1月19日 腑。。。
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あいつはようやく腑に落ちる。
長年に渡る度重なる繰り返しの耳学により今頃になってあいつの凡才なる
脳細胞が理解し出す。
振り返ると既に3年という長き期間は走馬灯のごとく瞬く間に過ぎあいつ自身の
潜在意識へとようやく訴えかけ始めたようだ。
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女性専務あいつは何とか紺色の作業着上着に群を抜く抜群たるスタイルを何とか納め
スラリと伸びた魅惑の2本足をほんの少しだけ隠した赤色のミニスカート姿で
毎日徒歩通勤だ。
耳には小さなヘッドホンを詰め込み寸暇を惜しんで通勤時はひたすら
勉学に励む。即座には当然ながら理解できず数え切れないほど
同じ内容をCDプレーヤーから聴覚に流し込む。
際たる美貌に華麗な輝かしき化粧を施したあいつは最近になりようやく分かり
腑に落ちた内容に気が付く。
長きに渡る繰り返し教育のほんのちっぽけな結果があいつ自身を理解させる。
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「目先の利益を追うな。」
あくまでも長き計画のもとにおいて実行するのであり、慌てふためき日毎の
目先のみにとらわれ突き進むのではない。
未来の願望のために歩むのであり決して単にただ考えもなしに進行するのは
危険でもある。
十二分たる情報を搔き集め経営戦略の研究を怠らず熱き情熱と魂を持ち
決してあきらめることのない願望をかざし進むべき道筋を探らねばならない。
這いつくばっても突き進む方向に間違いがあると当然ながらその道に先にある
奥深い谷底に落ちかねない。
確かに資金は必要だ。利益を稼がねばその会社は無残にも奈落の底へと落ちる。
熟練たる研究のもとにおける道筋をたどる事による将来の利益のための
身近な毎日の行動であるべきなのだ。
過去の経験が最も理解しているのであり手招いていればじり貧なのは目に見えており
安寧、安泰こそが衰退であり革新こそが将来の安定なのだ。
だが、実際には安定というひと時など決して存在するはずもなく困難こそが
同義語であるようだ。
常に改革し常に変化する。
目の前の利益とは将来の願望を叶える一つの経過であるのが本来の役目なようだ。
それをできないから苦労するのでありその願望に到達するのには誰しもがその美しさに
見とれるあいつとて長き期間は当然かかる。
それどころか願望を到達できるかどうかも不確かであるが、ただひたすら休みなく
長時間労働を行う理由はそこにあるのは書くまでもない。
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昨日の晩は売り言葉に買い言葉だった。後悔はしている。
しかし、今現在の自分自身の境遇からすると当然な行動に間違いはない。
何とか理解はして欲しい。叶わぬ事か。
会社をつぶすわけにはいかない。町工場女性職人皆を路頭に迷わすことは決してできない。
会社の名前が電話帳から消えでもしたら俺たち家族の生活さえどうなるかわからない。
赤いミニスカートから伸びた魅惑の足で九州は、福岡、博多の女性ばかりの町工場の
鉄の扉を開けまたぎ外へと出る。
その仕草にさえいじらしさと艶やかさが感じられしおらしさと奥ゆかしささえ兼ね備えている。
最たる美貌を誇るあいつの表情は思わずいつもの引き込まれる温かい微笑みが消え去り
どこかしら元気がない。
やはり昨日日曜日前日の晩の旦那との会話が気になっているのだろうか。
本日は日曜日。暦上では俗に言う国民の休日だ。
だが、あいつは休みなく休日出勤でその仕事ぶりは何ら平日と変わりない。
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言い合いなった原因はまだ小さな可愛らしい一人息子のことだ。
たまには遊びに連れて行けと言う。出来るなら俺も連れて行きたい。
仕事などほっぽり出してすぐにでもどこかへ連れて行きたいのはやまやまだ。
他の家族がどうだとか分かっている。俺にだって理解できている。
しかし出来ないんだ。何とかしたいのだができないんだ。仕方がないではないか。
どうして分かってくれないんだ。どうしてだ。
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仕事で休みがないのであれば家族揃って出掛けることなど皆無だ。
旦那はほとんど父子家庭に近い状況であいつ女性専務は家に帰ると夕食を取り
風呂に入り寝るだけだ。毎日、家庭での行動と言えば短時間内での食事、風呂
そして布団に入る程度の行動でしかない。
まだ幼い一人息子との会話は少ない。当然ながら旦那ともじっく最近じっくり話し合った
事があるだろうか。
旦那とて家庭内での家事、子育てを一手に引き受けたまには解放されたのは十分に
理解できる。旦那とて休みは欲しいはずだ。
出来るものなら俺だって暦通りに休み家族サービスに徹したい。
家事を手伝い子供の面倒も見てやりたい。
しかし、現実が許さない。そうもいかないんだ。どうして分かってくれないんだ。
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あいつは町工場を出ると事務所へとむかう。
アスファルトの道をはさんで斜め前にある事務所に向かう足取りは
先端に鉄芯があるが故に重たい作業靴を履いているせいもあるのだが
それにしてはいつもよより一層重く、覇気がなくとぼとぼと歩む。
ゆっくりとしたその仕草には気品はあるのだがどこかしら爽快感にかける。
いつもの輝かしい微笑みの表情はなく最たる整然たる美貌がもったいない。
魅惑の輝かしい白色の2本足の歩むがふと止まる。
あいつは道の真中でふと空を見上げる。
あいつを覆っているのは冬特有のどんよりとした空模様で
薄黒い雲が真っ青な空間をところどころさえぎっている。
どのくらい眺めていただろうか。そこでしばらくの間なにすることなくしばし呆然と
立ち尽くす。
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ぼんやりと空の冬の装いを眺めていたあいつは突然耳を立てる。
それは突然だった。
あいつは全身の動作を即座に一切やめ、ただ耳に聞こえてくるその音のみを聞き入る。
聞こえてくる。確かに遠くからであるがはっきりと聞こえる。
いつもの声だ。間違いがない。決して俺が間違うはずもない。
思わずあいつは後ろを振り返る。その動作ははっきりと自覚しそして意識した行動だ。
あいつは音源をたどるべく即座に後ろを振り返る。
その声が聞こえてくる方向へ体を向ける。
やはりそうだ。間違いがない。決して俺が間違うはずがない。。。
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次へと続きます。さあ如何なることになるのでしょうか。美しきあいつ女性専務は。。。
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それでは又です。
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「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。
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「姑獲鳥の夏」京極夏彦著。
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