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2007年08月06日

8月6日 足元。。。



ものづくりはどこがやっても同じだと思っていた。
日本国内のものづくりは優秀であり技術の差異等小さな企業であれば同程度であると
信じて疑わなかった。
根底には如何なる業者であろうと小さな町工場は同じレベルであるとの認識があった。





今部署の最終決裁権は俺にある。
俺が決断し決定した事項には部下からの提言など一切受け付けない。
サラリーマンである以上上司の話にはもちろん耳を貸す。
但し、基本的には今部署の決定は殆ど俺の手の中にある。

違法行為は一切行っていない。
全てが法律の範囲内であるが、それは民間企業のしがない、いちサラリーマンだからこそ
でき得る行為なのかも知れない。
当初はやはり後ろめたい気はした。
誰からも見られてはいないし、罪を犯してはいないのだから咎められることはない。
もちろん相手の社長が口外するはずもなく私が黙っていさえすれば済む事だ。

日常化し感覚が麻痺するものだろうか。
封筒が渡されるのが当然だと思うようになる。
「接待費落ちますから。」との業者の社長の言葉にいつも安心感がある。
既に毎月の出来事となりその金額を頭に入れながら生活設計さえ考えるようになる。
必ず渡される封筒が俺の手に置かれた瞬間の重みが出世したという実感を
常に湧き出させる価値の在る重責だとの思いを噛み締めるひと時である。
習慣化されそれは朝起き歯を磨く感覚に近いものにいつしか感化されていたのだろう。

ある日。俺は上司に声を掛けられた。
決してその業者の結びつきを指摘されたわけではない。
その関係を上司が知るはずもない。多分周りでは噂すら立っていないはずだ。

「○○部で今回導入した装置はえらく評判が良いらしい。君の部署でも是非検討してはどうか。」
「確か☆☆工業は君の部署でも付き合いがあったな。」
「それなら話が早い。一刻も早く呼び出してはどうか。今なら今期の予算取りにまだ間に合うぞ。」

俺は「はい。」と返事する。反論する理由などない。

確かに○○部であの装置を導入したのは知っていた。
その様子は自分の目でも確かめたし、導入後のそのラインはすごぶる順調というのも
現場の人間からも耳にしていた。
実のところその装置は俺も素晴らしいと思う。アイデア、発想が良い。
但し、製作した会社が☆☆工業で確かに付き合いは俺の部署でもかなり長い。
俺の部署の発注は懇意にしているあの社長の会社へが殆どだが全く他の会社へ仕事を出していない訳ではない。
自分なりに他人の目を気にしている。
ただ、今まで大きなトラブル無しにやって来れたのだから社長の会社は技術的にも大丈夫だろう。
これからも深い付き合いが俺の懐具合にも影響するのだからうまく付き合って行くつもりだ。
他の会社へも全く注文をなくす訳にはいかない。
俺の決済のやり方に疑いがもたれればそれこそ足元をすくわれる。

俺は連絡を取った。上司命令だ。そむくことはできない。
しかし、先ず電話したのは☆☆工業ではなく懇意にしているあの社長の会社だ。

俺が電話すれば社長は如何なる場面であろうと電話を取る。

「電話したのは他でもない。社長は○○部で☆☆工業が納めた装置はご存知ですよね。」
「はいもちろん。」

「社長のところで同じもの作れませんかな。」
「ほうっ。うちでですか。検討してみましょうかね。」

「先ずは見積を出してください。但し、今回は他のあの機械の修理を含めて出してもらいましょうか。」
「えっ。あの機械は先月終わったはずでは。」

「いいんです。決済は私がしますから。その代わり又お願いしますね。」
「。。。。。分かりました。」


いつしか俺は自分のほうから要求するようになっていた。
さすがに最初はためらいもあった。相手の社長は何も言わずにすんなりと受け入れ事は
何の問題もなしにスムーズに運んだ。
それからも何度もやった。誰からも気づいた様子は感じられない。
それが日常化されるには時はあまり必要としなかった。

何日間か経過した。
懇意にしているあの社長から電話が入り出向いて来るとの事。
喜んだ。俺は社長へあの装置の件で電話した後ずっと手薬煉(てぐすね)引いて待っていた。


ところがだ。社長は応接室の椅子に座ったとたん思いもよらぬ言葉を発した。




。。。。。。




明日から私は遠方へ出張です。多分2、3日間後には戻る予定ですが。
もしこの先も読まれたい方がいらっしゃればコメント欄にでもお手数ですがリクエストされて下さい。
出張から帰社後書き続けます。




それでは又です。


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読破。
「陽炎ノ辻」佐伯泰英著
一気に読み終える。


読破中。
「ワイルドソウル上、下」垣根涼介著。


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2007.8.6by 博多の森と山ちゃん