10月20日 自己満足。。。
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「かすかに聞こえるばい。」
「あんたもここに来て聞いてやってんない。」
送風機のシャフトを手で廻しながらどこからか伝わる微かな音に耳を傾ける。
周りにいる職人皆聞き耳を立てゆっくりと回転されるシャフトからの微妙な音波に
やはりそれぞれ聴覚が刺激される。
軸が1回転する度に必ず微かな音色が1回発生される。
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出来る限り遅い速度でシャフトを廻す。
廻す度に聞こえてくる微かな音に耳を貸しながらその音源の箇所を捜す。
振動までは発生していないようだ。それだけ微妙な音であり周りが静かな
環境でないと先ず聞こえないであろう。
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本日は客先はラインは停止しており休業だ。
いくつかの業者がメンテナンスのため様々活動している。
休日でないと出来ない仕事はもちろんある。
我々もそうだ。今日と言う日をめがけ作業を行っている。
我が町工場の職人が行動している現場は他の業者からは離れており静かだ。
静粛さは原因究明の大きな味方だったと言える。
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原因を探らねばならない。一体どこからその音は発生しているのか。
手で触り伝わる感触で音源の箇所を突き止める場合もある。
大きな音が発生する場合は振動を伴う場合が多いからだ。
しかし、今回は手をその装置へかざしたところで伝わらない。
それだけ微妙な小さな音と言える。
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「一体どこな。わからんばい。やっぱ聴診器持って来ないかんやったちゃろか。」
「送風機やけん、やっぱ羽根やないな。たいがい羽根がどげんかなっとう場合が
多かろうが。」
その言葉に皆納得し即座に送風機の吸い込み側そして吐き出し側のダクトの解体を
始める。
取り付けられたフランジのボルト、ナットを皆一斉に手分けし外す。
外し終わるまでに掛かった時間はごく僅かだった。
我が町工場の職人の前に露になった羽根を皆つぶさに鑑賞する。
実際羽根のくぼみにまで手を入れ感触を味わう。
羽根一枚一枚を手の先で摑み触り心地を存分に味わう。
摑んだ手は外され羽根を廻しその回転風景に見入る。
羽根自体には何ら異常は見受けられない。
手でシャフトを廻し羽根が回転している様子を何度も眺めるが何ら不都合な点は
見受けられない。
スムーズな回転模様で僅かな回転で微風が引き起こる。
しかし、その回転の最中であっても微音は皆の聴覚を刺激する。
一回転するたびに僅かな音が一回耳に聞こえてくる。
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「おかしい。羽根からは何の音もせんばい。一体どこからしようとな。」
しばらく沈黙が続く。皆それぞれ頭を抱え考え込む。
送風機の構造は簡単だ。羽根をモーターで回転させているだけだ。
「やっぱ。ベアリングかいな。そこしかないばい。」
「ばってん。耳をベアリングに近づけたけど何も聞こえんけどな~。」
早急に羽根への視点をベアリングへと変える。
今まで羽根を照らしていた投光器の光は早々にベアリングへと向きを変える。
鮮やかに照らし出された軸受は皆の注目を浴びる。
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又しても手でシャフトを廻しながら今だ納得しない表情で職人は呟く。
「ここからの音とは思えんけどな~。」
「残ったのはここしかないちゃけんベアリングケースのカバーを外してみようや。」
今だ首を縦には決して振らないが手にはスパナを持ち既に軸受カバーの
ボルトを外し始めている。
手前に取り付いているゴムパッキンを先ずマイナスドライバーで外しずらす。
次にベアリングの鋳鉄カバーをプラスチックハンマーで軽く叩き外し同じように
中が見えるようずらす。
その箇所は投光器の脚光を浴びる。
明るく照らし出されたベアリングの内部を職人は真剣なまなざしで見つめる。
内輪、外輪、保持器そして玉。職人がシャフトを回転させる動作と何ら狂いなく同じ
回転動作でそれらの集合体は一斉に活動始める。
職人は当社は分からなかったようだ。
しかし、手に持ったシャフトを廻し始めた途端その行動を打ち切る。
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とうとう指差しながら口を開く。
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「割れとうばい。」と。。。。
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今回の原因究明の旅は長期間に渡っている。
試行錯誤の連続でまさかと思われる場合もあった。
だが、ベアリングの保持器の破損は今回の不具合の原因のひとつとしか見ていない。
この対応は取り替えればそれで完了だろう。
確かにここまで行き着くまでかなり苦労は重ねた。
我が町工場の皆これだけでは満足できず他の箇所の不具合を発見し早速
本日対応完了している。
むしろその効果のほうが興味あるとです。
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それでは又です。
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2007.10.20by 博多の森と山ちゃん
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