7月15日 なあ専務。。。
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我が町博多いや福岡の祭り、博多祇園山笠も本日の追い山で終わりだ。
毎年山笠が終わると梅雨も終わりいよいよ暑い夏を迎えることになるのだが
今年はどうだろうか。
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俺も歳を取り職人としてはベテランに入る。
日頃町工場では自分自身の腕も振るうと共に若い職人への指導も行う。
大概(たいがい)腕で勝負する職人はひとつの工場で留まる者は皆無だ。
数社を練り歩きそれぞれの工場で腕を磨く。
鉄工所といわれる町工場でも仕事内容は様々だ。
所謂ものづくりには鉄骨、旋盤、配管、鋳物、メッキ、製缶など数多くの業種がある。
俺も何社かで職人としての腕を身に付け今現在この町工場で働いている。
ここの工場でも俺と同じ位の年齢の職人はいる。
しかし、それぞれの腕の得意分野、考え方など全く違う。
昔気質(かたぎ)の職人ももちろんいる。
無口というか言葉で表現するのが下手で、いつもしかめっ面をしている。
若い職人に対しては怒鳴り、決して教えようとはしない。
自分自身も先輩の腕を盗んで覚えたんだから、若者も当然そうすべきだと
常日頃思っているようだ。
頑固で感情的になりやすく人間として付き合いにくい。
決して自分の非は認めようとせずそれどころか指摘されれば怒りを露にする。
確かにわれわれの年代又、それ以上の年齢の先輩の職人には多かった。
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しかし、次第に町工場も変化している。
確かに職人の腕は必要だ。ものづくりには必要不可欠なのは自明の理だ。
それに自分ひとりで完璧に何もかも作れるのであれば昔気質の頑固で押し通せるだろう。
ところが自分自身の腕が誇れる分野は限られる。
何もかも全て自分ひとりで完璧にこなせるわけではない。
特にこの町工場で作るものは一品一品異なるし、常に新しい試行錯誤を求められる。
専務が描き渡される図面の内容は同じ製品など殆どない。
確かに似通ったものはあるのだがどこかが必ず変化している。
同じ製品であってもどこかが変わっているため図面の内容はじっくりと眺めなければならない。
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図面の内容に基づき俺たちは作っていく。
図面内容をばらし部材の切断、溶接、旋盤加工、曲げ加工などをこなす。
その図面も完璧ではなく製作途中で間違いに気づくことも多々ある。
どれどころか作り終わったのだが組立がうまくいかない。
あるいは実際動かしてみると不具合が出る。たまにはある。
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常に同じ作り方をなるべくとらないように心掛ける。
どうやったら時間を短縮できるか。
どう工夫すれば同じ部材で頑丈にできるかなど俺達なりにいつも考えている。
溶接部分を曲げにすれば時間もかからず応力も稼げその上見た目も綺麗だ。
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やはり頑固一徹はだめだ。
常に人の意見を参考に様々なアイデアを出しそして試行錯誤を繰り返す。
又、一人の力など限られている。
多人数で作れば早く出来上がる。
だからなるべく若い職人にもどしどし仕事をさせる。
もちろん愚痴は吐くがどしどし教えやらせる。
そりゃあ同じ若い年代としてもその人物により覚えが早い者もいれば遅い者もいる。
そんなこと当たり前だ。
それでもお構いなしにやらせる。
失敗すれば俺がカバーすれば何とかなるものだ。
他人にやらせればその人物の腕は成長するし自分も楽になる。
それに物も早く完成でき俺は他の事ができる。
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我が町工場の親父はいつも言う。
若いあんちゃん達にどしどしやらせろ。
昔気質の職人根性などいらん。それは独りよがりに過ぎん。
常に新しいアイデアを考えろと。
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実のところ人に仕事を任せ教えているのは専ら殆ど俺一人だ。
昔からのやり方でやっている他のベテラン職人はどうしても自分ひとりだけで仕事を
囲い込んでしまい他人へやらそうとしない。
中々人にやらせようとしない。
若者に仕事を任せ教えていけば自分は楽ができるのにといつも思う。
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人に仕事をまかせきれない理由に俺は他人の失敗の尻拭いができないのがあると
思っている。
他人のやった行為に何故俺がカバーしなければならないんだ。
それならミスがないよう自分自身が最初からやれば尻拭いのための仕事が増えることは
ないではないか。
実際考えていることはそんなことではないかと内緒ではあるが思っている。
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しかし、親父は一人で何もかもやろうとするその職人をいつも罵倒する。
「何で自分ひとりで作るんだ。」
「人にさせんか。若いあんちゃんが遊どうやないか。」
もちろんその場ではそそくさと若者を呼び出し指示は出すのだが。
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俺は思うに先ず他人に対してどうやって教えたらよいかが分からない。
今まで他人と協力してものづくりをやってきた経験がなく、ただ作るだけに
自分の腕を磨くためだけに力を注いできた。
他人より腕の立つ職人になるため日夜励んできた結果なのかもしれない。
そんな人物からすれば何故他人と協力してやるのか。
何故わざわざ鍛えた技、腕を教えねばならないんだ。
疑問がわくかも知れない。
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職人の世界も次第に変化している。
どうも時代の流れと共に変化しているようだ。
俺達が若い頃はただ作ればよかった。次から次へと大量に作ればよかった。
ただ体を酷使しひたすらその作りに没頭すれば良かった。
今はそうではない。既に大量生産の時代は終わっている。
この町工場は特にそうだ。
作り方さえ固執してはいけない。
そのための腕は必要だしそして見つけていかねばならない。
頑固は徹底した現場に求められる。
現場での常に新しいアイデアを求め常に試行錯誤を繰り返す。
徹底した現場、現物、そして現地で働く現人主義だ。
世間を騒がせるような大きな会社や研究所で開発された画期的な製品など
一切求めてはいない。
培った現場での長年の経験。今まで失敗、疑問そして問題を解決するためのアイデア。
製作のやり方の工夫。
現場ならではの発想。客先現場の人の要望。クレーム。
徹底した現場からの意見、現場主義からの発想、アイデアこそが次なる製品を生み出すようだ。
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専務はいつも言う。
新しいアイデアはないか。これはどう思うか。この発想どうか。
常に意見交換を求められる。
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実のところこれまで練り歩いた町工場では経験したことがない。
俺達にアイデアを求めるなど。俺達に新しい発想を求めることなんか。
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今は慌しく、忙しいためアイデアを出す暇などない。
次から次へと新しい図面を専務は持ってくる。
しかしだ。その図面を眺め若者へ指示を出す際思い浮かぶことがある。
それはどんなに忙しくそして慌しい場合でもだ。ふっと思い浮かぶ。
それは今回の図面の内容からの次なる製品を。あるいは新しい製作方法。
もしかしたらこれが現場から出てくるアイデアそして発想かも知れない。
先ずは若い職人へこれはどうか聞いてみるか。
自分以外全て我が師と言うではないか。
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いずれ又ベテラン職人の俺をこのブログで登場させてくれな。
なあ専務。
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それでは又です。
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