ブログ【もう悩みません。コンベア・産業機械】　ものづくりへ力の限りの愛と魂の情熱を！！

赤色のミニスカートからスラリと伸びた魅惑の２本足のあいつは我が町工場へ入るなり
即座に化粧が濃い女性工場長へ近づき質問を投げ掛けた。
「何故若い職人にはロボットスーツを着せないんだ。製作が遅れるだろうが。」

冷静な顔つきで真っ赤な口紅の口元からベテラン職人である女性工場長は答える。
「確かにロボットスーツのお陰で重たい物も軽く持ち運べ作業もはかどる。
しかし、若い職人はスーツなしで自分の手で重量物を持った経験が少ない。
本来人間に備わった感覚を覚えさそうとしているんだ。」

ほのかな色で色付けられた口紅の口元からあいつは言葉を発する。
「今更そんなことしても何の意味がある。日本国中どこでも重労働はロボットスーツ
装着してやっている。それより納期が迫っている。
一刻も早くスーツを着けさせ製作を早めてくれないか。」

女性工場長。
「最近怪我が頻発する。重さの感覚が鈍っているせいで重たい物まで
投げるんだ。軽い物の感覚で。
相手に物を渡す際に軽いボールを渡す感覚のようでいとも簡単に相手に向かって
何でもかんでも手渡しではなく放り投げる。」

女性専務。
「相手もロボットスーツを着ているんだったら問題ないだろう。
いくら重たい物でも軽く受け取れる。怪我などするはずないじゃないか。」

女性工場長。
「それがな。スーツ装着のせいで物を受け取る動作までが本来の人間の動作から
外れ始めている。物を受け取る事すらできなくなっているんだよ。」

女性専務。
「それはどういうことだ。野球でキャッチボールができるよう訓練すると同じように
物を渡す動作さえ教え込まないとできないというのか。」

女性工場長。
「実はその通りだ。今の日本では最早ロボットスーツがない生活は考えられない。
人間に備わった本来の筋力は状況の変化に伴い殆ど必要なくなった。
環境の変化に合わせ生物たる人類も変貌を遂げる。
最近我が町工場へ入社する若い者は多分学習鉛筆リモコンの重さ以上の重量物を持ち上げた
感覚はないようだ。物の扱い方をひとつひとつ教えたやらなくてはいかん。」

女性専務。
「しかし、既に四六時中ロボットスーツに頼りきった生活をしている
今現在、物をスーツなしで持とうなどそれこそ危険じゃないか。
退化した筋肉が即座に破壊されていまわないか。」

女性工場長。
「いや大丈夫だ。われわれの世代はまだ素手で物を持った感覚は残っている。
無理をせず、ゆっくりと教え込むさ。それにいつもやらせるわけではない。」

女性専務。
「いずれにせよ。頼んだぜ。次のブラックホール装着ノードロボットの製作の案件も
決まりそうなんだ。この宇宙特許取得済み真空無重力乾燥機は何台も
作っている代物だ。バーチャル図面を空間に映し出さなくても
町工場皆の脳神経細胞で繋がれたニュートラルネットのノード設定さえ間違いなければ
即座にできるはずだ。これが我が町工場の稼ぎ頭なのはよく分かっているだろう。」

女性工場長。
「もちろん分かっているさ。まあ俺に任せておけ。」

抜群のスタイルにはちきれんばかりの胸を紺色の作業着に張り付くように納めた
あいつ女性専務はその言葉に何も答えず町工場から出る。
リニアコンクリートの道を一切地上に降りることなく歩む。

この時代では誰しもが能面の様な顔つきで常に冷静沈着で決して感情的になることはない。
昔言われた魔がさすとか一時的な感情で事を起こす、犯罪が起きることはもうない。
実は人間のみに備わっていた感情という心は科学進歩の恩恵により数字化され
既に制御され得る一つの物に過ぎなくなっている。
常に人間の感情は決して突発的に変化が起きないよう脳神経細胞の感情を司る
Ｈ細胞を監視し制御が可能となっている。
人類全ての脳神経細胞は繋がっており互いに自分のノード接点の神経制御モジュールで
なんら人間が係わることなく自動的に制御されている。
モジュール制御により人間は常に冷静沈着でいられる。
過去人類にあった喜怒哀楽などは既に死語だ。

最たる美貌のあいつはロボットスーツを身につけ頭の後頭部に埋め込まれたチップを
触りながら可愛らしい高音で呟いた。


「人間は日に日にロボット化している。」と。。。




それでは又です。


読破中。
「創造する経営者」Ｐ．Ｆ．ドラッカー著


　旧ブログ「もう悩みません。コンベア・産業機械」

　ホームページ「研森．ＣＯＭ」　　
　ベルトコンベア式汚泥乾燥機
　
　コンベア、産業機械機器について詳しく書いている
　メルマガ「もう悩みません。コンベア・産業機械」発行しています。
　ご興味のある方はご登録の上ご覧下さい。
　メルマガ「もう悩みません。コンベア・産業機械」

　知識労働は眠気を誘うブログあるはず。
　人気ｂｌｏｇランキング

2008.1.13by 博多の森と山ちゃん