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5月7日 海の波



広大なる海につかる。
まだ今の時刻は潮はひいてはいない。
しかし、潮干狩りをやる為にわざわざやってきたのだ。
ズボンの裾を捲くり上げそして上着の長袖のシャツもできるかぎり袖を上へと上げる。
不可視光線である太陽の紫外線を全身に浴び颯爽と海の中へと入って行く。






今日は結構波は穏やかだ。
しかし、何故波があるのか。
ふと疑問に思いながらも海水の中を進む。


もちろん海面の波は風による影響だ。
そんなことは誰しもが知っている事実だ。


しかし、風が吹いていない時でも穏やかではあるが波が海辺に寄せてくるではないか。
これも風のせいなのか。
私は波に打たれながらも懸命に沖へと歩む。
もう既にズボンは濡れてはいる。
そしてまだ5月も始まったばかり。海の水はまだまだ冷たい。
ズボンより滴り落ちる水滴をもろともせずにその場所へ立つ。



やはり波は風の影響か。
かなり遠くの海上で吹く風によって波は作られわざわざここまで伝わってきているのだ。
近くではなく遠方より作られた波が次第にここまで伝えられてきている。

この海の波は円運動と言われている。
水面に何かを浮かべたとする。
その物を波が通過したとしても物はその場を移動しない。
波が上がると物は前へと進む。
しかし波が下がると今度は後ろに下がる。
波が通過する度に浮かんでいる物は前へと進みそして後ろへと下がる。
その繰り返しだ。
詰まり円運動をしているのと言うのだ。

それでは何故海辺、砂浜では色々な物が打ち上げられるのだ。
はるばる遠く外国から様々な物がたどり着いたとテレビのニュースでも放映されるではないか。
海に浮かんだ物が常に円運動を行っているとしたらおかしいではないか。



私は海中へ手を忍ばせそして海底の砂を右手に持ったスコップで掻く。
そして砂を載せたまま一気に海面から上へと掲げる。
スコップには砂と共に何個かの貝が乗っているではないか。
砂と貝が入り混じったスコップを左手に持ち替え、右手で砂の中を探る。
其処には見えてなかった貝も探り当てることができる。
しかし、小さな貝は砂と一緒に海へと落とし、程よい大きさのアサリ貝のみをスコップへ
残す。




砂浜に打ち上げらた物はやはり波が理由であるのは変わりないはずだ。
しかし円運動であれば前には進まない。おかしいではないか。
私は訝しく思いながらも次なるアサリ貝を目指し又しても右手に持ち替えたスコップを
海中へと潜らせる。




波の円運動は海底が浅くなると海底へその運動をそのまま起こす。
海水が海底の砂を掘り起こすような運動を起こす。
海際の砂浜は打ち寄せる波で砂が巻き上げられている。
これは波の影響だ。

波は円運動には間違いがない。
海底が浅いと波の運動の上側、前に移動する際は影響はない。
が、しかし、その運動の下側つまり後ろへと戻る運動の際には海底の砂が抵抗となる。
海底の砂が波の円運動を妨げる訳だ。
上側の前に進む際は何も妨げないが、下側の戻る際の円運動をスムーズに行えなくする。
そのため海面の上側の進行する速度と戻る速度に違いが生じ、水の円運動の前への
流れは早くそして戻る速度は遅くなる。
それにより海水そのものが少しずつ前へと進行するということなのだ。



私も必死に波の円運動に抵抗し沖へとひたすらアサリ貝を求め進行する。
既に身につけたもの全てずぶ濡れとなりそれでも右手に持ったスコップを
海中そして海底へと沈め砂を掻き揚げる。
又しても程よい大きさのアサリ貝はそのスコップの中に納まっているのであり
そのお陰で私は安心感にひときわ浸る。

その安逸な心地で私は自分自身を慈しむ。
そして一人心地で呟く。
「これで今日の晩ご飯は安泰だ。」。。。。。。




参考文献 「新しい高校地学の教科書」杵島正洋、松本直記、佐巻健男編



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それでは又です。




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読破中。
「物理法則はいかにして発見されたか」R.P.ファインマン著 江沢洋訳




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2007.5.7by 博多の森と山ちゃん



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