそ行うのでありそれにより次第に耐性が身に付く。
ひたすら働き努力しそして勉強する。
常に2本足で情報を集めそして新商品開発を実行せねば。
この世から女性ばかりの町工場の名前を決して失くす訳にはいかない。




沸き立つ艶やかな仕草で女性ばかりの香水と旋盤の油が混じった香ばしい香り
漂う町工場からあいつ女性専務は外へと足を踏み出す。
その2本足はスラリと伸び色白だ。
その魅惑の脚は真っ赤なミニスカートでほんの少しだけ隠されている。
抜群のスタイルをわざわざ押し込んだ紺色の作業着の上着からは出るところはやはり
出ている。
あいつはいつしか工場から外へと出るとゆっくりと歩み出す。
揺れるところは揺れながらゆっくりと歩み出す。
目的地は工場斜め前の事務所だ。これから知識労働をこなすが故に決められた
席へと向かう。
1階の倉庫を横切ると階段を登る。
一歩一歩ゆっくりと登る。揺れる箇所はその歩調に合わせ揺れる。
事務所入口の扉を開けるべくノブに手をやる。
アルミ製のノブの金属の冷たさを感じながらも回転させドアを開ける。
いつもながらのあいつの席へと向かう。
ところが気が付く。ところがあいつは驚く。
あいつの座るべき席を誰かが占領している。
あいつは近づく。一歩一歩その見知らぬ姿に近づく。
やはり身に覚えがない。誰だがわからぬままその姿へと近づく。
その姿は机に置かれたあいつのパソコンの画面に向かっている。
果たしてあいつに気づいているのだろうか。
その姿がこちらを向く。パソコン画面を見入っていたその姿があいつへと顔を向ける。
即座にあいつは分かる。その顔形を見た途端あいつは誰であるかが分かる。
あいつは立ち止まる。あいつは歩く動作をやめる。
あいつは動けなくなる。あいつはそこでただ立ち尽くす。
あいつは震えだす。あいつは全身が震える。
真黒な髪がかすかに震える。その震えは止まる気配がない。
こちらを向いたその姿は立ち上がる。
その姿は立ち上がりついに歩み出す。そして一歩一歩あいつへ近づく。
その姿があいつの目の前に現れる。
互いに二人は目が合う。そしてしばらくはそのままの状態だった。
二人とも何も話さず町工場から洩れる旋盤を回す音まで聞こえる静かな
空間の時間が経過する。
あいつは既に目の前が見えなかった。
あいつは次々と流れ落ちる水滴により目の前の姿はおぼろげだ。
あいつは自分の涙を拭った濡れた手のまま相手の手を優しく掴む。
あいつはその姿の手のぬくもりを体全身で慈しむ。
あいつはとうとう静寂な雰囲気を破るべく言葉を発する。




あいつは過去の自分の息子に対して優しく涙声で何とか話しかける。




「こんなに大きくなって。。。」と。。。




それでは又です。


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2008.2.6by 博多の森と山ちゃん



2008年02月05日

2月5日 無事終了。。。



お陰様で本日無事設置終了しました。




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それでは又です。


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2008.2.5by 博多の森と山ちゃん



2008年02月04日

2月4日 足音。。。



最たる美貌を誇るあいつ女性専務とてたいへん有り難いことには違いない。
お陰様で案件が次々と決定する。
スラリと伸びた色白の魅惑の2本の美脚をほんのわずか隠した赤色のミニスカート姿で
ものづくり情報を常に仕入れるためにあいつはいつも慌ただしい。
その内容の中でも重要視するのが納期ではあるのだが、既にあきらめていた物件までが
決定となると頭の片隅にすらなかった内容だけに常に工程の見直しが必要となる。





つぶらな可愛らしい瞳のあいつは思い悩む。
長期視点に立てば当然ながら自社製品の開発を最も重要視するべきであるが
目の前に飛び込んで来る有り難い注文に対してもきめ細かに丁寧に対応するのは
当り前なのは頷ける。
会社とはお客様から頂ける利益のみで成り立っているのは当然至極であり
ただ、その利益を稼ぐため如何なる方法を取るかが重要な鍵であるはずだ。
常に新規の案件を目指しそして継続した注文を頂く。
そのために必要な視点は常に外になるのであり決して社内には何もない。
お客様、競合他社、仕入先そして我が女性ばかりの零細町工場の関係を
如何に上手に施すかが重要でありながら周りの社会情勢にも常にアンテナをたてて
置かねばならぬ。
その思考は熟慮せねばならず何度も繰り返し出来る限り頭脳を動かすにはやはり
凡才のスタイル抜群のあいつにとって決して会計中心ではない営業中心の
経営計画書作成は一つの最たる手段なのはどうも間違いがないようだ。




紺色の作業着上着で出るところをなんとか抑え込んだ抜群のスタイルのあいつは
凡才であるが故に休みなしの長時間労働のみが取り柄だ。
それこそが電話帳からあいつの零細町工場の名前が消えぬ為の最も適した手段で
あるのはあいつ自分自身で納得しているが故に何ら疑問は持たない。

今日も事務所に一人残り遅くまで知識労働に勤しむ。
さすがに常に美しき微笑みを保つあいつとて疲れないことはない。
艶やかでしおらししさの雰囲気が漂うあいつは仕事に区切りをつけると
帰り支度を始める。
パソコンの電源を切る動作から事務所シャッターを下し鍵をかけるまで一連の
動作が終了するとようやく会社事務所を後にできる。
既に外は日が暮れ真っ暗なはずであるが月明かりとコンクリートジャングルを
通るアスファルト道の街灯によりおぼろげな乾いた薄明りが帰り道を照らしてくれる。
魅惑の色白の2本足で日頃と一切変わらぬ徒歩での帰宅を急ぐ。
赤色のミニスカートそして紺色の作業着上着の上には防寒ブルゾンを着込んでいる
あいつに容赦なく前方より冬の冷風が吹きぶさむ。
決してあいつは立ち止まることなくその冷たさに懸命に向かい足を進める。

ふと聞こえる。冬空の下で冷たい風に混じりあいつの耳に聞こえる。
それは足音だ。あいつの歩調に合わせるようにあいつの耳に響く。
その足音はあいつの後ろから絶え間なく聞こえる。
その音色は突然始まった感がする。
あいつはしばらく構わず一切後ろを振り返ることなく前へ前へと歩む。
あいつはただ前から吹きつける風に向かい歩き続ける。
しかし、後ろから発せられる足音は変わらずあいつの耳に到達する。
あいつの歩くリズムに合わせてその音色は一切途切れることがない。

あいつに次第に恐怖心が沸き起こる。
突然始まった後ろから襲う足音の歩調の音色に怖さを感じる。
次第にその恐ろしさの度合いは増しそれにつれてあいつの歩く速度も早まる。
次第にアスファルトの歩道を刻む歩調は慌ただしさを増す。
あいつはいつしか早歩きとなりそして走り出す。
最初はゆっくりと走るのだが後ろの歩調もそれに合わせ速くなる。
一向におさまることのない後ろから響く足音にあいつはいつしか走り出す。
その速度は瞬く間に早くなりあいつは必死な形相に変化する。
あいつは魅惑の2本足を懸命に交互に踏み出し両手も前後に大きく振り
呼吸も荒くなる。
呼吸する回数は増え呼吸する音は大きくなる。
白い息は絶えまなく吐き出される。
付き纏う足音を振り払うために懸命に走るのであるが決してその足音が消え去る
様子はない。
あいつが必死に走っても決して後ろの足音はなくならない。


突如あいつの耳に足音以外の声が届く。
後ろの音に靴が地面を鳴らす以外の音があいつの耳に入る。
それは声だ。それはあいつを呼ぶ声だ。
その声があいつの耳に届いたとたんあいつは走る速度を緩める。
再びあいつの耳に呼ぶ声が伝わると立ち止まる。
伝わる声のためあいつは真っ白な息を何度も吐きながら走る歩くそして歩く
動作を一切やめる。
あいつはアスファルトの歩道の街灯のもととうとう立ち止まる。
そして何と後ろを振り向く。何と恐怖心の原因である足音の方向へ体を向ける。
その足音の主は次第にあいつへと近づく。
当初はおぼろげであったその姿は次第にはっきりとあいつのつぶらな瞳に映る。
その姿が誰であるかがあいつ自身はっきりと自覚する。
姿はあいつの目の前で立ち止まる。

あいつは自分の目を疑い何度も瞬きを繰り返す。
繰り返すうちの瞼の中を涙が浮かぶ。目の前の姿が次第にぼんやりと映る。
涙に隠れたままその姿はじっとそこに立ち尽くす。
次から次へとあいつを襲う涙の流れをあいつは必死に手で拭う。
構わず落ちていく涙のせいであいつは目の前がはっきりとは見えない。
濡れた手で構わずあいつはいつしか目の前の姿の頬に両手を優しくあてる。
あいつは相手の頬に当てた手にぬくもりを感じる。
さらに手にはその姿の涙の水滴の温かみが重なる。

あいつは度重なる涙の束で一向に相手がはっきりと映し出せない。
だが一切構わずあいつの手は相手の頬にあてたままだ。
その手は一向に相手の頬から外れる気配はない。



相手が口を開く。それはあいつの手に口の動作そのものを感じながらあいつの耳に伝わる。
声は涙声であったのは間違いがない。



「探したんだよ。本当のお母さん。」と。。。




それでは又です。


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2008.2.4by 博多の森と山ちゃん



2008年02月03日

2月3日 今日は。。。



今日は節分です。鬼役の方は早目に帰宅しませう。
帰らなくても面をつけない鬼は既にいる。あっつ!!




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それでは又です。


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2008.2.3by 博多の森と山ちゃん



2008年02月02日

2月2日 後は現地設置を残すのみ。。。



真黄色に塗装を施された特殊な投入シュート。
後は現地設置を残すのみだ。





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あの頃は何もかもが無我夢中だった。
生きていくのに必死だった。朝から晩までひたすら旋盤を回し続けた。
まだ腹を痛めた子供は幼い。
一人は背中におんぶし、もう一人はダライコ入れに布団を敷きその中で寝入っている。
それでもなんらおかしなことはなかった。
女性ばかりの零細町工場はそれが普通だった。
朝から晩まで働き休憩と言えば子供に乳をやるか子供をあやす時間程度。
それでも疲れは感じず毎日毎日が瞬く間に過ぎ充実していた。
確かに生活は苦しかった。だから懸命に働いた。ただ働いた。
一年通して殆ど休日などない。
ただ家族揃って食事できればそれで幸せだった。
家族全員元気であればそれだけで幸福だった。
子育ては工場職人皆協力してやった。
手が空いている者が他人の子供であろうと面倒を見た。
工場の中はいつも赤ん坊の泣き声と旋盤からの切削音とで騒がしかった。
油まみれな真っ黒な手でも構わず子供を抱いてあやす。
赤ん坊の真っ白は肌は即座に黒色に変わった。
それでも平気だった。それが日常だった。
赤ん坊の芳しい匂いと油の匂いが相まっていつも独特の香りが漂っていた。
それが普通だった。何らおかしいと思わなかった。
忙しかった。朝から晩まで毎日毎日働いた。不思議ときつくはなかった。
誰一人不平不満など言わずに一心不乱に働いた。必死に働いた。
皆裕福ではなかった。だから懸命に働いた。休みなしで働いた。
まだ若かったのだろうか。疲れはなかった。どれほど働こうと疲労は感じなかった。

最たる美貌を誇るあいつ女性専務とて年齢を重ねる。
皆帰宅した事務所で一人図面書きに勤しんでいる。
決して過去を振り返ることをしないとの決意があるにも関わらず
いつしか思い出を懐かしんでいる。
自分が旅した過去だ。忘れるはずもない。しかし常に未来に向かっている。
昔の古い自分を思い返したところで何ら時間の経過は変えることなどできるはずもない。
決して後悔などしない。まして反省などするはずもない。
常に未来に向かうのでありこの先をどうするかが問題なはずだ。
必死に3DCADソフトの画面を睨んではいるのだが一向にはかどらない。

気分転換にあいつは大きく背伸びをする。
首を回し大きく深呼吸をする。ものづくり納期がない。
再び画面と格闘を始める。

ふと耳に入る。物音が聞こえる。事務所のドアから聞こえる。
ドアを誰かがノックしているようだ。
可愛らしい高音のあいつは中に入るようにドアの向こうの姿へ大きめの声をかける。
あいつは椅子から立ち上がりドアの方へと近づく。
向こうの姿がドアノブを回す。ドアが開く。
姿がドアへ近づいたあいつに見える。
その姿は一人の青年だ。真黒な学生服を着ている。
あいつはその姿を見たとたん口を右手で押える。
学生服の青年は真正面のあいつの顔を眺める。
冷静にしばらく見入る。あいつも無口にただその青年を見入る。
二人共言葉なく、しばらくお互いを眺める。
あいつの瞳が濡れる。そしてその瞳から涙がこぼれる。
あいつは拭う。それでも次から次へと涙があふれ出す。

あいつは忘れるはずもなかった。長い年月が経過していたとしても。
あいつはいつも思い出していた。何歳になろうとも。

あいつはとうとう声を出して泣き出す。両手で顔を覆う。体全身が震える。
嗚咽する。とめどもない涙は塞いだ両手構わず地面へ滴り落ちる。

青年は冷静だった。青年は泣きそうな表情ではあったが必死に抑えているようだった。


黒い学生服姿の青年はあいつへ優しく語りかけた。


「本当のお母さんだね。」と。。。




それでは又です。


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2008.2.2by 博多の森と山ちゃん



2008年02月01日

2月1日 昔の。。。



本日の入札は蓋を開けてみると何と最低と最高では3倍の開きがある金額だ。
最たる美貌を誇るあいつ女性専務は今更の如く感じ入る。
どこでもできるものづくりは所詮値段の叩き合いになるのが通常だ。
よほど製作方法に差をつけねば会社そのものは成り立たぬ。
確かにそのやり方も一つの方法ではあろう。
だがあいつの女性ばかりの町工場の歩む道とは異なるのは書くまでもない。





金額の叩き合いは底なしだ。
やはり長期の戦略に基づき次なる製品を生み出さねばならない。
その内容はあくまでも売ることが前提でありそのための情報を
魅惑の2本足で稼ぎそしてアイデアをひねり出し完成させる。

だが、実際となると愛らしい口元のあいつには今現在の案件で忙殺されている。
5月GW工事までは一杯の状況であり既に今年の秋、そして来年の案件を
進捗させねばならない。
しかし、つぶらな瞳のあいつは最も重要視しているのはあくまでも自社製品であり
次なる革新の動くものづくりであるのは書くまでもない。




赤いミニスカートで少しばかり隠した色白のスラリと伸びた2本足で
本日の入札会場へと向かう。
その場所は九州一の繁華街にあり会社よりは地下鉄を使い向かう。
車ではあまりの混雑に辟易するばかりか駐車場代も馬鹿にならない。
当然のごとく常にその場所への行程では地下鉄の電車へと乗り込む。
乗り込むといつもながら揺られながら手に持つ本の活字を目で追う。

短い時間で目的の駅へは到着する。
その地下鉄駅の改札を抜けると必ず通らねばならぬ地下街へと出る。
そこは平日の今日であっても人は溢れており老若男女様々な人物が行きかう。
コンクリートジャングルの地下を巡る道筋の両側には様々な店が立ち並ぶ。
人目を引くべく店もそしてそこへと向かう人物もおしゃれに着飾っている。

抜群のスタイルをなんとか抑え込んだ紺色の作業上着姿のあいつは
何ら関心を示す訳でもなくただ入札会場への道筋を急ぐ。
歩む足の先は相変わらず先端が鉄芯で覆われた重たい安全靴だ。
その重さが通常であり何ら影響なしに早足で歩む。

しばらく歩んだであろう。片手には仕事鞄を下げたあいつの耳元にふと聞こえる。
騒がしい喧騒な地下を通る道だ。さすがにあいつはしばらくは気がつかない。
しかし、あいつは自分自身に向けて発する声が聞こえたような気がする。
それは一回きりではない。何度もあいつに向かい喧噪の中、訴えるがごとくに。
立ち止まり振り返る。あいつはとうとう振り返る。
あいつの後ろを向いた視線には当初は何も映らない。
混雑した人の動きばかりでその声が発する位置がどこであるかは皆目見当がつかない。
首をかしげながらもあいつは再び前を向く。そして再び歩き始める。
やはり聞こえる。あいつに向かっている声が耳に届く。
その声は小さな声だが次第に大きくなって行く。
その声の内容も次第にはっきりし始める。
あいつに向かって聞こえてくるその声は一体何であるかが明確になる。

あいつは又しても立ち止まり後ろを振り向く。
今回は気が付く。あいつに向って声を発している人物が誰であるかを。
今回ははっきりと分かる。
それは小さな人物だ。それは小さな子供だ。
その姿は遠くにあるのだが既にあいつには誰であるかが分かる。
その小さき人物は必死に走っている。大声で何かを叫びながら。
その小さき子供は懸命に走っている。
あいつのみに向かい大声で呼びながら。
小さき体はあいつに向い周り構わず体全身を駆使し近づこうとしている。
一刻も早くあいつに近づこうと頑張る。
大きな口を開け小さな2本足を交互に大きく踏み出し小さな両手を前後に
大きく振りながら。
あいつに向かって走っている。小さき子供のあらんばかりの力で。
小さき子供の今だ幼き未熟な体を大いに使いながらあいつに近づこうとしている。
あいつには既に誰であるかは分かっている。
遠くに見える姿であってもあいつは即座にその人物がだれであるかは
分かっていた。

あいつは膝を折り身長を低くする。
あいつに懸命に向ってくるその姿の目線の位置と同じにする。
そして両手を大きく広げ近づく姿を待つ。
こみ上げるものを抑えながらにこやか表情で向かってくる姿を待つ。
小さき子供の表情があいつの目にはっきりと映る。
満面の笑みをたたえているその子供の表情が見て取れる。
あいつに向かい子供が近づく。あいつの目の目の前まで近づく。
小さき子は全く速度を緩めることなく走り込む。
そしてそのままあいつの胸に飛び込む。
あいつは飛び込んできた小さき子を受け止める。
そして優しく抱きこむ。
あいつには小さき子供の可愛らしい言葉が耳に入る。


「昔のおかあさ~ん。」と。


そして向こうにはあいつの昔の両親が佇んでいる姿があった。




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