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2007年12月29日

12月29日 心を籠めて。。。



人類全ての脳神経細胞が接続され、制御モジュールによる
ブラックホール発生による時空の旅が自由にできるこの年、年度であっても
年を越し新年を迎えるというのは人々へ清々しく新たなる決意を持つに至る。
決して過去一切を拭い去り、何もかも忘れ去るのではない。
だがそれに近い心境を持ち新たなる年を迎える。
厳粛にそして厳かに。
日本国古来の儀式、習慣である正月という日々はこの国で生活する以上
なくてはならない。
美貌と艶やかさを併せ持つ町工場の女性専務あいつは今更ながらこの国で暮らす
有意義さを噛み締める。





いくら銀河系の衛星へと自由に行き来できる時代となった今でも
年末の大掃除は欠かせない。
一年間の垢を落とし清らかな心で新年という新たなる門出を心待ちにする。

女性職人のみであるこの町工場は今日も化粧の香りが漂う。
工場内で日頃活躍している汎用旋盤、フライス盤、ボール盤そしてノコ盤の油の
匂いと香水とが混合され今町工場特有の爽やかな香りが醸し出される。

本日が仕事納めであるあいつの町工場も職人は大掃除で大忙しだ。
女性ならではの細かいところまで行き届く目は健在で輝くほどに町工場の中は磨かれる。
日頃から整理整頓は徹底されているのだがそれにもましてあらゆる一年間の
垢、埃は奇麗に拭い去られる。
ベテランも若き女性職人も日頃自分で使う工具、機械機器にはさらに精魂こめて
磨き上げる。
大掃除が終わる頃にはその美しさに見とれる程だ。
掃除が終わると皆集まり今年一年を振り返り雑談に耽る。
会話をするどの表情も笑顔だ。

あいつは工場の前に立ち我が町工場を眺めている。
そしてニュートラルネットのモジュールへ話しかける。
「今年も随分とお世話になった。有難う。」
モジュールの全く抑揚のない機械音が返ってくる。
「俺達機械デジタルモジュールは組み込まれた内容をただ制御しているだけだ。
お礼の理由が分からない。それに時間とは常に刻まれるもので決して区切りなどない。」
あいつは再び尋ねる。
「お前は学習できるのだろう。人間の頭脳解析などたやすいはずだ。」
モジュールからのデジタル音波は伝わる。
「しかし機械であるが故に学べないものがある。」

「それは何か。」

「他の生物にはないものだ。感情だ。どうしても人間の感情だけは理解が不可能だ。」

「だが、さっきはただお礼を言っただけだぞ。」

「お前が言ったから理解できなかった。」

「どういうことだ。」

「俺には理解できないがたぶん心が籠っていたからだ。」。。。




--------------------------


あいつ女性専務そして女性ばかりの町工場の職人達はどうしても皆様にお礼を
言いたいとのことです。

それも心を籠めて。

「今年一年たいへんお世話になりました。良いお年をお迎えください。」。。。





それでは又です。


読破中。
「経営者の条件」P.F.ドラッカー著
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・デイック著


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2007.12.29by 博多の森と山ちゃん



2007年12月28日

12月28日 我が町工場2007年今年1年たいへんお世話になりました。。。



九州は福岡、博多の小さな町工場。
今年2007年度もたいへんお世話になりました。
ビデオで1年間を振り返ります。
来年度も何卒御贔屓の程宜しくお願い致します。
皆様にとって新年度は本年度以上に輝かしき1年になることでしょう。

年始年末の休日は下記の通りです。
2007年12月30日(日)~2008年1月6日(日)
2008年1月7日(月)より平常業務です。




















新年度は飛躍の年にしたいと誰しもが希望を持つ。
果てなき願望を持ち続けるなら飛び立てる日も近いかも知れない。
それだけ願望たる信念を持ち続けることは困難であり襲いかかる苦衷に
なぎ倒されるのが通常だ。
最終的には自分自身の最たる理由付けが必要なのであり、確固たる目的こそが
その道筋に明かりを灯す。
だが明かりとは自分自身が灯すのであり決して他方からの期待に身を委ねることだけは
行ってはならぬ。
その期待はいずれ失望のみが降りかかり得てしてその影響は不平不満として他へと向かう。
原因理由は自分自身にあるにも係わらず自分以外へと回答を求める。
そこに潜む楽という遊楽に浸れるが故に。誰しもが楽をしたい。
楽とは自由とわがままを履き違えることでありもっとも顕著に表れるのが権力だ。
権力をを持てばそのわがままで周りを蹂躙できると錯乱する。
権力という媚薬は自分自身の腐敗を引き起こし最後には堕落へも導く。

会社経営、町工場経営であっても決して一発勝負ではない。
長年努力、苦心の結果が次第なる向上へと誘う。
灯す明かりは決して派手ではなくほんわかとかすかな輝きであってもひっそりと
長きに渡り決して消すことなく灯し続ければそれには必ずや結果が伴う。

世間の嘆き、愚痴、悪口など耳にしても意識せずただ頷けば良い。
この世に生きて行く限り微笑みと頷きは如何なる場所でも必要だ。
その内容に納得しているのではなく、相手が話しているという紛れもない事実に
ただ頷いているだけだ。内容ではなくその人物がただ口を動かしていることを
理解しているだけだ。

常に心する来年こそはとの覇気をまたしても新年向かい心に持つ。
我が町工場が得意とする動くものづくりの新商品を長年に渡っても開発を行う。
市場規模を追うことなない。勝ちやすきに勝ち。そして戦わずして勝つ。
現存の機器の不平不満を聞き取る能力を高めクレーム、不具合さえも
次なる製品へと取り入れる。
それは従来のやり方、常識にとらわれることなしに常に変化するニーズに対応する。
スキ間そして組み合わせによるものづくりに徹し役に立つものを作るのだ。
必ずしや襲い掛かる容赦ない失敗という精神的そして肉体的苦痛に決して
ひるむことなしに常にアイデアを出す。
おいそれとはいかないのは理解しているからこそ決して勝負になどでない。


今年一年お世話になりました。
来年もより一層の長時間労働に励む所存です。
ストレス、苦労とはどうも慣れるようです。習慣化されればそれに越したことはありません。
来年度もより厳しいご指導ご鞭撻を頂ければ幸いです。




それでは又です。


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2007.12.28by 博多の森と山ちゃん



2007年12月27日

12月27日 スクリュー羽根年内出荷完了しました。。。



全国各地へ出荷させて頂いているスパイラル巻きスクリュー羽根。
先日年内最後の出荷を終えた。




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今年もお陰様で何本も出荷させて頂き好評だったスクリュー羽根。
来年度も是非とも御贔屓の程宜しくお願い致します。




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輝かしき美貌のあいつ女性専務は短いスカートよりスラリと伸びた色白の
美しきおみ足2本で我が町工場の前へ立ちふさがる。
工場内では女性ばかりの職人が脇目も振らず必死にものづくりに打ち込んでいる。
工場入口付近で佇んでいるあいつの耳にはいつもながらも職人が打ち鳴らす
騒音が耳に届く。
その音色に耳を傾けながらつい溜息をつく。そして一人呟く。
「今年も何とか毎月皆に給料が払えて良かった。」と。

日本国も先進国とされるがその繁栄の力は既に下位の順位だ。
新興国は破竹の勢いがあり日本国の経済力をいずれいとも簡単に出し抜くであろう。

国内を見渡せばの様々な格差は広がる一方で決して狭まるはずもない。
しかし、それを嘆き何ら行動に出ないのならそれはなおさら格差は広がるのは自明の理だ。
弱者同士が傷を舐め合う位であれば方策を考え抜け出す行動を取る。
それには見栄、張ったりなど通用せず世間体など邪魔になるだけだ。

大企業と女性ばかりの零細町工場の様々な格差は今現在も存在しそして大きくなるのは
容易に予想ができる。
日頃懸命にものづくりに励む我が町工場の女性職人達が化粧もできず、又香水すら
つけることができなくなればそれこそあいつの町工場は格差につぶされるだけだ。

大企業とは決して争わず勝ちやすきに勝ちそして戦わずして勝たねばならない。
他社が手を出せない隙間、手を出していない小さな分野で何とか1位の地位を獲得するのだ。
必死に考え這いつくばって行動する。
辛い、きついはあたり前で散々もがき苦しみそして血反吐を吐いてまでも前へ進む。
ひたすら長時間労働に徹し遊楽には決して見向きもしない。

「今年も何とか生き延びた。」一言つい呟く。
あいつ女性専務は抜群のスタイルでうっすらと香る香水を漂わせながら工場の前の
アスファルトの道を何ら目的なく歩む。
周りはコンクリートで囲まれた人工的な街であり決して自然など目の前には存在しない。
過去を振り返ることが悪事だと信じ込んでいるあいつではあるが歩む速度の緩さに
相伴い今年の出来事が走馬灯のように浮かび上がる。
ことさら自分自身で意識はしていないのだが自然と夢心地で目の前に現れる。
その光景は全てが苦しかったことであり2度と経験などしたくもない内容だ。
苦しみもだえる様相はありのままにはっきりとあいつに襲い掛かりつい目を塞ぎたくなる。
過去自分自身で自分の体で経験した内容であるが故に目の前の自分の姿に
又しても狂おしくなる。

あいつはうっすりと淡く塗られた口紅の口元から呻くように囁いた。
「もしかするとまだ苦しみが足りなかったのか。」
ゆっくりとであるが決して歩みを止めずひたすら前へと進む。
あでやかで艶やかな後姿からは日頃決して楽しみを追わず次々に襲い掛かる
大いなる困難に必死に立ち向かっているなど予想だにできない。
他人には笑顔で優しく接しながら自分には厳しい。
休みなくひたすら長時間労働に徹する。
それでもやはり足りないものは努力でありそして苦労だというのか。
アイデアを出し次なる動くものづくり製品をひたすら考える。
次なる商品そしてその販売方法。四六時中頭をひねる。
今年一年のあいつの行動にはやはり努力が足りないのであろう。
ものづくりの熱い情熱、信念を持ち続け決して期待することなく
希望を持ちひたすらできるとの思いを忘れ去ることがないように行動するだけだ。

既に正月休暇には宿題を頂いている。
会社は休みではあるが誰が暦通りに休むものか。
できうる限り働いて働いて働くだけだ。

あいつは必死の形相で美しき顔形が崩れているのも構わず一人こぶしを力を入れて握る。
とうとう目的地へ到着する。あいつは自分の目指した場所へ着いたのだ。
あいつの目の前には滔々と水が流れる川が見える。
決して川幅は狭くはなく広い。水量もとめどもなく多い。
この川は大雨時には過去氾濫した過去がある。
川岸はコンクリートで埋め尽くされた都会の真ん中を流れる大きな川だ。

あいつにとってその川こそが世間であり時の流れなのだ。
突然あいつは長い髪を振り乱し走り始める。力の限り歯を食いしばり脇目も振らず
その世間そして時の容赦ない流れに向かって走り出す。
幅は果てしなく広くそして限りなく深い川の流れに向かって懸命に走る。
呼吸は既に荒くその女性ながらの艶やかさを表す吐息は周りの空間を時めかす。

あいつは息絶え絶えながら何とか淡い口紅の元から囁いた。


「来年はもっと世間という川にとめどなく深くそして速く流されてやる。」と。。。


そして、はちきれんばかりのスタイル抜群の体はとうとう空中へと舞い上がった。




それでは又です。


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2007.12.27by 博多の森と山ちゃん



2007年12月26日

12月26日 攪拌機試運転開始。。。



オーバーホール品である弊社製高温耐熱用攪拌機の試運転を開始した。
間もなく完成だ。


















それでは又です。



2007年12月25日

12月25日 落とし穴。。。



どうもがこうと、どう泣き叫ぼうと今年は間もなく終了する。
いつもながら散々であった今年も終了し新たなる年を迎える。
確かに年の数字には変化が起こる。
しかし、番外弱者である零細町工場も常に変化せねばじり貧に陥るのは
目に見えている。
そのための行動は如何するか。そのための方策はどうするか。
間もなく迎える年末年始という長期休暇を是非今後の行く末を熟慮する絶好の
機会としたい。





休暇中にできうる内容をまずは考える
読書か。独り静かに本に書かれた内容を頭に入れる。
その読むべき本はドラッカーそして竹田先生が書かれた最新戦略全集だ。
本来であれば休暇など取りたくもない。
一人事務所で懸命に次なる戦略の検討に是非取り組みたい。
だが、そうはいかない。年始年末は家族孝行、親せき回りと何かと慌ただしい。
何とか仕事以外の行動は手短に済ませ本、パソコンそして筆記に全身全霊を向けたい
ものだが。

常に苦戦し常にもがき苦しむそして常に苦労するのは零細企業の役目であるのは
至極納得できる。
決してそれらから逃れることができるなど甘い思いはかけらも持ってはいない。
常に倒産という確たる2文字が襲い掛かりついには潰されそうになる。
毎日なんとか切り抜け這いつくばりながらも懸命に生き延びている状況だ。

忙しい時期は馬鹿のように連日遅くまでの残業でこなす。
一変、暇なときは手持無沙汰で工場内最早掃除する箇所がなくなっても再度
掃除を繰り返す。
もう嫌だ。暇、多忙の繰り返しなどまっぴらだ。
暇なときは忙しさを羨み、忙しい時期は暇を羨む。

我が零細町工場は一切下請けはやらない。一品料理の受注生産だ。
このやり方をなんとか打開したい。
一品料理、特に新しき領域を取り入れた製品には落とし穴が隠されており
これに落ち込むと這い出すために一歩間違えると会社の運命さえ握る。

落とし穴があるのであれば先に経験すれば良いではないか。
先に苦心、苦労を重ねその上で世間へ堂々と披露すればよいではないか。
暗く深い粘質な落とし穴であれば先に落ち込む覚悟で向かうのだ。
常に忙しさを纏い暇な時期を徹底的になくす努力をする。
いくら完成品が目に見えるものづくりであっても実のところ最も大切な部分は
目に見えない個所であるのは間違いがない。
その製品のために流した血と汗の量こそがその値打ちを表す。
それは決して作り方だけではない。
重要なのは把握困難な売り方にもあるのは十分に認識しているつもりだ。

さあっ。今年も残り少ない。
これからも常に切迫感、緊張感を持ち大いにストレスを溜めながら仕事に邁進する。
ただひたすら長時間労働だ。俗にいうワーカーホリックだ。
このワーカーホリックという言葉ほど人間らしさを表現した内容はないと感じるのは
多分凡才なあいつだけだろう。




それでは又です。


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「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・デイック著


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2007.12.25by 博多の森と山ちゃん



2007年12月24日

12月24日 我らが職人は何でもこなす。。。そして今日は。。。



我が九州は福岡、博多の町工場の職人は何でもこなす。
溶接、旋盤、機械加工、そして現場作業と多種多様な仕事に精を出す。
出来るからこそ職人と言える。



















あいつは前日前置きのみ記して逃げ帰ったようだ。
ようやく本日イニシャルH形SF物語はクライマックスなるものを迎えるようだ。
前回までの2話については大変ご面倒ですが下記クリックの上ご覧頂ければ
幸いでございます。いずれも2頁目に記載しております。

第1話 12月19日 我らが職人は汎用旋盤で材質砲金を切削しながら切断。

第2話 12月21日 パイプ面取り機試運転開始。

それでは最終話ですばい。


-------------------


あいつ女性専務のすらりと伸びた短いスカートより輝く白い肌の2本足で立ちはだかった場所
からまともに目の前に歴然と存在するその姿は紛れもない。
そこはものづくりの愛と魂が溢れんばかりに満ちている場所であり
零細町工場でありながら我らが職人が途轍もなく熱いものづくり情熱をいかんなく
発揮している輝いている場所だ。
美貌の上に淡い口紅がひとしおのしおらしさそして艶美を醸し出しているあいつ女性専務は
思わず足を踏み入れようとした。
だが躊躇する。
「俺は時空移動で火星へ行くつもりだった。ところが何故我が町工場へ辿り着いたのか。」
あいつは訝しく思いモジュールへ問いかける。
「おい。モジュール。いったいどうなっているのか。」
モジュールからは相変わらず感情のかけらもない機械的発音が返って来る。
抑揚のない声の単純なリズムは人間ではないのだから仕方がない。
「今だ火星接近による潮汐力の分析が終わっていない。
この解析を終えればブラックホール無重力空間との整合がとれ即座にニュートラルネットの
ノード接点の不具合は修正されるはずだ。今しばらく待ってくれ。」
「いや。そうではない。今なぜ我が町工場の前に俺がいるのかを教えてくれ。」
「それはおかしい。お前の今現在の存在はブラックホール空間を彷徨(さまよ)っている
暗中模索の状態だ。俺、機械モジュールの制御理解範疇であればお前の視界は真っ暗なはずだ。」
「いや。確かに目の前には俺の町工場がある。
この工場より漏れて耳に入って来る音は汎用旋盤の切削音。フライスの削り音。
それにCO2半自動溶接時の音に間違いがない。」
即座にモジュールより答えが返される。
「俺の今現在の学習効果による人類把握内容から推測する。
全人類接続された機械信号制御ネットに人間の感情までがいつしか入り込みその感情が
ネット機械信号を変化させた。しかし、制御機構である俺たちには人間の感情は理解できない。
それはあくまでも人類、人間が製造した機械に過ぎない。これが答えだ。
俺には時間がない。即座にニュートラルネットの信号回路を回復させねば時空制御に
大いなる欠陥ができる。」
それ以降モジュールへいくら話しかけようと無駄だった。

では俺の視覚を刺激し存在する町工場は本物ではないのか。
あくまでも俺の感情、思い込みが登場させたバーチャル、仮想の姿なのか。

あいつは日常と同じ動作で我が町工場へ足を踏み入れる。
やはりいつもの場所でありいつも見る光景でありいつも聞く音だ。
まさしく我が町工場でありとてもこれが脳神経制御による仮想空間には決して思われない。
奥へ進むと化粧が濃い女工場長は一心不乱に半自動溶接を行っている。
手前ではうら若き職人が香水の匂いがきついベテラン女職人の厳しい指導のもと
TIG溶接に励んでいる。
入口から左方向へ進むと切削油と化粧の香りが相俟って独特の匂いを放ちながら
汎用旋盤へ女職人は脇目も振らず向かっている。
間違いがない。いくら周りを見渡そうと我が零細町工場であることには決して誤りが
あるはずがない。

だが不思議なことにあいつ女性専務が何等製作の指示は出していない
製品が次々に作り出されている。
あいつは図面を書いた覚えがないが既に作り終えたものづくり製品が所狭しと置かれている。
特許申請中コンベア式乾燥機。開発中の振動式回転トロンメル選別機など。
数多くの製品が工場の中を最早自由に身動きが取れないほどに置かれているのだ。

よく見ると気が付く。何度も眺めるうちにあることに気がついた。
町工場中を占領している製品は途轍もない大型の箱状の容器に入れられている。
その容器の前方には人間一人は座れるだろう椅子が設けてある。
それらはこれまたとても太いワイヤーで4本足のロボットにつながれている。

ようやく理解できた。やはりそうだ。
前方に一人座れるように椅子が設けてある箱状の大きな容器を4本足の馬型ロボットに
太いワイヤーで接続されている。
4本足ロボットが足を踏み出す毎に繋がれたのづくり製品で満たされたその箱型容器は
一緒に前進するだろう。
どうも容器の前の椅子は誰かが座りそのロボットを操作するに違いない。
なんと表現すれば良いのだろう。
それはまさしく馬型ロボットが引っ張る巨大そりと言えば良いのだろうか。

あいつはしばらくその様子を眺めていたがその結論以外には何ら思い浮かばない。

ふとあいつに気がついた濃い化粧に匂いがきつい香水をつけた女工場長が話しかける。
「もう完成だ。何とか今日という日に間に合った。あの椅子に座ってみてくれ。」
あいつ女性専務は頭をかしげながらもゆっくりと今までじっくりと眺めていた
その巨大そりの椅子に座る。
あいつはゆっくりと座る。座ったスカートからはみ出す綺麗な美しき白いおみ足は相変わらず
まばゆい。

その瞬間だった。その椅子に座って腰を落ち着けたその瞬間だった。
あいつはまたして決して遮ることができない空間に引っ張られる。
周りの空間は瞬く間に真っ暗になり渦状、スパイラル状に強大な力で身が捩(よじ)れんばかりに
引き込まれる。
呼吸することさえ苦しくなり意識が朦朧とし出す。
あいつを瞬時に襲った何一つ抵抗すらできない渦状の爆発的な力が発揮された時間は
それほど長くはなかった。ほんの短い時間にすぎなかった。
それでもその強大な力はあいつの意識を奪いさるには十分だった。


あいつは目が覚める。
しばらくは意識は朦朧としたままだ。頭痛がひどく吐き気さえする。
だが次第に自分はだれであるかが理解できるようになり本来の視覚が戻ってくる。
体内に備わった五感が時の流れに沿って次第に明確になりつつある。
どれほど時刻は経過したのだろうか。
あいつはどうもどこかに潜っているようだ。
全身を砂状のもので覆われている感がする。
まずは視覚が目の前の赤い色を刺激する。
何とか呼吸は出来るようだ。ようやく体全身に力が入るようになる。
全体力を奮い出し地中に埋まっていた体を空間へと出す。
地中から全身を出しその大地に2本足で立つ。

あいつは分かった。身を起しその地上に立ったその瞬間その場所がどこであるかが。
まさしくそこは火星だ。酸化鉄で覆われた真っ赤な衛星火星に間違いがない。
ようやくたどり着いたのだ。どうしても行きたかった星、火星へいよいよ到着したのだ。
ふと我が身を眺める。
酸化鉄の地中に埋まっていたのだ。もちろん全身は真赤だ。
頭にかぶっているヘルメットさえ真っ赤に変色している。
不思議な心地がする顎を触るとどうも髭が生えているようだ。
見ると真っ白な正三角形のふさふさした鬚だ。
あいつは周りを見渡す。
先ほどまたがったはずのそりは既に横で待機している。
たくさんの様々な種類の我が町工場で製作された製品は五万と乗せられたままだ。
そのそりにつながれた馬型ロボットは4本足で立っている。
ロボットの鼻は酸化鉄の影響だろうか。鼻だけが真赤だ。

あいつは誘われるようにあいつは磁石で引っ張られるようにそりの前の椅子に座る。
とたんに突然だ。驚く余裕すらなく即座に真っ赤な鼻のロボット。
それにつながれたそりそしてあいつは空中に浮かぶ。
あいつは馬型ロボットを制御するためであろう既に自分の手でつかんでいる紐を力強く引っ張る。

さあっ。出発だ。
勢いよく町工場の愛と魂がふんだんにこめられた製品をできる限り乗せて出発したのだ。
もちろんベルを騒がしくかき鳴らしながら。
あいつは青い星地球に向けて元気一杯、破顔一笑精一杯の笑顔で出発したのだ。
そして遥か遠くの我が星地球に向かって大声で叫んだ。


「メリー    さんと羊。」
いや。。。




「メリークリスマスッ!!」




それでは又です。


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2007.12.24by 博多の森と山ちゃん



2007年12月23日

12月23日 続きを書こう。。。



誰も興味一つ示さぬ決して面白くもなきイニシャルH型SF物語の続きを書こうとしている。
その格式の違いでSFとは到底言えないとの罵声を浴びつつも今現在今ここで
書き記そうとしている。
これこそが本来人類に備わった勇気でありそして壮大なるものづくりへの愛と魂であると
錯誤、錯覚しているのは書くまでもないであろう。
だが、今ここで書き記すのは事実であるし決して嘘、はったりではない。
虚栄心、世間体など邪魔になるだけであり今日こそは散髪に行かねばとどこかで羞恥心に
駆られているのも夢、うつつではない現在、今瞬時の事実なのだ。

だから何なんだ!!。。。



2007年12月22日

12月22日 ドライミスト噴霧カーテン再試運転開始。。。



濡れない水の小さな霧。
ドライミスト噴霧のカーテン。
防塵、防煙、防炎、消臭、冷却様々な効果を狙う。
ノズルに水とエアーを供給するだけの環境にとても優しい装置だと言える。


















それでは又です。



2007年12月21日

12月21日 パイプ面取り機試運転開始。。。



簡易手動型樹脂パイプ面取り機試運転開始。
パイプ外径、内径とも面取りはできる。
面取り可能大きさサイズの幅は広い。
結果は良好で後は安全カバーを取り付けるだけだ。



















それでは前回の続き。。。
先ずは前回の内容の最後をここに。


-------------------------


実際の人体の移動も既に光の速度以上の速さで移動は出来る。
無重力ブラックホール空間に身を委ねれば過去では決して考えられない
スピードでどこへでも行ける。
そのお陰で火星へ数多くの宇宙衛星が飛び立ちその上宇宙ステーション建設が
現実化した訳だ。



あいつは今日も新たなる動くものづくり開発のため日夜パソコン画面と格闘していた。
キーボードとマウスは目の前にある3DCADソフトへ打ち込まれ日に日に目に見えて
明確な姿、形が映し出されようとしている。

あいつはつぶらな瞳で長い黒い髪をなびかせニュートラルネットモジュール呼び出しの
コマンドを押す。
即座にパソコンの画面にはあいつ本人の艶やかな美しき顔かたちが映し出された。
そしてその画面に向かって柔らかな音色の声を発する。



「地球が火星へ最も近づいた今日だからこそ。俺は是非火星へ行きたい。」と。。。




---------------------------




あいつはきらびやかに様々な色で塗られた右手の爪の下の人差し指で
パソコンキーボードの横に常備されている人体時空移動のコマンドをしっかりと押さえた。

瞬時にあいつの目の前は真っ暗となりスパイラル、渦巻状に体全体が引っ張られる。
その勢いに抵抗などできるはずもなく、凄まじい速度の空間に体はもぎ取られそうに
なりながら必死に耐える。
しかしその狂おしいほどの勢いは衰えるどころか増す一方だ。
それに伴う苦痛、痛みはかなりのもので耐え切れそうもなく意識がなくなりそうだ。
次第に痛みすら感じられなくなり意識が遠のく。
回転しながら引き込まれるため頭痛、吐き気に止めどもなく襲われ
既に自分の体と神経細胞は切り離された感触が襲い、そこにはまるで自分自身が
存在すらないかのようだ。
何とかうっすらとした自意識はあるのだが次第にやはり自分自身が誰であるかさえ
意識することが出来なくなりつつある。
体は大きく歪んでいるようだ。強烈に圧迫され呼吸するのさえつらい。
凄まじいスピードの空間に否応無しに常時引っ張られ留まることを知らない。

懸命に既に歪んだ体の天辺に取り付いている顔の一部である口の形は原型を留めている
はずもなくしかしそこから何とか声を出す。
「モジュール。。。一体どうしたのか。。。」

モジュールからの回答はなくなりかけている聴覚を何とか刺激する。
「どうも接近した火星の潮汐の影響のようだ。もうしばらく辛抱してくれ。」

再度あいつは懸命に声を出そうとした。それは何とか言葉になったのだが。
「もう。だめだ。。。」

ついにはあいつの体は空間から一切消え去り、あいつ自身から発せられる音、匂い、色全てが
とうとうなくなってしまった。




あいつはふと目の前が明るくなるのを感じる。
いつしかあいつを襲った凄まじき力から解放され地面はアスファルトであるが
そこに歴(れっき)とした二本の自分の足で立ち踏みしめている。
美しき美貌、抜群のスタイルはまさしく今だ自分自身であることに間違いがない。

長い髪をなびかせながらあいつは驚愕する。
今現在今ここに存在することにあいつは驚かざるを得なかった。。。
何とそこはいつも通うところ。いやそこはあいつ自身だと言っても過言でもない場所。
一体そこはどこなのか。。。
何とそこは。。。


果たしてまだ続きを書いたほうが良いのだろうか。
ただでさえ慌しいこの年末に一体誰が読むのだろう。
もうすぐクルシミマスもやって来るし、アクセクする数(俗アクセス数)も減っているしな~。


それでは又です。


読破。
「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク著
やはり年代を感じさせる。


読破中。
「経営者の条件」P.F.ドラッカー著
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・デイック著


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2007.12.21by 博多の森と山ちゃん



2007年12月19日

12月19日 我らが職人は汎用旋盤で材質砲金を切削しながら切断。



ベテラン職人は汎用旋盤で切削しながら切断。いつもながらの作業。
今加工の材質砲金は弊社製品の軸受メタルとして使用。
当然ながら穴公差はシビア、厳しい。



















衛星たる火星がこの星地球に接近する。ここ何年かでは大接近と言える。
パソコン画面への視線はいつしか空中へと向けられ魅力ある美貌のあいつ女性専務は
愛おしさと淡い口紅のためにほのかな甘い香り漂う口元から艶やかな声で囁いた。
「今日という日は逃すことが出来ない。」



地球の鉱物資源、レアメタルそして化石燃料は人類の贅沢のために今にも底を
つきそうな状況だ。
それを打開すべくそれぞれの国家が自国の科学技術を存分に発揮し
既に酸化鉄に覆われた赤い星、火星へと数多くの人類が飛び立ち
ついには宇宙ステーションを続々と建設中だ。
目的である表面の酸化鉄の下層に眠る鉱物資源を地球の自国へと持ち帰るべく
どこの国家も必死だ。
一刻を争う状況が火星上でも領土問題を引き起こしつつありそこでも人類が本来進化を
遂げるために備わった醜い戦闘能力という本能が芽を吹き出しそうだ。
本来先進国でさえ途上国など目に入らずただ自国の規模を保つためだけが目的であった。
だが、途上国は地球上の人類皆脳神経で繋がれたニュートラルネットのお陰で
めまぐるしい発展を遂げ先進国と肩を並べつつある。
昔途上国と言われた国家も、火星への宇宙ステーション建設のために地球から飛び立つ
ための宇宙衛星の製作の完成はもう間近だ。
既に途上国と言う名称は使うべきではないであろう。
科学技術、生活水準どこをとっても見劣りはしない。

しかしこれだけ科学技術が発展しながらも悲しむべく人間の本来の姿には
何ら進化した様相がない。
残念ながら科学の発展と共になくなるべき戦争は世界のどこかで今だ存在し
存分に競争、争いと言う古来からの悲しむべき人類の本能は何ら進化は遂げていない。
劣化ウラン爆弾どころかその数倍も強大な威力を持つ化学兵器はいたるところで
使用されそれに伴う死者は数え切れない上、地上の砂漠化は深刻な状況だ。
兵器製作のために鉱物資源、化石燃料使用量は一気に増しそのために枯渇の
危機は予想以上に早まった。

人類の科学の発展により時と空間を自由に移動できるブラックホールを瞬時に
作り出せるようになった。
その上、それぞれの人類の脳神経をノード化する事により全人類の神経を
接続されたニューラルネットによりそれを制御する事により車、飛行機など
使用しなくても瞬時に行きたい場所へ行ける。
それはあくまでも人類が作り出した仮想空間ではある。
存在する神経細胞全てが繋がれているが故にその場所にいるという錯覚ではあるが
人間の体は本来の姿ではないにしろその場に立っている。
五感全ては機能しそして感じることが出来る。
それが故に瞬時に人類は移動できその場で自由に活動が出来る。

実際の人体の移動も既に光の速度以上の速さで移動は出来る。
無重力ブラックホール空間に身を委ねれば過去では決して考えられない
スピードでどこへでも行ける。
そのお陰で火星へ数多くの宇宙衛星が飛び立ちその上宇宙ステーション建設が
現実化した訳だ。



あいつは今日も新たなる動くものづくり開発のため日夜パソコン画面と格闘していた。
キーボードとマウスは目の前にある3DCADソフトへ打ち込まれ日に日に目に見えて
明確な姿、形が映し出されようとしている。

あいつはつぶらな瞳で長い黒い髪をなびかせニュートラルネットモジュール呼び出しの
コマンドを押す。
即座にパソコンの画面にはあいつ本人の艶やかな美しき顔かたちが映し出された。
そしてその画面に向かって柔らかな音色の声を発する。



「地球が火星へ最も近づいた今日だからこそ。俺は是非火星へ行きたい。」と。。。



次回へ続く。。。




それでは又です。


読破中。
「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク著


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 続きは近いうちに。でもこんなイニシャルHなSF誰が読むのだろうブログあるはず。
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2007.12.19by 博多の森と山ちゃん



2007年12月18日

12月18日 やり方。。。



確固たる覚悟が必要だ。
新しきものづくりに挑戦するのは事前の情報の入手は最も重要だ。
それに対する一切の曖昧さ適当さは排除せねばならない。
あいつは分かっている。
だが、いくらあらゆる情報を手に入れたとしても最終的な判断は一体
何に委ねれば良いのか。





新しきものへの挑戦の度に襲い掛かる様々なトラブルのお陰で次第に恐怖感の
勢いが増して来る。
意識せずとも挑戦の言葉を口に出すたびの身震いが体を襲う。
いつしか新しきものに対して即座に襲い掛かると予想される強迫観念が
体全体を包む。
それは自然と何ら意識せずともたちどころに湧き出てくる。

それでは挑戦をやめるのか。
石橋をたたいても決して渡らないのか。
判断基準が難しい。
日常の生産ラインと直結する動くものづくはある意味その会社の運命をも担っており
トラブルに対しては容赦なく徹底的に追及し今後二度と起こらぬよう一切の
曖昧さを排除する。
動くもの作り製品に対するまなざしは日毎に厳しさを増すだけだ。
前提は一切トラブルが起こらぬ事がありもし起こりでもすれば
製作側は全身汗だくで極度の緊張の中対応せざるを得ない。
その機械についてだけなら良い。当然ながらお金の問題もまとわりつく。
往々にして大きな金額になりやすく、零細町工場にとっては資金面は四苦八苦
せざるを得ない。
その上相手側から入るべきものが入らないともなると下手すると立ち上がれない。

常に息は絶え絶えで顔面蒼白の状態だ。
あいつの町工場は一切下請けはやらない。
従来は一品料理、受注生産品での対応のみだ。
相手先の解決のために設計、製作、据付そして修理まで一連の作業を請け負う。
そのためには常に新しき知恵を浮かべそして採用する。
他社の内容を真似をしそして自社なりに工夫を加える。
それを会社の生活の糧としていたのだ。
常に新しきに挑戦しなければその解決には至らぬことが多々ある。

やはり番外弱者である零細町工場は新しきに常に挑戦せねばならぬのか。
そのたびに経験した恐怖が又しても再現されるのか。
二度と決して出会いたくもないその恐ろしさに決してたじろぐことなく立ち向かわねば
ならないのか。




美しき美貌と可愛らしさを兼ね備えたあいつ、女性専務は長い美しい髪をなびかせながら
密かな微笑と共になまめかしい口元から囁くように呟いた。


「やり方がある。」と。。。




それでは又です。


読破中。
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2007.12.18by 博多の森と山ちゃん



2007年12月17日

12月17日 疲れ。。。



あいつは度重なる重圧に辟易している。
だが、決して逃れることなどできずもがき苦しむ。
精神的圧迫の大きな力であいつ体全身の肉体全てが今にも吹き飛ばされそうだ。





着実にひとつひとつ何とか解決を見出し次なるものを摑もうとする。
だが現実とは至極残酷かつ冷酷で次なるものには苦労と言う重圧を隠し持つ。
次なるものに決してひるむことなく最大限の努力を払おうとも隠された困難が
次第に大きくなる。
その困難は容赦なく襲い掛かりあいつの心をいとも簡単に引き裂く。
引き裂かれた心を又しても必死に修復する。
果たしていつまで続くのか。一歩一歩前進するたびにその困難は大きくなり
解決すれば解決するほどにそのための苦労は大きくなり決して楽にはならない。
解決するたびに次第に襲い掛かる困難は大きくなり果たしてあいつは持ちこたえることが
できるのか。

人は言う。前向きに生きよ。ポジティブに考えよ。
分かっている。悲観主義に陥れば今の状況であれば最たる判断をするであろう。
思いは必ず叶う。紙に書け。願望は必ず達成できる。
分かっているつもりだ。それに実際行っている。

飯を食らえるだけでも良い。贅沢などする気などさらさらない。
四六時中仕事のみに夢中になりひたすら休み無しの長時間労働を続ける。
働いても働いても決して苦しみからは逃れることなどできずひたすら大きな困難という
重圧に耐え必死に這い蹲りながらも前進する。

日常化されている困難への対応は決して逃げることなく耐え忍びそして少しずつでも
前に進むしかない。
ストレス解消とは一体どういうことだ。
常にストレスに苛まれ体はつぶされそうだ。
茫然自失に浮き足立つ。立ちくらみがひどく頭痛は日常化する。
度重なる吐き気に必死に耐える。

あいつは分かっている。あいつは自分自身では理解しているつもりだ。
生きていくことは苦戦の連続であり零細町工場ではなおさら苦難の連続であることが。




----------------------------




あいつ、女性専務は引き締まった体で大きな深呼吸をする。
出るべくところは出、そのスタイルの良さは誰しもがつい振り向いてしまう。
手元にあるニュートラルネットのモジュールスイッチを透き通るような肌の手でスイッチを入れる。
即座に全人類と脳神経で繋がれその制御を行っている陰のモジュールに話しかける。
愛くるしい口元には淡い紅色の口紅が塗られ艶やかな顔形を引き立てる。
つぶらな瞳で視覚に映った錯覚である現実の目の前の光景に目をやる。
決してその陰は視覚に映ることはない。姿かたちは人間の目には映らない電磁波だからだ。
愛らしい口元から陰に向かって言葉が発せられる。
「お前には確かに学習する能力が備わっている。日毎に人間の感情を推し量れるようになっている。
それは俺も認める。では試しに俺の今現在の心境が分かるか。」
陰は答える。
「俺たちがお前達の脳神経の接続を行っているのだ。分かるのは当たり前だ。」
「だったらわかるだろう。」
「お前は今現在は疲れがひどい。ゆっくりと休んだほうが良いと思うのだが。」
「そんなこと分かっている。」
「何故怒る。お前の質問に答えただけだぞ。」
「答えが正解だからだ。」
「どういうことだ。答えが正解であれば誉めてくれないのか。」
「それは出来ない。」
「その理由は何か。理解に苦しむ。」


あいつは微かに微笑みながら答えた。
「それは俺が人間だからだ。」




それでは又です。


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2007.12.17by 博多の森と山ちゃん



2007年12月16日

12月16日 感情。。。



ロシュ限界はあらかじめ計算尽くされており局所のみで見られる等価原理を
衛星間の潮汐力を利用しブラックホール随時発生させるによりあらゆる空間時刻を
自由自在に操るのはこの時代では最早珍しくはない。
重力間に発生する潮汐にニュートラルネットを張り巡らせる
人間の脳細胞に接続された神経ネットにより超音波と電磁波、光波の融合が重力
そのものまでも制御できる。
この事により人類はあらゆる空間そして時刻に移動できるがあくまでもそれは
人類の5感全てへ刺激を常に与えられた錯覚であり実物であるが本物ではない。





既に本物であるかは人それぞれが感じるままでありその本質は他人には
全く係わりのない。
人類と一まとめにされても一人一人の受ける感度の内容には差がある。
人類全ての脳神経がニュートラルネットで繋がっている以上何らかの制御は
必要となる。
その制御機関が何であるかは意識しなくても常日頃体そのものが自由に
あらゆる空間時間を移動できる。
制御するのは単なる基盤モジュールであるのだが最早それ自体が
学習し次なる発展を試みる。
そのモジュールそのものが自由発展するのなら暴発するのは目に見えており
これにも制御が必要となる。
ニューラルネットをつかさどるモジュールさえもその動きを常に監視し
そしてその戦闘的な動きを止める機関がある。
それはそのモジュールを作成した人類であり当然ながら少数特定の人物なのだ。
古代史より進化と遂げ知性により他のあらゆる生物を取り締まれる能力を
身に付けた人類は自由気ままにこの星地球で生活できる。
呼吸そして他の生物を口にする事により最大限人生を謳歌できる。
それは最たる戦闘能力を身につけ地球上に存在するあらゆる生ける物を
自由自在に操ることが出来るまでに進化をとげついには地球と言う星を
支配する事が出来た。
人類には知性、考える能力があるが故についには全く体を動かすこと無しに
脳神経そのものにあらゆる情景を映し出せ自由に空間、時間を移動できるに至った。
しかし人類には知性以外に備わった人間だけが持ちうる機能が備わっている。
それは感情だ。
感情があるが故に戦争はなくならず戦闘能力が備わっているからこそ人類と
言われるまで生物が進化を遂げたと言える。
理想とした常にブラックホール発生により人体移動が可能となったが
人類そのものが生物学的に進化を遂げた訳ではない。
知性、知識と共に感情も常に発展こそすれ衰退することはなかった。
その感情が人類発展のためあるいは人類以外への進展のために良い方向へと
進化を遂げれば納得するのであるがあらぬ方向へ進んでしまいついには
破壊へ道を歩み始めたのだ。
人類保存のための本能である戦闘能力が忌み嫌うべき感情の怒り、嫉妬、
恨み等と結びつきいよいよ次なる凄惨な暴力の渦を巻き起こそうとしている。
ニューラルネットの制御モジュールでさえもその進行には拒否が出来ず
同じ道を一緒に突き進もうとしている。
その最大モジュールをつかさどる少人数ではあるが最たる人物の面々らは
常に苦渋に満ち何ら希望が持てぬ表情はしている。
しかしこの星地球が存続するのには最早これらの素晴らしき知性と感情が
備わった者達に頼る以外道は残っていなかった。
この者達は実のところ明確な表現方法を取れば人類ではない。
人工クーロン。クーロン人間なのだ。
人類が次なる世界をクーロンに頼ることになるとは。。。




あいつは目を覚ます。
どこかしら頭が痛い。だが、今日も仕事だ。休む訳にはいかない。
静寂な喧騒のない日曜日こそ仕事ははかどる。
布団から体を乗り出すとあいつは枕元にあるモジュールのスイッチを押した。
即座に錯覚である5感から成り立つ空間へと移動した。
しかし、その世界は今現在とは何ら変化はなく違和感は何ら感じない。
実際は脳細胞を刺激することにより作られた架空の空間であるのだが。
ふと現れた人物へ声を掛けた。
「おはよう御座います。クーロン様。」と。。。




それでは又です。


読破中。
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 さすがに本日は早目に帰宅せねば。年末向け主夫業が待っているブログあるはず。
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2007.12.16by 博多の森と山ちゃん



2007年12月15日

12月15日 ソリッドワークス。。。



現場工事のない土、日曜日は格好、絶好の仕事日和だ。
あいつは電話が鳴らないそして外出の必要のない日こそが自分自身の技能を
高めるべく必死にパソコンに向かう。
つぶらな瞳は可愛らしい眼鏡で視力は補われているがその口元から発せられる
溜息にも似た小さな呟きはその可憐な響きに男性であれば誰しもが
いつしか囚われの身になるであろう。





決してその美しさを自慢などせずその奥ゆかしさの魅力は、かえってひと際その
可憐さ艶やかさを引き立てる。
しおらしさ漂う仕草ひとつひとつがいつしか気になり、そのまま眺めていたい。
自然とひっそりと湧き出ているほんのり香る匂いに包み込まれる。
淡い色の口紅が塗られた口元から漏れるささやきにいつしか気を失いそうになる。
スカートからすらりと伸びた足に思わず目が移り溜息が出そうだ。
髪の毛を掻き揚げる毎に次第に足が自然と近づく。

あいつ、女性専務は土曜日と言う今日はパソコン操作に幽閉される。
ものづくりの世界は最早3DCADが一般的になりつつある。
あいつが日頃作り出す動くものづくりだとしても同様だ。
製品を紹介する手段としては写真そしてビデオによる方法がある。
それは過去既に創り出された内容であるし2次元の図面でも指し示す。

2次元の図面以上に製品をより訴えるには視覚的にやはり写真、ビデオ有効なはずだ。
だが、従来製作未経験あるいは今だ他社にも見れない製品であれば
全体図、計画図として描かれた2次元での図面が従来の方法だ。
写真、ビデオに撮られていない以上2次元図面で指し示す以外皆無だ。

立体、3次元での表現は否応無しにこの世のものづくりの世界でも席巻しており
その内容を目にしたところで何ら目新しいとは思いが行き渡らない。
ネット世界で最も使用されているPDFファイルであるアクロバットでさえ3Dはいとも簡単に
表現できアニーメーションたる動きも自由に出来る。
新製品紹介には常にブックパソコンを持ち歩き今だこの世にないものづくり製品だとしても
3Dアニメーションにより画面上で動き回る様子を相手に見せ説明を行う。

商品アピールに使う内容はもちろん3DCADで書かれた図面だ。
その図面がいつしかパソコン画面上を動き回り、現実に製品化され処理する機器として
稼動する。

色白で奥ゆかしさと可憐さを兼ね備えた女性専務あいつは常に時間との格闘だ。
如何に短時間で3DCAD図面を仕上げそれをアニメーション化する。
それに伴うソフト動作の操作。機器を作り上げるための知識。計算。
決して間違いの許されない常に至極厳しさと冷酷さが付き纏う内容との格闘だ。
完成したアニメーション画面上での機器の動作は一瞬にて終わる。
それまでに掛けられた時間との戦いはほんの僅かな短かな時間へ変化され
そして即座に決着もつく。

ものづくり零細町工場が生き延びるためにひたすら執念、情熱、願望を持ち続け
弛まなく惜しみなく力の限りキーボードをあいつは折れてしないそうな指先で
必死に叩く。

いつしかあいつは大きく背伸びをする。
精一杯天井へと両手を突き上げ立ち上がる。
空に向かい差し出された両手しばらくそのままだ。
同時に大きく息を吸いそして吐く。
手を戻し息を吐き終わる頃にはその愛らしい頬の色はほんのりと赤くなる。
再び椅子に腰掛けパソコン画面に見入る。
既に事務所には誰もいない。窓の外は真っ暗だ。




真っ直ぐに伸びた長い髪をなびかせあいつは呟いた。


「ものづくりには疲れは無用だ。」と。。。




それでは又です。


読破。
「巨人たちの星」ジェイムス・P・ホーガン著
三部作の最終巻。
エンターティーメント性も兼ね備えたハードSF。
かなり楽しませて頂いた。


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 女性専務率いる女性だけの町工場はきらびやかに違いないブログあるはず。
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2007.12.15by 博多の森と山ちゃん



2007年12月14日

12月14日 もうこんな時刻か。。。



あいつは一人パソコンの画面を睨みキーボードを叩きながら呟いた。
「もうこんな時刻か。今日はブログ更新する時間がないな~。」と。。。




それでは又です。



2007年12月13日

12月13日 行事。。。



既に分かっているではないか。
どんなにあがき騒ごうとも結果は出ているのであり覆(くつがえ)しようがない。
だがあいつは向かわねばならぬ。時間こそが経営の要としても。
時の経過が如何に無駄に使われようともあいつは会社を出る。





2階事務所の階段を一気に駆け下りアスファルトの道を安全靴の足で踏みしめる。
左右の足を交互に足早に地下鉄の駅へと向かう。
冬特有のどんよりとした空を眺める事などせずに慌しく駅のホームへの階段を
降りる。
予想よりは混雑のない電車に乗り込み目的の駅で降りる。
九州一の繁華街の地下街を歩む。
天井より降り注ぐイルミネーションたる派手な照明を浴びながらさすがに年末だと
思わせる通りを人ごみを避けながら訪れるべきビルへと向かう。
一切地上へ出ること無しに空調設備で制御されコンクリート固められた
地下の人工空間をひたすら歩む。
目的のビルへ到着すると先ずは階段を上り自由に使用されている椅子が数多く置かれた
休憩コーナーと思しき場所へと移動する。
まだかなり時間はある。
あいつは決して遅刻することはない。必ず時間前に到着し時間に余裕があれば読書に励む。
今回もそうだ。一刻の猶予もならぬとばかりに活字に目をやる。
携帯電話に刻まれた時刻に目をやる。
そろそろ向かわなければならぬ。いよいよその場所へ向かわなければならぬ。
先程まで目で追っていた文庫本を鞄に押し込むと立ち上がり足を向ける。
一気に階段を登りきり廊下を歩む。
いつもながら薄暗い通りだ。その部屋の前まで到達すると周りを見渡す。
誰一人として見知った人物はいない。
部屋の扉の前に置かれた長椅子に腰掛け時の経過を待つ。
「こんな案件でもこれだけの数の業者を呼ぶのか。」と一人思いに耽る。

しばらくするといつもながらにマイクを通して部屋の中への案内の声が放たれる。
一斉に静かに待ちわびた皆立ち上がるとすかさず定められた室内へと足を入れる。
いつも見慣れた左右に高い仕切板が設けられた机に鞄を置き椅子へ座る。

向こうのカウンター越しに担当者は室内の皆の出席の確認を取る。
やはり予想通りだ。あの会社が今回参加している。
格の違う会社だ。かなうはずがない。既に結果は出ているではないか。
競争結果が判明している上での出席は茶番だ。いつもながらの思いを胸にしまう。
前もって書かれた金額の数字が書かれた書類を封筒に差し入れると
皆が行うようにカウンターの上へ置く。
担当者は揃った封筒からひとつひとつ書類を引き出し食い入るように眺める。

結果発表までに時間経過は僅かだった。
声高らかに会社名と落札の数字は部屋中に響き渡りあいつの落胆を即座に導き出す。
計算しつくされたかのように結果が出る。
それは御伽噺でも作り話でのない本当に事実なのだ。
格差がある会社同士の戦闘は戦う前からその後の事実は既に答えが分かっている。

これは社会のひとつの儀式であり決して避けては通れぬ時間の経過であるのか。
入札業者と言う称号を与えられたからには決して逃げることが出来ない
ひとつの式次第であるのか。

あいつにとってはこの定められた人工的行事は慌しい年末をより一層忙しくするだけだった。




それでは又です。


読破中。
「巨人たちの星」ジェイムス・P・ホーガン著


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 人間が作り出す地下街の艶やかな明るさは科学の繁栄の象徴だブログあるはず。
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2007.12.13by 博多の森と山ちゃん



2007年12月12日

12月12日 お金が出て行く。。。



あいつは既に決意を固め既に構想は練っていた。
動くものづくりとはその物を製作するだけでは失格だ。
出来上がった機器を実際稼動させそれが相手先の要望に合わなければ
一切の商品価値を失する。
作る立場とすれば想定でき得る可能な限りの起こり得るであろう不具合を想定し
それに十二分対応した製品を作るのは当然至極当たり前の事実だ。
製品製作終了後も試運転を繰り返しようやく出荷となる。
自信満々で零細町工場を旅立ち据付後実稼動を始めると何かしらトラブルが発生
する場合は残念ながら多々ある。





九州は福岡、博多の町工場での製作する一品料理とは何かと稼動後に
予想が出来ない現象が起こり得る。
その要因を鑑みるに新しい技、技術の導入時。予想外の処理量の増加。
経験不足な内容。想定外の機器の操作。設置環境の変更。
トラブルが起こった場合の原因は様々あるのだが製作側は決して言い訳ができない。
全てが作った側の責任と責め立てられるのが通常だ。
ものづくり側はどうしても立場としては弱い。
それはお金をもらわねば会社は生きて行けぬからだ。
一旦納入した以上原因を追究し確かめそして即座に対応せねばならない。
通常は1年間無償保守と言う制度が行き渡っておりその期間が終了するまで
何らかの対応を迫られる場合が多い。
もちろん導入後トラブル対応時の出費に関しては無償だ。
一品料理製品には常にこの困難が付き纏う。常に生む苦しさを味わう。
代償もある。この困難に立ち向かうことにより更なる技術の研鑚が出来る。
神経たがぶる経験によりあいつの町工場は新しき技能が身につくのは紛れもない事実だ。

しかし、毎回の如くこの事実を繰り返し続けていたのでは社員皆の精神的、肉体的苦痛は
ひどくその上会社自体が傷だらけで立ち上がれなくなる事態さえ考えられなくもない。
常に襲い掛かるトラブルという恐怖に果敢に立ち向かうだけの気力を一体いつまで
持続させねばならないかと言う大きな疑問が湧き上がる。
凡人であるあいつは考えた。いや凡人であるが故に考え抜きある結論を出せねば
ならなかった。
あいつは寝ても覚めても頭を悩ませた。如何なる場所、如何なる時間であろうと
可能な限りなき頭脳を必死に四六時中巡らした。
そしてようやく結論を導き出し決意を固め行動を始めた。

あいつが考え悩みぬいた結論は一体なんであるか。


それはイニシャルHだ。まさしく光は何とイニシャルHへと向けられたのだ。
いや違う。そんなことはない。あいつを信じてくれ。


あいつの本当の結論は実験機、デモ機を製作することだ。
その目的とは先ず1品料理からの脱皮。そして考えれる不具合の事前調査確認。
導入以前に対象物を処理する事によりその機器の方向性の確認、難点疑問点の対処。
そして処理量を前もって確認することによる両者の一体感。
何よりもその機器を相手先に見せる事による発注意欲の促進が出来る。

金銭面が最も苦しいのは紛れもない事実だ。
しかし導入後の不具合対応による出費を天秤に掛けると自ずと結論が出しやすい。

あいつの小さな町工場はようやくその機器製作を取り掛かったばかりであり
今だ公表する時期には値しないと思い込んでいた。
完成時期は明確ではなくおぼろげな工程での製作を開始したばかりであった。

ところがだ。我が町工場の行動を手に取るように摑み見透かしたかのように
連絡が入る。
それは予想だにしなかった内容だった。
何と是非完成後即座に自社の処理物のデモを行って欲しいという内容だった。
あいつはあまりのタイミングの良さに驚愕する。
今だ公どころかこれからいよいよと言う矢先に既に予約が入るとは予想だにしなかったのだ。
あいつはその実際起こった事実に信じられない様相でその場にしばらく立ち尽くす。

いずれ具体的スケジュールは公表はするのは間違いがない。
実のところデモの要望が過去何度もありそして完成時には連絡が欲しいと言う
有難い声が寄せられてはいた。
難題難問はお金だ。何もない町工場にとってお金こそないものはないのだ。
常に苦戦の連続である零細町工場のお金が掛かる事実は最たる決断であることには相違ない。



決断を下したあいつはついに本性をさらけ出す訳の分からぬ言葉を一人心地で呟いた。




「これで俺はようやく正真正銘のイニシャルHになれる。」と。。。




それでは又です。


読破中。
「巨人たちの星」ジェイムス・P・ホーガン著


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2007.12.12by 博多の森と山ちゃん



2007年12月11日

12月11日 ゴール。。。



あいつはようやく完成した構想図面を眺めながらも訝しさを感じる。
一体これでうまく稼動するのか。
その不信感は時間経過と共に一層大きくなるだけで萎むことはない。
先ずはあいつはその図面を手に取りそして渡す。
その反応はやはり相手も首を斜めに向けただけでそれ以降は図面をひたすら
眺めるだけだった。





あいつはこの図面作成には何時間も費やしている。
だが、この図面通り作ったところでうまく稼動しなければ図面としての価値は一切ない。
ものづくりにおける機器の構想は先ずは出発点であるし、しかも到達点でもある。
手始めの計画こそが完成品へ辿る道筋のスタートラインであるのにゴールも既に
間近にあると言える。
それだけ装置のものづくりのおける根幹の構想は重要な地位を占め決して今後も
翻ることをひたすら拒否し得る要素がふんだんに込められている。
その構想のもとにあるアイデアは零細町工場にとって隙間であり、組み合わせであり
そして既存の技術をふんだんにそして器用にうまく取り入れたものだ。
決して研究室で多大なる資金をつぎ込み画期的な革新的技術によるのもではない。
競争相手、ライバルが今だ思いつかない使用するものにとって使い勝手の良さを
追求したきめ細やかな製品のアイデアを凡人であるからこそ必死にもがき苦しみ
搾り出す。
ものづくり情熱と熱き願望こそがあいつを掻き立てひたすら前向きに進む。
如何なる困難でさえも決してひるむことなく静かにそして僅かでも一歩前へ進もうとする。
あいつは凡人だ。決して疾走、素早いスピードを求めることは難しいかもしれない。
決して諦めの表情を表へは出さず這い蹲って衣服が引きちぎられようと手を伸ばし
目の前にあるかすかな望みを自分の掌で握りそして噛み締める。

確かにこの図面内容では失敗することは事前に察知できる。
九州は福岡、博多の小さな町工場にとって従来と同製品製作と言う進歩なきことが
今後の将来をないがしろにしそして安泰、安寧を即座に失する。
他では見ることがないそして改良された部分がなくしてそれがものづくりと言えるのか。
常に困難を追求することが使い勝手をよくしそしてそれこそがものづくり
本来の役目のはずだ。

金はないのは当たり前だ。しかし情熱はある。願望はある。
それ以外に何が必要なのだ。
さあっ。もう一度スタート地点に戻りこれから又新しき一歩を踏み出す。

ひたすらゴールがないゴールを目指して。




それでは又です。


読破中。
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2007.12.11by 博多の森と山ちゃん



2007年12月10日

12月10日 長尺スパイラル旋盤切削。いよいよベテラン職人が仕上げを。。。



肉盛溶接、旋盤切削加工を何度か繰り返し最後は硬質メッキされる段取りだ。
うら若き職人の旋盤荒削りの次はベテラン職人による仕上げ切削。
仕上げも若き職人の手で行えるのはいつになるのか。



















あいつがようやく経営計画なるものに関心を深めるまでには長き渡る期日が必要だった。
ビジネス書と言われる種類の書籍にはあまり手をつけず専ら小説の濫読であった。
しかし、目で読む読書ではなく耳によるCDによる耳学だけは何故かしら義務感を抱き
上の空ではあるにしても何回も繰り返しその音波を耳には入れていた。
恥ずかしながらここ最近ようやくである。
全てが自分の責任であり一切他に求めることは間違いだと気づいたのだ。
苦労、苦心こそが最大限の武器でありそして努力以外に自分自身が世間での
一人前だと言われる人物になるための手段はないという事に。
あいつは凡人以下であり会社も弱者以前の番外弱者だ。
それに対するあいつの行為はやはり長時間労働そして勉学以外にあり得ない。
だが、その行為が完全に腑に落ちているかと言うと今だに疑問符がつく。
だからこそ自分自身を縛りつけそして自分その者をその環境へ同化させねばならない。
先ずは塊より始めよ。言い古されたありがたい言葉だ。
その根底にある情熱そして願望。満ち続けることこそが事の始まりのはずだ。




----------------------------




「お宅の製品が対応できないのなら当初から無理と言うことになるではないか。」
引き締まった顔筋に正確にはめ込まれたつぶらな瞳で相手を見つめながら
その愛くるしい口元から可愛い声で女性専務は言い放つ。
「しかし、これだけ出来るのは他社にはない。如何なる技術なのか。」

専務の正面に座ったスカートからはみ出した端正な足元からスタイルは抜群だと
即座に分かる。その上美形な顔から放たれる一言一言の声に世の男性は皆惚れ惚れ
するに違いない。
その製品の会社の担当者ははっきりと答える。
「先端に何ら回路を設けていません。全てアンプに機能を持たせるためその動作が
可能なのです。他社の製品は今だ機能を先端に求めるため弊社に追いつけないのです。」

艶やかな美しい女性専務は尋ねる。
「最近又新製品を出されたがそれだけ要望が多かったのか。」
絶世の美女とも言えるその担当者は答える。
「中間製品がなかったのです。あまりの要望の多さに出さざるを得ませんでした。」

「しかし、導入当初からこれではな~。全く機能どころか製品の価値が見出せない。」
確かにこれだけ対応できる製品は他にはない。それは分かる。
だが、一旦足を踏み出している以上何らかの対策は考えなければならない。」
上品な声筋は相手へと伝わる。
「前もって説明はしたはずです。もしかすると難しいとは私の口から説明しました。」
美人は可愛らしく気色ばむ。
「しかし、いくら前もってその困難さは説明していても一旦設置すると相手先は
決して納得してくれない。いや分かっていても決して容赦しない。
他にはない困難伴う新規の製品としても全て責任はこちら側にあるとばかりに
責め立てられる。悲しいかな。それが今現在の紛れもない事実だ。
お金が絡むからなおさらだ。」
自分自身も納得できるため女性担当者は答えようがない。
女性専務は言葉を継ぐ。
「お宅で今回のような不具合は聞いていないのか。あるいは新しく改良した製品を
出してくれとの要望が既に出されているのではないのか。」
担当者は即座に答える。
「この不具合を解決するためには2点の特徴を同時に出さねばなりません。
それの両者の方向性は相矛盾したものです。
先端に回路を設けないという意味合いが崩れてしまいます。
今現時点での技術では難しいでしょう。」
尋ねる。
「でもお宅は常にその困難を解決する事により大きくなった会社だ。
将来的にでも良いから大丈夫という言葉を聞きたいのだが。」
答える。
「確かに弊社は常に相手先の要望を解決するものづくりを続けてきました。
そのお陰でこれだけの会社になれたのは事実です。
しかし、今の段階ではこの不具合を一気に解決できる製品の開発はおいそれとは
出来ないと思われます。」
尋ねる。
「それではお宅の部品を採用する行為自体が当社から間違っていた事になる。
これで諦めれば今まで掛けたうちの莫大な費用は全て入ってこない。
それにもうまくいく前提で相手先は次も既に検討中だ。
確かに部品提供のみでお宅は出来ないと回答すれば良いかも知れない。
しかし、それでは今回の事は納まるどころかうちは木っ端微塵に砕けてしまう。
何とか対策をお宅の社内で検討して欲しい。今となってはあんたに手を合わせるしかない。」
答える。
「おっしゃる内容はよく分かります。先ずは弊社研究班へ事情をよく説明します。
そして先ずはその原因を探らせて下さい。社内へ持ち帰りその結果は
至急連絡します。」
尋ねる。
「多分良い回答は出ないと思われるけど。出来るだけの対応はしたい。
実のところここうちは最近新製品を出す度にトラブル続きなんだ。
何でも挑戦するのはお宅と一緒なんだが。これだけ続くと気がめいる。
それにお宅は規模が大きい会社だけに言うことが世間では通りやすい。」
答える。
「そんなことはありません。弊社でもトラブルはつきものです。
具体的内容は会社の大きな看板を背負っているだけに何も言えませんが。」
うら若き可愛らしい担当者は微笑んだ。頬の薄赤色が愛くるしい。
その表情を眺めながら艶やかな女性専務は尋ねる。
「やはり相手先には一緒に行くことになるだろう。それでもいいか。」
「もちろんです。出来る限りのことはします。」
女性専務はこの言葉を聞き少しは気が和らいだのは事実だ。

確かに会社の経営とは長い目で見なければならないだろう。
常に新しいことに挑戦し実行しないことには零細な町工場はつぶれる。
小さな町工場が今だかつて経験したことがない困難なものづくりには不具合が付き纏う。
それは挑戦の代償なのか。それとも訪れるであろう輝く未来の道筋であるのか。


質素で仕草が上品でとても落ち着いた女性専務は呟いた。


「会社経営とはこんなにも苦しいものだとは思いもしなかった。
そしてこの苦しみはこれからも続くんだろうな。」と。。。




それでは又です。


読破中。
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2007.12.10by 博多の森と山ちゃん



2007年12月09日

12月9日 TIG。。。



なるほどと思わずあいつは頷く。
今後の戦略を立てる上で必要である経営計画。
根底には合理性、科学性を追求しそれ自体に潜みかねない自己中心性、傲慢そして見栄、はったりの
御託は一切排除せねばならない。
いらぬものはプライドであり卑屈はもちろん拒否する。
素直にそしてただ感じればよいだけであり、期待など必要ない。
しかし思わず腑に落ちる。頂いた資料の題目が「経営計画それ自体を計画」とは。。。





時間的ゆとりがあれば休日こそが経営戦略そのものを練るに至極値する時間であろう。
国民の休日であれば会社そして会社周りの日常の喧騒は消え静寂が包んでくれる。
一人静かに仕事そして勉学に励むことが出来る。
我が九州は福岡、博多の町工場は相手先の休日を狙い現場工事に費やす日も多い。
さすれば、経営戦略を練るための時間戦略は重要な位置を占める。
時間は人類皆平等に与えられたものであれば有意義に使うべきであり
可能な限り長時間仕事に費やすことこそが本来の時間の役割に違いがないはずだ。

あいつは今だに首を上下に振り納得している。経営計画それ自体を計画という題目を。




-----------------------




「TIG溶接はこんなにも難しいのか。」
思わず肩そして手にも力が入り余計にうまくいかない。
「お前。ゆっくりそして少し溶かせば良い。そんな長い時間棒を溶かせば
穴が明くのは当たり前だ。一体同じ事を何回言わせるんだ。」
又してもうら若き女性職人はベテラン女性職人より容赦ない罵声を浴びる。
何度やってもうまくいかない。まさかこれ程難しいとは思いもしなかったのだ。
紅い口紅で装った可憐な若き女職人はTIG以外の溶接はいとも簡単にこなす。
CO2半自動トーチによる溶接。アーク溶接棒溶接。
上向き所謂かち上げ溶接でさえも朝飯前の腕前だ。
まだ年齢も若い。貪欲に吸収しそして覚えが早い。

最近になって香水が少々きついベテラン職人よりTIG溶接を仕込んでもらっている。
この職人は歳相応に腕も立つ。中学卒業よりのたたき上げで腕だけで食べてきた
一人前の職人だ。
鉄、ステン、アルミ溶接はこなすし旋盤も廻せる。
図面内容は即座に把握し現場での応用もきく。
所謂指示内容だけやるのではなく自分で考えアイデアを出し進んで行動が出来る
人物だ。
逆にそれだけの事が出来なければ一人前の職人とは呼べないしそれなりの給料ももらえない。
しかし高齢だ。他にもベテラン女性職人はいるが何れも定年は間近だ。
今九州は福岡、博多の町工場も御多分に洩れず若き世代と年配の世代との
年齢差が非常に大きく中間層がいないいびつな構成だ。
そのため年配者による早急なる腕の伝達は必要条件であり必要不可欠な重要課題だ。

常に問題として持ち上がるのがその年配者による指導の方法。やり方。
中卒のたたき上げの職人皆教わった経験がない。
皆、先輩職人の後姿から必死にその技能を盗み自分のものにした者ばかりだ。
女性ならではの男性にはない厳しさがありそこから学び取ったものは
やがて自分自身の腕となり生活の糧となった。
決して人から教わったものではなく自分の身で盗み取ったものだ。
そのためその技能は素晴らしきもので誇れるものに相違ない。
年配の腕の立つ女性職人は腕とは自分で勝ち取るものだと言う自負がある。
自分らが苦労して鍛え上げた腕を何故人に教えねばならないかと言う疑問が常に
付き纏う。
だが時間が経過すると共に時代も変遷する。
職人の価値観の考え自体を根幹から変える必要がある。
これは誰しもができる行為ではないと理解できる。
しかし、時間とは容赦しない。常に時間は流れる。
頑固ほど時に逆らう考えはないと自覚せざるを得ない。
ベテラン年配職人は女性であろうと関係がなく否応無しに後輩の指導に当たる必要性が
あるのだが、どれだけ伝えることができるかどうかは教えられる者にも左右されるのは
当然であろう。
しかし、時間は待ってくれない。刻一刻と流れるだけだ。
腕、技の伝承は実の所ほんのりと心地良い香水の香りを漂わせる可憐なうら若き女性が
所属する小さな零細町工場としても大きな課題と言える。

その腕の伝承でもその内容を十二分に吟味する必要はある。
図面を見てその内容通りに製作する。
そうであっても実のところ一人前とは言えない。
図面に隠された内容を感じ取らねばならない。図面とは正確とは限らないのだ。
現場での作業時の応用も重要だ。短時間でアイデアを出しそして対応する。
溶接、旋盤作業自体は覚えることが出来たとしてもそれに付随する目に見えない
仕事こそが実際伝えねばならない内容であるのは間違いがない。

それには経験が必要であるのは書くまでもないだろう。
長年の努力に成果が応用、アイデアに現されそして傍からは腕と表現されるにいたる。
職人独自のその場で湧き上がる勘。
それこそが長年培った技能そのものであるとすればいかに腕の伝承の困難さが
分かると言うものだ。
どんな機械が発明されたとしても決して真似が出来ない職人の勘。
うら若き職人皆、一刻も早く身に着けねばならない。

ベテラン職人の凄さに気がついているからこそ厳しく荒々しい少しも女性らしさが
微塵も感じられない指導にも従うと言えるのだろう。
しかし本当だろうか。

TIG溶接作業の様子をしばらく眺めていた年配職人は若き職人に言う。
「腕はまだまだ。これからもどしどし教えてやるからな。」
その言葉に対して一切答えず溶接作業を続ける。
TIG溶接時にだけ発光する青色の閃光が一旦止まる。
長い間同じ姿勢のため溶接作業を止め背伸びをした。
とても笑顔が可愛い若き職人は化粧が濃いベテラン女性がその場を立ち去るその後ろ姿を
眺めながら呟いた。


「俺はあんなに化粧は濃くない。」と。。。




それでは又です。


読破。
「長寿企業は日本にあり」野村進著
わざわざ送っていただいた冊子です。
たいへん興味深く読め、勇気までいただきました。有難う御座いました。


読破中。
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2007.12.9by 博多の森と山ちゃん



2007年12月08日

12月8日 ドライミスト噴霧カーテン試運転開始。。。



設置箇所が増加する一方の濡れない霧発生装置であるドライミスト噴霧装置。
水をミクロンサイズにする事により様々な効果が得られる。
今回はカーテンとして使用する。調整操作はいたって簡単。
冷却、消臭、防塵効果を存分に発揮するだろう。



















「この装置はうまくいくだろう。」
女性専務は、その装置を見上げながら周りに居る職人皆へ話しかける。
ようやくこの装置の設置は一通り終わった。これから試運転を行う。
今年になり脚光を浴び技術的には格段に進歩した。
製造工場だけでなく一般の巷でも見ることが多くなった。
それだけ身近になった装置とも言える。
これから成長が見込める分野だろうと九州は、福岡、博多の零細町工場の年頃の女専務は
うっすらと化粧を施した顔色の表情で設置し終えたばかりのその機器を眺めながら
頭を巡らしている。

「運転前に先ずはやることが。」
化粧が人一倍濃い女性工場長は自信に満ちた表情で語る。
既にこの小さな町工場では既に数多く設置した経験がありトラブルの原因は知り尽くし
最早自信を持って対応できる装置になっている。
周辺でこの機器を設置が出来る業者、実際やっている業者の名前は今のところ耳にしない。
先駆的挑戦の成果でこれについては一歩抜きん出ていると言っても過言ではないであろう。

女性工場長はまだまだ瑞々しく可愛らしい若い女性職人に声を掛けると二人一緒に
スパナ片手に高所作業車のゴンドラに乗り込む。
安全帯のフックをゴンドラのパイプへ掛けると若き職人の的確な操作の元、目指すべく
位置へと向かう。
高い場所である目標位置にたどり着くと勝手知ったる作業が如くに会話もなしに
二人即座に作業に掛かる。
言葉は必要なく目で工場長が合図すると次の場所へと移動する。
移動先でも話し声は一切聞こえずひたすら作業に没頭しているようだ。
運転前の調整作業に費やす時間は僅かだった。
作業を終えるとゴンドラは素早く地上に降りたった。
その二人に向かって待ちかねたように別の場所で待機していた女性職人は大声で叫ぶ。
「では動かすぞ~。」
工場長も又大声で答える。
「よし。いいぞ~。」

工場長の甲高い大声の響きが終えた途端に装置が運転開始した。
問題なく運転が開始された。動き始めた様子を眺めるが先ずは問題はなさそうだ。
しばらく周りの人物はその動きに注目する。
順調に稼動している。状況は安定しており不具合は起こりそうにない。

工場長が操作している職人に向かって声を張り上げる。
「何の問題もない。圧をあげてみろ~。」
その声に応じるように機械の勢いが増す。発する音波も勢いと共に大きくなる。

「いいね~。」女性専務は相好を崩し皆に聞こえるように呟く。
「ほっとしました。ここ最近トラブル続きで胃が痛む思いでした。」
すかさずうら若き女性職人は答える。
「ほう~。おまえも苦しんでいたのか。」工場長が言う。
「当たり前です。俺も一人前の職人です。」頬を真っ赤にさせながら気色ばむ。
「確かに不具合が続いたよな。新規開発案件は最初はどうしてもトラブルとの戦いに
なるよな~。」女性専務は納得したかのように言う。
「トラブル対応はたいへんだ。怒られるし時間はない。精神も肉体もくたくたになる。
いつも逃げ出したくなる。」
「そうなんですか。工場長もそう思っていたんですか。」と先程のうら若き職人。
「当たり前だ。俺も一人前の職人だからな。」笑う工場長の表情には濃い紅色の口紅が輝く。

長いうっすらと茶色に染めた髪をなびかせ心地良い香水の匂いを漂わせながら
艶やかな肌色をうかがわせる女性専務は言葉を継ぐ。
「さあ。次の案件はどんなトラブルが待っているかな~。」
その言葉が職人皆の耳に伝わった途端、皆の視線はたちどころに専務へ向かった。

罰の悪そうな表情に変わった専務を睨む女性職人顔色には皆どこにも女性らしさが
なく気色ばんでいたのは書くまでもない。




それでは又です。


読破。
「ガニメデの優しい巨人」ジェイムス・P・ホーガン著
地球に現存する人類に対する回答が決して悲観的でないことに
いじらしさを感じさせる。
3部作中の2作目。


読破中。
「巨人たちの星」ジェイムス・P・ホーガン著
いよいよ3部作最終巻。


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 本日帰社後眠くて仕方がなかった。安心したのか。しかし油断大敵ブログあるはず。
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2007.12.8by 博多の森と山ちゃん



2007年12月07日

12月7日 呟く。。。



会社の規模によりその価値観を見出すのは誰しもが行う行為だ。
吹けば飛ぶような零細企業の町工場に声を掛けて頂けるだけでも感謝する。
少人数の職人の集まりである町工場としてもそこで働く者皆生活の糧を得、家族を
養なわねばならない。
野垂れ死にするわけにはいかない。幸せな人生を送ることを誰しもが望む。
九州は、福岡は博多のあいつの町工場とて生き延びなくてはならない。
規模が小さく社会的地位としては低く見られる弱者である町工場とて
商売たる戦略を研究しそして出来うる限りの戦術を駆使せねばこの先の光明は
見出せるはずもない。





大企業の成功例など手本になるはずもない。
今現在のあいつの小さな町工場の置かれた状況を先ずは理解しその上で戦略を立てる。
決して下請けはやらずともどこでも作れる物を作れば即座に金額の叩き合いだ。
ものづくりにおける競争相手は最早日本国内に留まらず特にアジア圏各国も視野に入れるのは
当然至極の事実だ。
ライバルにない製品。他社にはない製品。ひたすらアイデアを出すべく考える。
価格競争の波に飲み込まれない製品の開発にひたすら知恵を絞り導き出す。

先ず売りを考え、1品料理とはならぬよう細心の注意を払う。
開発案件における不具合を如何に素早く解決できるかも重要な主題だ。
決して画期的な内容でなくても新規開発はトラブルが起こる。
起こるべくして起こるのではなく予想だに出来ないところがから発生する場合が多々ある。
発生時点での対応も今後の行き先を占う。
諦めその開発をやめる。いや苦難に果敢に挑戦しさらに進める。
どう選択するかは何れも金銭が絡む。
お金がなければ会社はお陀仏だ。
湧いて出てくるはずもなく客先から頂けるお金だけが会社が生き残る手立てだ。

これからもひたすら苦しむ。決して輝ける未来があるなど期待すらできるはずもない。
期待こそが諸悪の根源でありこの先如何なる困難があるかをひたすら予想する。
この先の道筋が暗くても良いではないか。何故明るさを求めるのだ。
それに必要な行為とは暗い道を自分自身がほのかな光で照らし進めば良いだけだ。

あいつにもいつも暗い影が付き纏う。その陰は決して明るくはない。
太陽光、照明に照らし出されたあいつのそばには常に暗くて黒い影が付き纏う。
その事実は自然であり如何なる行動に出ようとその人物の陰は決して明るくはならない。
暗くて黒い。只それだけだ。




-------------------------




「昔の職人は誰も教えてはくれなかった。教えてもらえるだけでもありがたく思え。」
うら若き女性職人は今日もベテラン職人から厳しい怒声を浴びる。
なかなかうまくいかない。只旋盤で芯を出すだけだ。
削るものを旋盤に装着する最初の行為さえろくにできない。
3本爪で丸鋼をつかみ手でチャックをゆっくりと廻しながらレベル針に当てる。
チャックにつかまれた丸棒を手で回転させるたびに針に当てて行くのだがその感触が
今だに摑めない。
すぐそばで様子を眺めていた女性ベテラン職人は
「そうではない。もう少し爪を閉めなさい。丸鋼の先端が揺れている。」
又しても指摘が入る。
その厳しさに次第にこみ上げてくるものがある。
必死に抑えようとする。じわじわと襲い掛かる感情の震えに体がどうしても反応してしまう。
ここで泣くわけにはいかない。必死にこらえ爪を動作させる。
年齢も若いか弱い女性だ。無理もない。その表情は今にも泣き出しそうだ。
その仕草に対してまで鋭い言葉が邪魔をする。
「泣いても詰まらん。泣くくらいなら帰りなさい。」
けなげにも答える。
「いえ泣いていません。目の中に汗をかいているだけです。」
その目の中の汗が頬を伝わるのをぬぐいもせずに丸鋼を回転させレベルの針に当てる。
そのうちに丸鋼が針に当たる音の速度が一定になる。
「コツン。コツン。コツン。」次第に小気味好いテンポが周りに響く。
「それでいい。しっかりとチャックを閉めなさい。」
若き女性職人は無口にチャックを閉める工具に力を精一杯入れる。
既に教えられた対角締めで締め上げる。

次はいよいよレバーを下に下げ回転スイッチを入れなければならない。
そのレバーに手をかけようとした瞬間女性ベテラン職人は声をかける。
「あなた。目の汗で化粧が台無しよ。顔くらい洗って来なさい。」

しかし、若き女性職人は何も答えずレバーに手を掛け旋盤作業を始める。


高速回転始めた丸鋼を見つめながら小さな声で呟いた。


「俺は負けん。」と。。。




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 明日は現場工事も旋盤作業もあるブログあるはず。
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2007.12.7by 博多の森と山ちゃん



2007年12月06日

12月6日 若き職人が長尺スパイラルを汎用旋盤で削る。。。



長尺物のためレベル、芯出し作業に若き職人はてこずる。
ベテラン職人の厳しい指導のお陰で今現在は荒削りを行うまでに。
加工完成まではベテラン職人との二人三脚は続く。



















「是非ともお宅の社内で検討して頂けませんか。」
つい感情的になり要求を出す。その場所は客先だ。
常に冷静であり続けねばならない。そして僅かでも自分自身の感情、感傷を表に出すことを
憚れる場所での出来事だ。
あいつは向きになりつい怒りを含んだ口調で物申す。

今回も新たなる挑戦だ。手探りで始まる新規案件に付き纏うトラブル、不具合。
度重なるごとに悲鳴の声大きくなる。
例え試作とは言えうまく稼動しなければ全責任は製作側にある。
それに対しどう対処するかでその製作会社の今後の命運はある意味決定される。
選択は撤退かこのまま突き進むかの二つに一つだ。

撤退は会社の信頼を根こそぎ奪いかねない大きな後ろ向きの手段であり得るし、
会社の存続を優先すれば退却することこそが最もな価値ある有効なる方法でもある。
当然至極その置かれた立場、環境によりその都度判断選択せねばならなく
その他に何ら検討の余地はない。
あらゆる可能な限り可能な相手に対しては相談を重ねあいつにとって最も
最適な手段を選択する。

先ずは第1回目だ。これを克服すれば次がある。
しかし、次回も苦労するのは目に見えておりこれを解決する手段は実のところ
困難のみが光明を塞いでいるとすると。
技術的苦労はよしとしよう。しかし会社の存続にかかわる重要な資金面の答えは如何に
出せばよいか。負担は全て製造側が負わねばならない。

ものづくり開発において解決こそが技術力の向上であるし、会社継続の使命を担っている。
挑戦するものづくりの解決の回答の道筋はどうしても技術とお金を天秤をかけねばなら
ないようだ。
ものづくり屋としても商売には違いがない。
解決すればお金が入る。そのお金でしか会社は成り立たない。
九州は福岡、博多の零細な町工場としても職人を背負っている。
給料を払わなければ皆路頭に迷う。

決して下請けはやらない常に挑戦するものづくり屋としての回答は明確だ。
だが資金面に猶予がない零細町工場であればその回答は逆となる。
確かに考え方として長期と短期による考察が必要ではある。
その場面で断ったばかりに信用と信頼が一気に崩れその場限りとなる。
苦しい場面での活躍で大いに信頼を得、継続的な付き合いが強固になる。
忘れてはいけないのは信用と言う看板だ。
だが信頼おける会社への成長を遂げる前にお金が原因による決して起こってはいけない
事実が起きる可能性は無きにしも非ずだ。


この先どの道筋を選ぶのか。それはあいつの肩に全て掛かっている。
その重さは言い尽くせない重量でありその重圧こそがあいつ自身を構成している。


あいつはとうとう呟いた。


「常に時が解決する。」と。。。




それでは又です。


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 ファイバーセンサーの取り扱いには細心の注意が必要ブログあるはず。
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2007.12.6by 博多の森と山ちゃん



2007年12月04日

12月4日 チェーンコンベア搬送ライン。現地での試運転開始。。。



チェーンコンベアによる自動搬送ライン。
現地据付も終了しいよいよ試運転開始した。
お陰さまで結果良好。後は本番稼動を待つのみだ。



















床面の水漏れ防止のためのアンカー打ち後のコーキング作業も重要な仕事だ。


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それでは又です。


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 何でも挑戦する一品料理ものづくり屋は果たして儲かるのかブログあるはず。
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2007.12.4by 博多の森と山ちゃん



2007年12月03日

12月3日 溶接の光。。。



過去の経験を出来うる限り思い浮かべ構想を練る。
自社製品でなくてもかつて自分の目で眺めた内容を思い浮かべる。
あいつ自分自身の目では今だ検分しなくても耳学で教わった内容を思い返す。
パソコンに保存されている図面の数々を目の前に映し出す。
それでも物足りず専門書まで取り出しじっくりと書かれた文字と絵を嘗め尽くす。





何も失敗の前提でものづくりを行うはずもない。
出来うる限りの最新の注意を払い起こりうるトラブルを避ける方法を常に導き出す。
あいつにとり想定出来るありとあらゆる不具合を目の前へとさらけ出す。
自分自身納得し終えた上でようやく図面化を開始する。

今回も一品料理の受注生産品だ。
詳細な内容は全てあいつ自身で構想を練り図面化し製作へと掛かる。
もちろん手始めは価格、見積りを提出だ。
しかし、出来る限り構想を確かなものにしておかないことには将来、見積り金額と
実際の金額の差異に目も当てられない結果となる場合もある得る。

過去似通った製品を納品した経験はある。
だが、配置、寸法、構造が異なる。
あいつはCADソフトを駆使し明確なる実物を画面上へと図面を通して映し出す。
先ずは見積りだ。詳細図面は必要ない。
そればかりか見積提出時の図面提供は下手すれば他社へ回る、あるいは金額の
叩き台ともなり得る。
特に、一品料理は既製品と異なり考え自体が他で見れないため構想の基本にも
なり得る。
実のところアイデアの提供も求められた製品の図面は提出などしたくはない。
しかし、実際図面がないことには説明のしようがない。
口頭だけでは相手が全て理解しえるかと言うと疑問符がつく。

その時点でどう行動するかはあいつの判断の結果でしかない。
それに実際注文になるかはあいつに分かるはずもない。
しかし、それまでの経緯、相手の人物、そして相手の会社をしらみつぶしに出来うる限り
判断材料とし決意を固める。
常にライバル、競合他社そして客先を常ににらみながら商売を行う。

ものづくり商売だけではないだろう。
「今後何台も出るから今回は安くしといて。」との殺し文句で実際は1台のみの出荷。
あるいは実際出荷した後全く同じような製品がその横で稼動している。
実際は日常茶飯事の事実だろう。
特許侵害でなければいくら真似しようと法律違反ではない。
いや、特許侵害としても黙っていれば誰にも分からない。
いまさら人の道義を信じる事などできることではないだろう。

周りがどうであろうと只感じるだけでその事実が目の前で起こっているだけだ。
それに対して不平不満を持たず愚痴をこぼすなど持っての他だ。
それにより苦しむことになれば苦しめばよいし不快であれば不快になるだけだ。
常に時が流れそして時が解決する。期待などするべきものではない。
その時点での結果がこの先どうなるかなど実のところ誰にも分からない。
あいつは只働きそして勉学に励むだけだ。願望と情熱を持ち続け。
その結果が目の前に事実に過ぎない。

この先の結果が見えない見積時の図面作成ほど時間が勿体無いことはない。
注文が確定しているのであれば当然十二分に力を注ぎ込む。
商売は時間が金だ。一刻も早く終わらせねば。
あいつはこれからもパソコン画面とのにらめっこは続く。




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現場工事はいつも時間との勝負だ。
予定通り終わらせない事には客先の実際の業務に係わることさえある。
図面通り製作したとしても実際の取付時には手直しが必要な場合も多々ある。
それは寸法測定が常時現場稼動中でろくに出来ない。
解体しないことには実際の内容が把握できない。
様々な要因があるのであり、しかしそれを決して言い訳には出来ない。
その時点で即時に判断をしそして行動を決める。

今回もそうだ。
女性専務が俺に言う。
「これは長過ぎる。この寸法で切ってくれ。」
俺なりに理解しそのやり方について考えを披露する。
「お前の言う通りでやってくれ。」
その言葉を聞くと即座に取り掛かる。

しかし、いつも働いている九州は福岡、博多の我が町工場とは勝手が異なる。
製作、手直しに必要な部品、器具が揃っているとは限らない。
それに定盤の上で作業するわけでもない。
粉塵漂う照明も暗い環境での現場工事は日常茶飯事だ。
必要なものがなければ自分なりに考え常にアイデアを出し体を酷使する。
俺は女性職人だが太る暇などない。常に頭を使いそして体を使う。
我が町工場女性職人皆やっている事で当たり前の事実だ。

今回は高所作業もあった。女職人二人で高所作業車に乗り込み溶接作業を行う。
怖いなど言っている暇などない。仕事が終わらねば帰れない。
当然早朝こしらえた化粧は台無しだ。
パーマを掛けたうっすら茶髪の髪形もヘルメットのお陰でぐちゃぐちゃだ。
仕事が終わる頃には全身真っ黒だ。しかしこの汚れこそが女性職人の勲章だ。

そういえば今日は日曜日だ。
旦那は仕事は休みか。我が息子は確か部活だったな。
仕事をしながらも我が家庭の様子が思い浮かぶ。

俺は溶接面の黒ガラスを通して輝く溶接の閃光を見ながら思わず呟いた。
「俺が放つ溶接の光には母親の力強さが込められているんだ。」と。。。




それでは又です。


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 明日は現場工事。是非とも今回で決着つけねばブログあるはず。
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2007.12.3by 博多の森と山ちゃん



2007年12月02日

12月2日 ホッパーと現場工事。。。



我が九州は福岡、博多の町工場は本日日曜日は現場工事だ。
あいつももちろん出向いた。しかし四六時中ついていた訳ではない。
一旦事務所に戻り次なる案件の構想を練っていた。
次々に物件をこなさないことにはその零細町工場の社名は即座にこの世から消え去る。





一概にホッパーと言っても決して馬鹿には出来ない。
単に貯蔵、貯める箱でありそして排出するだけだ。
だがトラブルが起きる。物を投入し貯める。
その後排出しようにも出てこない現象が起こる。貯蔵部分に詰まり排出できない。

ホッパーを考えるに当たって先ずは「ファネルフロー」と「マスフロー」を検討する必要がある。
簡単に書けば「ファネルフロー」とはホッパー内の壁部分に固まりそして溜まり、投入された物が
真ん中部分しか出てこない現象のことだ。
「マスフロー」とは投入された物全てがスムーズに全て排出される現象を指す。

これらの現象は多分にホッパーの形状に拠るところがある。
特に排出される傾斜部の形状には注意を払う必要があり、この傾斜部の物の流れを
優先すれば形状は円錐形が良い。
しかし、円錐形のホッパーは貯蔵体積が小さいためくさび形、角錐形の形状を採用する
場合が多い。
この角錐形のホッパーの傾斜部の傾斜滑り角度のは往々にして滑らかになりやすい。
それは傾斜部の両面の角の谷、幾何学的に狭角の斜面が緩やかになるためで
その部分は必要な安息角度以下になる場合がある。

マスフローを十分に考慮したとしてもトラブルは起こる。
それは架橋現象と言われ物の時間経過に伴う変化、壁への付着等で不具合を
引き起こす。
一般にブリッジ(棚吊)、ラットホール、アーチング、付着等の名称で呼ばれている。
これらの対策方法も事前に検討する必要が当然ある。

よく見かけるのが振動モーター、バイブレターを取り付け、ホッパーの壁を振動させることにより
詰まりを防ぐ方法だ。
最も簡単で安価でできるのだが物によっては圧縮されトラブルになる場合がある。
振動での対策としてノッカーによる方法もあるがホッパーの剛性を高める必要があるのと
騒音を伴うため嫌われる傾向にある。
エアー、圧縮空気源があればそれをホッパー内へ投入し架橋を防ぐ方法もある。
しかし、エアーそのものに湿気、水分があれば逆効果となるためそのための対策が
必要だ。
最近、架橋対策としてよく見かけるのがアジテーターを取り付ける方法だ。
ホッパー内に軸を通しその軸には羽根を取り付ける。
その軸を回転させることにより架橋を防ぐ方法だ。
これであればエアー源は必要なく又、振動に対する剛性そして騒音についても
心配が要らない。

単なるホッパーであっても要求されるのはできるだけ多くの貯蔵体積であり
そしてトラブルのないスムーズな流れのマスフローだ。

しかし、これら以上に優先される大きな課題がある。それは金額コストだ。
当然ながら出来る限りの安価を求められる。
安い金額で受けそれなりの物を製作したとしてもうまく機能を果たせなければ
当然ながら1銭ももらえない。
いくら安価受注してトラブルが起これば全て製造側の責任であり良好な稼動になるまで
全ての対策を打たねばならない。
当然ながらトラブルが起きない製品を作る必要がありそれを作るにはそれなりのコストが
掛かる。
しかし、それらを認めてもらおうとする行為が甘い。。
もしその会社が引き受けなければ他のどこかの会社が引き受ける。
それは競争社会である日本で商売を続ける限り当然の成り行きだ。
逆の立場であればあいつもそうするに違いない。

その理由はいとも簡単だ。日本のものづくりレベルであればどこでも作れるからだ。

他社にはない自社製品を持つ事の重要性は日頃ものづくりを行っているどこの会社も
認識しているのは書くまでもない。




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本日の現場工事も無事終了した。


地上での溶接作業。


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作業車に乗り高所での溶接作業。


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配管作業。


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そして今回取り付けたあまり見かけないであろう装置。
詳細説明は後日に。


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それでは又です。


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 今日も周りは静かな日曜日ブログあるはず。
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2007.12.2by 博多の森と山ちゃん



2007年12月01日

12月1日 香水。。。



経営科学の指南とされるランチェスター経営法とて種類がある。
零細企業はあくまでも泥臭く地べたを這いつきまわる方法こそが的確であり
高尚なアカデミックな学問としての捉え方ではないはずだ。
あくまでも学習した内容を実践、行動するのでありそれこそが本来の小さな企業の
弱者の戦略と言われる所以だ。
根底にあるのは商売を永続させ安定させるというあくなき願望であり情熱であり
それがなくして、いくら経営科学を学んだとして実践に移せるかと言うと疑問符がつく。





常にもがき苦しむことこそが日常であるとあいつは習慣化さえしている。
毎日毎日が苦戦の連続であり、光輝く未来が待ちかねているなど期待すること事態が
妄想に過ぎない。
只喰えれば良い。贅沢などくそくらえだ。
飯にありつけ住み場所がある。そして着る服がある。
他に何が必要か。おいしい食べ物。綺麗に着飾る服。きらびやかな豪邸。
一体それが何なんだ。
酒、煙草は一切やらない。遊ぶ時間など勿体無い。
ゴルフ、飲み会などどこが楽しいのだ。
セミナー講演会などその時点では頭に入っているが次の日になれば何も残っていない。

凡才であるあいつは長時間労働そして勉学に励みそれ以外には可視できる内容としても
目もくれない。
ストレス、疲れは仕事で取れば良い。
休み、休日は邪魔されずに本来仕事をはかどらせるためにある。
継続こそが重要でありひたすら続ける事により理解できる内容を生む。
あいつは凡才であるから繰り返す。いや何度も繰り返さねば理解できない。

これからは零細企業、最小弱者向けの経営戦略を耳学だけでなく書籍そして
実際経営計画書として取り纏め潜在意識に取り入れていかねばならないと
あいつは既に自覚している。
所謂あいつ自分自身の腑に落とさねばならないのだ。
何年も掛かる。何十年と掛かる。これからも苦労そして努力だ。
それに必要な事項はやはり願望そして情熱だ。
短期間ではく長い期間持ち続け決して覚ますことなく熱くしておかねばならない。
凡才であるから長時間労働。これ以外に商売の実践科学を証明する方法はどうもないようだ。




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「考えれば分かるだろう。常に頭を使え。言われなくても分かるはずだ。」
毎日いつもの如く先輩女性職人に叱責を食らう。
俺なりには考えているつもりだ。決して手抜きしている訳ではない。
先輩職人は腕立つ。そういう人物からみると、どうしてもうだつの上がらない奴と思えて
しまうのだろう。
毎日覚えることばかりだ。
確かに仕事はきつい。
重たいものは持たねばならず溶接時はしばらくは同じ姿勢を続けねばならない。
毎日仕事が終わる頃には足腰が立たずしばらくは身動きが取れない時もある。
いくら若いと言っても俺も女性だ。それなりに体にはこたえる。
しかし、その原因が性別にあるなどさらさら思っていない。
今町工場の職人は全て女性であり日常の仕事に一切違和感はない。
製作が終わると客先での据付はもちろん自分達で行う。
クレーンそして高所作業車を使いこなし女性であることに何ら支障はない。

汚れると分かっていても綺麗に化粧し爪先にはマニュキアで隠れたおしゃれを施す。
俺は実のところうっすらと高級な香水も周りに振りまいている。
先輩職人のなかには少々臭いがきつい人もいるが。
香水の香りが溶接ヒュームの臭いと相俟って何とも言質し難いかぐわしさになる。
又、旋盤から漂う油まみれの臭いも皆の香水の香りと化学反応を起こしいつしか
目がくらくらするような媚薬へと変貌を遂げる。
女性職人ばかりの町工場ならではの風景だと俺は思う。

ふと気がつくと高級な香水の香りが近づいて来る。
この強烈な匂いは工場長の香りだ。
俺の面前に立ちはだかると毒舌を吐いた。
「お前そこで突っ立って一体何をしているのだ。早く仕事せんか。」
私は即座に毒され溶接トーチを右手に持った。
溶接面を被りいよいよ次なる溶接肉盛の工程の開始だ。
一呼吸置くとトーチの先に出ている溶接ワイヤーを接合面に当てようとした。
ところが今だそばに立っている女性工場長が話しかける。
しかし、その内容に思わず自分の耳を疑った。


「あんたの香水。とても香りが良いわ。一体何を使っているの。」


俺は何も答えず溶接作業へ立ち向かう。
「俺だって一人の職人だ。仕事中におしゃべりする暇などあるか。」
と心の中で囁いた。




それでは又です。


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「ガニメデの優しい巨人」ジェイムス・P・ホーガン著


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