1月8日 共生。
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「もうこんな時間か。」
ふと壁に掛けてある時計を見上げ大きく背伸びをする。
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「それにしても静かだ。」
昨日までは現場工事で体を動かしせわしない新年の始まりだったと言えるだろう。
我が九州は福岡、博多の町工場の職人は本日の国民の祝日は休み。
私只一人事務所で図面描きに耽っていた。
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喧騒な騒音は今までの所、耳には聞こえない。
耳に入るのはストーブに載せてあるやかんの水が沸騰し、その蒸気の勢いで
やかんの蓋を僅かながら揺り動かすその振動音くらいだ。
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我が核家族は、新年早々我が嫁様の実家へ嫁様そして我が息子を送った以来
私一人の生活が続いている。
俗に言う「独身貴族」を十二分に味わっていると言える。
しかしながら、自宅にいる時間など日中の仕事時間と比較すると極僅かな時間だ。
外食し帰宅。風呂掃除を行い風呂に入ると後は寝るだけ。
新聞を読む。そして就寝時刻前の読書。
テレビのスイッチは全く入れない。
喧騒から離れ、無駄な音が聞こえてこない静かな時の流れを存分に体で感じ取る。
その静寂な心地を久方ぶりに味わい、人が本来孤独であることを今更ながら噛締める。
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私はふと、その静粛な空間で味わいながら読んだ最近の新聞のコラムの記事を思い返す。
1月6日日本経済新聞の夕刊のコラム。
「進化論の新展開」元検事総長 原田明夫氏が書かれた内容だ。
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要約する。 br>
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ダーウィンは「種の起源」で、地球上の生命は生存競争、自然淘汰を通じて最適なものが
生き残った進化論を提唱した。
これが社会進化論者によって、人間社会でも競争に打ち勝った最適者が繁栄することになり、
進化論に裏打ちされた遺伝的資質によることが大きいかのような議論が展開された。
ところが近年の進化論の新しい展開の中で「人は競争するが、協働もする。
倒れた他者に対して助けようとするのは何故か」と言う観点から論争が起こりいくつかの
仮説が提起された。
これらの仮説に共通する点は社会的相互交流の効果に根拠を置くこと。
初期の猿人類は強い雄が全てを支配する非妥協的群れを形成するが、
進化した猿人類は何世代に渉って穏やかな共生を維持。
狩猟採集の営みを始めた人類は、他の集団とも親密な関係そして協力し合う集団形成に
成功したことが注目されている。
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最後に原田氏の結論です。
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地球上の長い歴史において、人類が進化の頂点に立ち得たのは多様性を認めつつ
共生する手段を発見したからではないだろうか。
利害の対立を超え、生き残った個人、集団そして国家は、強いだけでなく他を思いやる
ことができるものだった、と見果てぬ夢を想う。
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やはり見果てぬ夢なのであろうか。
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競争と共生の両立とは現存しないのであろうか。
昨今の社会情勢、国家間の骨肉の争い等を慮るとやはり共生と言う言葉はやはり死語に
近いのであろうか。
どんなに嘆こうと、どんなに愚痴を飛ばそうと、どんなに非難、中傷を行おうと
私自身はこの地球で生きていかねばならない。
これら他をけなすことが、自分こそが唯一の人物と憚る思い上がりから発しているのであれば
そここそが間違いでありその行為こそが断固として消し去るべき糾弾な行動であろう。
共生しながら競争する。
これに始まる行動とは如何なるものであろう。
そして競争のみが生きて行く手段だとの思いが既に脳そして体全身を冒しているのであれば。
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やはり見果てぬ夢なのであろうか。
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つい先程一つの案件の図面を描き終えた。
安堵する心地を味わうのもつかの間の時間のみで、既に次なる図面化への構想が
頭をよぎる。
次なる案件も早急に図面化の要請がある。
常に付き纏う納期。そして期限。
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しかしながら、本日は嫁様そして息子を我が嫁様の実家へ迎えに行く約束をしているのだ。
その時刻までは猶予ままならない。
早急に仕事を片付け車を走らせねばならぬ。
指定された時刻に遅れでもすれば、途端に我が嫁様から激しい雷を落とされるのは
容易に想像が可能だ。
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やはり我が核家族では。
家族皆揃った上での静かの時の流れを楽しむ事は。
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見果てぬ夢なのであろうか。
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それでは又です。
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読破。
「樅の木は残った 中」山本周五郎著。
読破中。
「樅の木は残った 下」山本周五郎著。
いよいよ静かな空間は破られそうです。
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皆様いつもお世話になり有難うございます。
明日から喧騒な日々が続くであろうブログあるはず。
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2007.1.8by 博多の森と山ちゃん
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