11月23日 彼女ら。。。
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「貧乏暇無し」で利益が上がっていなければその本人が咎められるだけだ。
誰の責任でもなくもし言い訳でもしようものならその人物こそが失格の烙印を押される。
お金をもらう瞬間こそがその会社の輝ける時でありそれ以外の能書きは一切いらない。
常に客先の解決方法に全力を注ぎ競合他社の動きを常に頭に入れる。
儲け以外に会社は生き残る事などできるはずもない。
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「お前おめでただってな。」
「誰から聞いた。」
「さっき。彼女いや専務が工場長と話しているのを小耳に挟んだんだ。」
で、いつまで仕事やるんだ。」
「長くは出来ない。」
「やはり溶接ヒュームが心配か。」
「その通りだ。あんたも身ごもったらすぐに会社休み始めたよな。」
「やっぱり、おなかの中の子は心配だもんな。でも健康診断では肺は異常なかったんだろ。」
「うん。しかし今後が心配だ。」
「しかし。零細企業の町工場では産休の間一切保障はないぜ。」
「仕方ないさ。俺たちがこうして働けるだけでも結構なことだ。
その間はせいぜい旦那に頑張ってもらうさ。」
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あいつはそう言い終わると溶接トーチを右手に持つ。
2度ほど溶接ワイヤーの出具合を確かめるべく親指でトーチボタンを押した。
その様子を確認するとワイヤーを溶接箇所へ運ぶ。
そこで2回ほど溶接ワイヤーを短い時間溶かした。
左手に溶接面を持つといよいよ開始だ。
溶接面の黒ガラス越しに見える閃光を目に入れひたすら右手の溶接トーチを走らせる。
接合面へワイヤーを着実に十分に溶かしながらひたすらビードを走らせる。
ワイヤーが巻かれたリールそして閃光を発しているビードから発するCO2溶接特有の
中高音が相俟って一定のリズムを刻む。
あいつは溶接ビードを走らせるそのリズムが好きだ。
ひたすら目の前に輝く光に目をやり右手の微妙な感覚でビードは流れる。
手の震えとも手の動きとも言える些細な感触はあいつをある空間へ導く。
一切周りを拒否し自分ただひとりになれる至高の孤独の空間での旅だ。
ひたすら没頭ができ誰にも邪魔が出来ない静寂感を独り占めできるひと時だ。
しかし、間違い手違いは出来ず歴然とした明確は冷徹そして明晰も同時に問われる。
だからこそ狭小な空間で一人ぼっちでもがく。
黒ガラスを通した閃光ひたすら問い掛けながら右手を走らせる。
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しかし、この作業中はあいつ一人ではない。
既におなかの中にはもう一人の人物が静かに宿っている。
ただ一人で仕事をしているのではなく二人でこなしているのだと思うと思わず顔の表情が
ほころぶ。
やはり嬉しい。それは与えられた特権であるし他の性別では決して味わえない喜びだ。
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閃光に思わず瞬きを行った瞬間大きな甲高い大声が耳に入る。
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「お~い。昼飯ぞ~。」
最も年長の女性工場長が叫んでいる。
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あいつは作業をやめ右手の溶接トーチそして左手の手持ちの溶接面をその場へ置いた。
大きく背伸びをし深呼吸を一回行った。
次第にあいつの周りに町工場の職人皆が集まり出す。
ついにはあいつ周辺を職人皆が取り囲んだ。
その顔ぶれは厚化粧をしている者や全く化粧のかけらもやっていない彼女もいる。
作業着に作業帽子をかぶったままの姿の女性ばかりの職人皆が集まっている。
そして皆一斉に声を掛けた。男性にはない高音で声を掛けられた。
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「おめでただってね。おめでとう~。」と。。。
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それでは又です。
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読破中。
「迷宮百年の睡魔」森博嗣著。
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2007.11.23by 博多の森と山ちゃん
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